7.黒い鳥の舞踏
―死にかけてもらおっかな
連は、言葉の意味を飲み込むのに少し時間がかかった
「死にかけてもらうって言っても私が一方的にボコボコにするってわけじゃないよ。ちょっとしたゲームみたいなものをする。」
そう言うと、明香は風船を取り出した。
「私が持ってる風船を割れたら君の勝ち。ただし、君が失神したら君の負け、というゲームだ。」
―失神?連はさらっと言われたその一言が気になってしょうがなかった
「あの…失神ってどういう―」
「君は風船を壊すために私を好きなだけ攻撃しても構わないけど…その間、私も君を攻撃するよってこと。」
そう言うと、明香は上着を脱いで軽くジャンプした。
「1つ、攻略のヒントをあげるね。私の動きをよく観察するといいよ。さぁ、10秒後に始めるよ。10―9―」
「えっ、そんなすぐはじめるの!?ちょ…もうちょっと説明を…」
「―2―1―0!スタート!」
明香は開始と同時に連に飛びかかった。
連はギリギリで避ける。
ドォォン!
後ろの岩山に大きな穴が開く。
とても、その細い腕から出される力ではなかった。
「のわっ!」
連が衝撃で吹き飛ばされる
「妖気を体にまとえば、攻撃タイプじゃない私でもここまで体を強化できる。君もはやくやらないと死んじゃうよ。」
(これ絶対「死にかける」程度じゃすまないだろ!)
連は心のなかでツッコんだ
できなければ間違いなく死ぬ。連は攻撃をかろうじて避けながら明香の様子を注意深く観察する。
(なんか…明香の周りにもやもやしたものが…見える?ような。あれが妖気ってやつか?)
よく見ると、明香の体からエネルギーのようなものがほとばしっている。
(攻撃の瞬間、拳にもやもやが集中してる…あれが自分の体からでてるのか?)
連は岩陰に隠れて目をつぶり、集中する
感じる
自分の体を覆う、もやもや。明香よりも量は少ないが、確かに感じた。
(これが妖気…じゃあこれを拳に集中させれば…)
拳に妖気を集中させていみる。
自分でも、これで殴ればとんでもない力になるということがわかった。
連は岩陰から飛び出すと
「いくぞ!明香!」
明香に向かって叫んだ
(…何か掴んだのかなぁ?)
明香は楽しそうに笑うと、連に向かって手招きした
連は一気に明香にかけより風船に向かって殴りかかった。
ゾワッ
明香の背筋に悪寒が走る
とっさに明香は、上にとんだ。
ズンッ!
連の拳は岩に当たり、当たった岩が砕け散った。
(くそっ、力はあっても当てれなきゃ意味ないか…)
連が悔しがってる間、明香は砕け散った岩を見おろしながら考え込んでいた。
(ろくに能力開花してない初期の段階でこれか…末恐ろしいな。―そろそろに第二段階いくか…)
明香は連の前に飛び降りる
「すごいね!このパワーは想定外だったよ…自分の妖気を自覚できたみたいだね。それじゃあ第二段階―能力の解放に進もうか。」
そう言うと、明香の影から黒い鳥が数十匹出てきた。
「私たち縁の能力は取り込んだ因子によって違う…いろんな能力持ってる人もいるけど、私の夜雀の能力は主に『影』の能力だ。」
飛んでいた鳥が明香の手に止まる。
「これは私の能力、〔黒鳥舞踏〕今から私は、この能力を使って君に攻撃する…威力は、さっきのパンチの比じゃないよ…」
明香はそう言うと、鳥を一匹連のすぐ横の大きな岩山に飛ばした。
ドッ
岩山は砕けなかった。そのかわり岩山に綺麗な穴がポッカリとあいた。向こうの景色が見える。
(この威力であのスピード…さっきのパンチは避けれたがこれはまずいな)
連の手に汗がにじむ。
「これを防ぐためには、妖気を一点に集中させる必要がある…君にできるかな?」
成功できなきゃ体に穴…
連は体に大きな穴が空いた自分を想像し震え上がった。
「さぁ、再開だ。」
明香は後ろに飛ぶと、鳥を一匹自分の前にセットした
「いくよ?連」
連の息が荒くなる。
「こいっ!」
連に向かって鳥が飛んでくる
連は姿勢を構えて胸を中心に妖力を集中させた。
鳥が連と衝突する。
―次の瞬間、連の意識は黒に染まった。




