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魔の子たち  作者: ひら
第一章 力の目覚め

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4.女の正体

 

 「少し、話そうか」


 連は一瞬言葉に詰まったが、すぐに女に問いかけた。


 「お前は…いったい何なんだ?俺の何を知っている?」


 女は少し考えた後、屈託のない笑みを浮かべながら答えた。


 「結論から言うと…君は人ではないんだ。」


 連は驚かなかった。なぜか分からないが、その女が発する異様な雰囲気から、その言葉が嘘ではないと本能的に感じ取っていたのだ。


 「お前がこの前言っていた鬼の子というやつか?

だが、俺の両親は人間だ、俺も…人間の…はずだ。」


 連は、弱々しく言った。


 「自分は人だ、とは断言しないんだね…君も気づいているんだろ?普通の人には、人間の頭部を素手で叩き潰すことはできないんだよ。」

 

 「俺が人ではないなら、俺はなんなんだ?」


 女は、少し間をおいて答える。


 「鬼の子―というのはあくまで比喩でね、使いやすいから私が使っているだけなんだ。何も、君の親が鬼だと言いたいわけじゃない。君には、鬼の因子―【えにし】があるんだよ。」


 ―縁


 聞いたことがない。混乱する連を見つめながら、女は続けた。


 「あまり時間がないから詳しいことはまた後で話すが、簡単に言えば、君は鬼の因子に選ばれた人間なんだよ。なんの鬼かはわからないがね。魔のものの因子に選ばれた者たちを、私たちは探していたんだ。」

 

 連は、大きく深呼吸し、女に向き直った。

全て理解できているわけではない。しかし、黙っていて何か変わるわけでもないということくらいは、連も理解していた。


 「それで…お前はなんなんだ?」


 「私の名前は花山はなやま 天狐てんこ、君と同じように、因子を持つもの…《九尾の縁》だ。因子を持つもののたちが集う組織、【幻天会げんてんかい】の、副官を務めている。君には、私たちの組織に入ってもらう。」


 なにもかもが突然のことで、連は再び混乱していた。


 ―この前まで普通の日常を送っていたのに

という思いが、連の頭でぐるぐるまわる。しかし、自分のことを知るためには、もうこの女―天狐に頼る他ない。

 

 「理解しきれないことも多いが、話は大体理解できたよ、しかしなぜ、その組織に入らないとだめなんだ?」


 「…確かに急な話だったな。君の気持ちを考えず、すまなかった。だが、さっきも言ったようにもう時間がない。へたすれば、君は――死ぬことになるだろう。」


 連は、鳥肌が立った。まさか、自分の命を脅しに交渉する気なのだろうか。


 連の警戒を感じ取ったのか、女は弁明する。


 「あぁ、組織に入らなければ殺すとかそう言う意味じゃない。しかし、君をそのまま放っておけば、近いうちにそうなるという話だ。なぜそうなるかについては―」


 突然、女が後ろを振り向いた。そして、少し焦ったような口調で連に向かって言った。


 「どうやら、時間切れのようだ。強引な手を使うことになってすまないが…つれてかせて貰うよ。」


 「ちょっとまて、どういう―」

 

 女が、パチンと指を鳴らした。 


 その瞬間、連と女の周囲の地面がひび割れはじめ、地面にポッカリと大きな穴があいた。


 「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 女とともに、穴に吸い込まれていく。


 連たちが落ちてまもなく、穴は閉じた。



 穴が閉じてから数分後、そこには一人の女が立っていた。

 白い和服を着た、白髪の女。


 「…逃がしたか」


 女はそうつぶやくと、煙のように姿を消した。




 





 

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