10.千歌の鬼畜修行①
一面真っ白な岩山の世界
連は部屋に入り、入り口のところで千歌を待っていた。
「いや〜お待たせっ!運動着どこやっちゃったか忘れちゃってさ〜」
千歌が笑いながら部屋に入ってきた。
「それで千歌…先輩。今日は何を?」
千歌はくるりと連の方を向くとにかっと笑って
「今日は、『敵』を倒してもらいます!」
―敵?
連の頭に前回の修行の記憶が蘇る。
「敵って…千歌先輩じゃないですよね?」
連がおそるおそる聞くと、千歌は笑いながら
「流石にウチじゃないよ〜何ビビってのさ。こいつだよ。」
千歌は手から炎を出すと
「来いっ!〔不知火の武者〕!」
千歌がそう唱えると、炎はみるみる姿を変えてゆき、連と同じくらいの身長の鎧を着た武者のような形になった。
「これが君の対戦相手、私の妖術で作った人形だよ。そんなに強くはないけど、いっぱい出せるからね。制限時間5分以内にそいつを倒してね!それじゃスタート!」
千歌の合図とともに、炎の武者が突進してきた。
振るわれた刀を、妖力を腕に集中させて防ぐ。
(威力は明香の鳥程はないな…攻撃してみるか。)
連は腕に妖力を集中させ、一気に殴りかかった。
拳が武者に当たり、跡形もなく消し飛んだ。
「おほー!こりゃ強烈だねぇ!1分で倒されちゃったよ。明香が潜在能力すごいって言ってたのマジだったんだ〜」
千歌が驚きながら連を見る
(よっしゃ!)
連は心の中でガッツポーズをした
「それじゃ、少し強くするね〜」
千歌が再び炎の武者をだした。
今度はさっきの2倍ほどの身長があった
武者が刀を連に向かって振り下ろす。
やばい―とっさに連が回避する。連のいたところを見ると、地面の岩が真っ二つに溶けていた。
(これちょっと強くする程度じゃないじゃん!)
連は心のなかで千歌に文句を言った
武者が再び連に襲いかかる。
体勢が立て直せなかったため、連は腕で止めようと腕を前に出す。
凄まじい衝撃が腕に加わり、そのまま連はふっ飛ばされて岩に激突した。
―頭がクラクラする。連はしばらく立つことができなかった。
武者はすぐに連の下へ向かい、刀を振り下ろそうと振りかぶった
(くそ…体が…腕が動かない…)
連の体は衝撃で動けなかった。
(このままじゃ死ぬ!動け!自分を守れ!)
ガンッ
何か硬い者同士がぶつかったような音がした
連が顔を上げると、ぐにゃぐにゃと歪んではいるが、半透明なオレンジ色の盾のようなものが自分を守っていた。
(もう体は動く…!)
連はすぐに武者と距離をとった
(あの盾は、明香が言ってた俺の妖術なのか?)
まだ自覚はないが、もう少しで完全に何かをつかめる気がした。
連はもう一度武者に向き直り、戦闘態勢を整える
遠くから見ていた千歌が、ニヤリと笑った
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