27.天の岩戸
百鬼組のアジトを出てから数時間。空条に駅まで送ってもらい、新幹線に乗る。朝早くにでたはずなのに、宮城県に着くころには気づけば夕方に近い時間帯になっていた。
「…こんな連続して長距離移動したの初めてだ…で、これからどこ行くんだ?」
連が天狐に尋ねる。
「目的地は、天岩戸神社。見た目はただの観光名所だが、そこに、八咫鏡がある場所――天の岩戸に繋がる門がある」
「天の岩戸…日本神話に出てくるやつか?」
八戒が、思い出したように言う。
「あぁ。だが、ただの岩ではない。天の岩戸は異空間に存在する、八咫鏡を守っている場所だ。手に入れるためには、試練をクリアしなければならん」
「俗に言う、ダンジョン的なやつってわけか。面白そうじゃあないか!!」
八戒のテンションが上がる。
「油断するなよ。私は一度入ったことがあるが、あそこは入る者によって姿と試練内容が異なる。下手すると死ぬぞ」
「ほほう〜。激ヤバですな」
瑞稀が面白そうに言う。天狐は何言っても無駄だと感じたのか、これ以上は何も言わなかった。
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車を借りて、天岩戸神社に着く。もう遅い時間帯だからか、観光客は殆どいない。
少し進むと、大きな岩穴が見えてきた。岩穴の中には、鳥居と小さめの社がある。
「ここだ」
天狐が鳥居の前で足を止める。
「今から門を開く。開くのは一瞬だけだか、遅れずについてきてくれ」
天狐はそう言うと、片手を前に出す。
「『戸隠の御神、我が願い聞き届け門を開き給え――開門』」
天狐が鳥居の前で何かを唱える。すると、鳥居の内側に紫色の裂け目が現れる。
「これが門だ…急ぐぞ」
三人が躊躇なく中に入ってゆく。連は少し怖かったが、勇気を出して一気に裂け目のなかに飛び込んだ。
四人は、紫色の空間の流れに沿って漂っていた。
「おぉ!?これはどうなってるんだ!」
「わぉ~、すごい!新感覚!」
八戒と瑞稀がはしゃいでいる。
「もうすぐだ!出るぞ!」
天狐がそう言うのとほぼ同時に、目の前が明るくなって連たちは空中に放り出された。
「のわぁぁぁぁ!」
八戒が最初に着地し、残り三人を受け止める。
「ありがと八戒!」
連は八戒に下ろしてもらい、周りを見た。不思議な空間だった。紫の空間のなかに、様々な建物の一部が浮かんでいる。正面には、巨大な門があった。
「さて…ここからが、試練本番だ。…くれぐれも、油断するなよ」
天狐が振り向いて言う。連たちは、巨大な門の下へと向かっていった。




