29.デッドヒート
激しく凶器を撃ち合う音が、巨大な空間に響く。やっとの思いで三体倒した人形が、さらに無限湧きしてくるため、連は戦っては隠れて戦っては隠れてを繰り返していた。
(どんどん数が増えていく、一体どこから…)
連も男子高校生、人並みにゲームなどもする方である。その経験から考える。
(この手の無限湧きモンスターは、どこかに発生ポイントがあるはずだ。たいていは、それを破壊すればいい)
連は一気に飛び出すと、人形を片っ端から鬼箱で閉じ込める。無限湧きではあるが、発生は遅い。ある程度まで閉じ込めたあと、どこから発生するのか見渡す。すると、人形が近くの石柱の一本からぬるりとすり抜けるように這い出てくる。
(これか!)
連は金棒を持つと、その石柱まで行き思いっきり叩きつける。石柱に亀裂は入ったものの、壊れるとまではいかない。連は自身の妖気を一気に金棒に集中させて、渾身の一撃を放つ。
石柱がピシピシと音を立てて崩れた。と同時に、周りにいた人形たちが消える。
「これで…終わりだよな」
連が周囲を見渡すと、入ってきた扉と反対方向にいつの間にか扉が出現していた。
扉を開けて中に入ると、そこには廊下が広がっており天狐、八戒、瑞稀の三人が座っていた。
「ガッハッハ!遅いぞ!!連!」
「連っちドベ〜!」
二人が連と肩を組んで煽るように言う。
「連、無事で何よりだ」
天狐も、笑いながら連に話しかけた。
「やっぱ三人とも早いな…八戒はどのくらいで終わった?」
「俺は40秒くらいか…?瞬殺だったぞ!」
「はっや!」
連が驚く。八戒が、面白そうに笑いながら言った。
「まぁ、一人一人相手が違ったっぽいしな。俺のはデカいやつが三体でそれぞれ弱点が違うタイプのやつだった。恐らくだが、挑戦者の特性に合わせた相手だったのかもな」
言われてみると、連の相手も様々な武器が作れる前提の相手だった。だから分断されたのか。
「さて!連も来たことだ!次の試験へ行こうじゃあないか!」
八戒が先導する。扉を開くと、そこは広く長い一本道になっており至る所に分かれ道がある。廊下の側面には様々な形の扉があり、ドアプレートにそれぞれ別の文様が刻まれている。上を見ると、階層状になっておりずっと上の方まで扉が続く。暫くすると、再び女の声が響く。
『死を司る熊の尾と、生を司る弓の門。順に開きて道開かれる』
「…なるほど。要するに正解の扉を見つけて順に開いて進めと…この中から?」
連が呆然とする。前も上も殆ど先が見えない。
「だが、手がかりはあったろう。死を司る熊の尾と生を司る弓の門…何のことだかわからないが、進むしかあるまい」
「地道な作業、苦手なんだがなぁ…」
八戒は、既に諦めモードに入りかけている。天狐の指示に従い、一度手分けして探索してみることになった。
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連が第一の試練をクリアする少し前、天岩戸神社に男女四人が入っていく。
「ここかァ。天の岩戸…!」
乱童と、紫煙。それと、新たに二人の男。
「それで、団長。今からすぐはいるんですかね」
男の一人が、乱童に話しかける。どうやら男は乱童の部下のようだ。
「あァ。すぐにでも入るが…いいよなァ?紫煙」
紫煙が煙管に火をつける。
「いいわよぉ…ただ、連れてきてあげたんだから天狐は譲ってねぇ」
「構わないさァ、僕は…適当に美味しそうなのをいただくさァ」
岩穴のすぐ近くまで来ると、紫煙が鳥居の前で立ち止まる。
「『戸隠の御神、我が願い聞き届け門を開き給え――開門』」
門が開く。四人は、次々と門の中に入っていった。
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