6.癖強メンバー
天狐と部屋を出てから、かなりの時間が経った。
もう十五分くらい、ずっと同じような廊下を歩き続けている。
「…なぁ、何でここの廊下こんなにグネグネ曲がってるんだ?あといつさっき天狐が言ってた仲間ののところに着くんだ?」
「外敵対策だよ、このアジトも私の仲間の力でできていてね。『鍵』をもらえば各部屋にワープできるから後で貰えばいい。もうすぐ着く」
ぼんやり歩いていると、金の装飾が施された大きめの扉の前にたどり着いた。
「ここが会議室だよ」
天狐が扉を開く。中には円卓があり、そこに五人の男女が座っていた。さっき会った心笑という女が笑顔でこちらに手を振っている。
「おや?私以外の十三人中三人しか来てないのか。他のみんなは?」
天狐が心笑に聞いた。
「えっと…ボスと啓介さん以外の八人は仕事や遊びに出かけていてここにはいません、ボスはまた行方不明、啓介さんは二日酔いで部屋から出られないそうです」
「…一応新人の歓迎の場なんだけどな」
「まぁ、急だったので仕方ないかと」
心笑が呆れた顔で言うと。
「も〜〜!サボりの連中はほうっておいてさっさと自己紹介しちゃいましょうよ〜!ウチここに来てから一時間待ってんだよ!」
と心笑の隣に座っていた女が喚く。
「じゃあそろそろ自己紹介始めよっか。千歌から行くかい?」
「ん、じゃウチから」
と、さっきまで喚いていた女が立ち上がる
「はじめまして後輩!ウチは火祭 千歌!《火車の縁》だよ!千歌先輩でいいよ!よろしくね!」
オレンジ色の髪のツインテールで元気の塊のような女だった。年は同じくらいだろうか。
「では次は私が…」
その隣に座っていたショートヘアの女も自己紹介を始める。
「どうも…私は黒織 明香。《夜雀の縁》です。明香って呼んで…よろしくね」
顔立ちが整っていてクールな王子様のような顔をしている。こっちも年は同じくらいのように思えた。最後に心笑が立ち上がった。
「どうもっ!私はさっき君にあったけど念のためっ。夢宮 心笑。《獏の縁》です。主に会議の進行とかやってるから困ったことあったら言ってね〜」
心笑が座った後、天狐が連の方をむいて
「すまないね。うちはサボりが多いんだ…ここで過ごすことになる以上、いずれ会えると思うからその時に自己紹介してもらってね。さぁ、次は君の番だよ」
連は円卓の方にむきなおり、大きく息を吸った後
「鬼山 連です。この前、力が発現したのでここに来ることになりました。よろしくおねがいします!」
パチパチ…
拍手が聞こえる
「それじゃあ自己紹介も終わったことだし、今後について話そう。」
天狐が円卓の一番奥に座り、話始めた。
「まずは連の力の確認だ。次、変に暴走すると取り返しがつかないからね。それに鍛える必要もある。明香、頼めるかな」
「えっ…私、ですか…わかりました。がんばります…」
「え〜!何でウチじゃないのさ〜」
千歌が喚く。
「君じゃ不安だ」
天狐がバッサリと切り捨てた。
「とりあえず、俺は何をしたらいいんだ?」
連が天狐に聞く
「明香に、縁と力について色々聞くといい。その後、修行だ。明香、連れて行ってやってくれ」
「了解…あ、待って。もしかして君って『鍵』持ってなかったりする…?」
(鍵って…さっき天狐が言ってたやつか)
「持ってない」
「そっか…じゃあ修行部屋まで歩きだね。このアジトが仲間の力によるものだってことは聞いた?」
「あぁ、さっき天狐から聞いた」
「アジト作ってるのが蔵内さんって人なんだけど、その人からしか鍵はもらえないんだよね…後でもらっておいてね」
「わかったけど…え、歩きってあの廊下を?何分くらいかかるんだ?」
「んーと…月によって構造が変わるけど、今月は一時間くらいかなぁ」
「マジデスカ…」
連は気が重くなった
明香と一緒に歩き続けて一時間。謎の文様が掘られた石の扉の前に来た。明香が扉を空けて手招きする。
部屋の中は、一面中真っ白な岩場のような場所だった。終わりが見えないほど広い。周りをながめていると
「じゃあ連、今から縁の力について説明していくね」
と、明香がどこからともなくホワイトボードを持ってきた。
「私たち縁について、大まかなことは天狐に聞いたかな。簡単に言えば、因子に選ばれた人間って感じなんだけど」
そこまでは、天狐から聞いた内容だった。
「縁っていうのは因子が入った影響で『妖気』っていうのが操れるんだ。妖気を使って自分の因子から魔の力を使うっていうのが私たちの戦い方だよ。君をここに送った穴も、私の〔黒穴〕って技で、マーキングした地点を自在に移動できる穴を作れるんだ」
連は、病院の中庭にできていた穴のことを思い出した。
「君は確か何かしらの鬼の因子だったよね。幻天会にも他に鬼の因子持っている人がいるんだけど…能力って人次第だからなぁ…」
「それで…俺は今から何をするんだ?」
「妖気の出力を上げるには地道な修行が一番なんだけど…確か君って時間がないって話だったよね?」
そういえば、後2週間しかないということを、連は思い出した。
「傷は心笑が直してくれたらしいけど、2週間じゃまともの方法では絶対無理だ。というわけで―」
明香が振り向いてほほ笑む。
「君には、一度死にかけてもらおうかなって」
「…は??」
連のまのぬけたような声が、部屋に響いた。




