22.無頼漢&やる気満々Girl
学校復帰から一週間。特に何も起きないまま、学校生活を送り休日にはいる。
連は休日は本拠地に定期報告と修行に行かなければならないため、明香と共に本拠地の入り口に向かった。
「…なぁ、ホントにここが入り口なのか?」
明香に連れてこられて来た場所は、学校からそう遠くないところにある公衆便所だった。
「仕方ないでしょ?あんま遠くにするとあれだからって、わざわざ千代子さんが近いとこ選んでくれたのに」
「……男女で公衆便所入るって色々やばくないか?」
「そんなことはいいから、さっさと入って」
明香はため息をつくと呆れたような顔をして連を公衆便所に押し込んだ。
中に入ると、100号室に繋がっていた。
「天狐さんに会議室に来るように言われてるから、一旦そっち行くよ」
明香に言われ、会議室に転移する。天狐、心笑、千代子、右京はいつも通りだが、見知らぬ二人が座っていた。
一人は赤みがかった髪の、大柄の筋骨隆々とした男、もう一人は緑髪のふんわりとした長髪で明るいお姉さんのような印象だ。
心笑が連たちに席につくよう促し、会議の進行を始めた。
「さて、では会議を始めたいんですが…その前に、初見の方もいらっしゃるので自己紹介からしますか」
最初に立ったのは大柄の男。男は連を見てにかっと笑うと、とても大きい声で自己紹介を始めた。
「俺の名前は阿賀 八戒!!《牛鬼の縁》だ!お前か!新しいヒトバシラの新人というのは。鬼系だとは聞いていたから会えるのを楽しみにしていたぞ!」
明るくて大きい声で自己紹介を終えると、ズカズカと連のところへ行って握手をした。
男が席に戻ると次は女が立ち上がる。
「あーしの名前は嵐辻 瑞稀!《波山の縁》!何かあったら遠慮なく頼ってね」
こっちもかなり明るいというかやる気満々だ。瑞稀も自己紹介を終えると連のところへ握手をしに来た。
「え~と…鬼山 連です!ヒトバシラらしいです!好きなものはサッカーです!よろしくおねがいします!」
連も、二人に負けないくらいのでかい声を出してみた。
「おぉ!いい声出すじゃねぇか連!よろしくな!」
二人には好評だったようだ。満足気にこちらをながめている。
様子を見終えたかのように、天狐が話し始める。
「さて、そろそろ本題だが。先日、連がヒトバシラというのが発覚しただろう。どこから情報を得たのかわからないが、旧知のヒトバシラから会わせてほしいとコンタクトがあったんだ」
旧知のヒトバシラ…天狐の言葉を聞いて、連の頭に一つの疑問が浮かぶ
「…ヒトバシラって特別な縁なんだろ?一体何人いるんだ?」
「前に話した通り、ヒトバシラの中に入っている因子は強すぎて封印された妖怪達。そいつらが封印された際にばらまかれたものだ。それらは『十大妖帝』と呼ばれている。だから、ヒトバシラはこの世に恐らく十人しか居ない」
十大妖帝、自分の中にはその一角の因子が入っていることになる。連は、さらに天狐に尋ねる。
「というか、ずっと疑問だったんだが俺のなかにある因子ってなんの因子なんだ?」
「それも、今から説明しようと思っていたところだ。今まで連のことで分かっていたことは二つ、恐らく鬼系だということと、ヒトバシラだということだ」
「はいっ。質問です。なんで連がヒトバシラってことは分かってたんですか?」
明香が隣から質問する。すると、右京が天狐の代わりに答えた。
「ほら~連クン。前に一回めっちゃ短い面接みたいなのやったじゃない。あれよあれ」
天狐が頷く。
「右京は、長く相手を見ることで相手を解析し、相手のことを知ることができる。だから本来は、右京が見れば一発でなんの因子か分かるんだが…連は見えなかった」
「相手の力や潜在能力が強大だと、見えないことがあるんだよね〜」
天狐と右京が口々に説明する。
「そもそも十大妖帝自体、私が生まれる前に八割封印されてる上に文献もほとんどのこっていない。現在名前がわかっている妖帝は六柱、そのうちヒトバシラが確認されてるのは私とボス含めて四人だけだ」
「因子の力が強大すぎて、それに耐えうる器がそもそもあまりないからのぉ。因子を持っていても縁として覚醒しないのがほとんどじゃ。現に、おぬしに宿ってるそれも、1000年以上もの長き間で一度も縁として覚醒した記録は残っとらん」
千代子が、横から説明を加える。
「だから、私と右京、千代子で過去の文献を片っ端から調べた。その結果、可能性のある妖怪が浮上した。恐らく連の体に宿ってる因子は…『酒呑童子』のものだろう」
――酒呑童子
流石に、名前くらいは連も聞いたことがあった。
「酒呑童子ってあの…鬼の頭領的なやつだよな?」
「あぁ…今伝説が残っている妖怪は、殆どのものが後世にねじ曲がって伝わっていたり、創作だったりする。だが、この酒呑童子の名前は私が生きた時代から既に存在していた古文書に書かれていた名だ、信用はできる」
連は天狐の説明を聞いて、完全に理解はできてないものの、恐らく酒呑童子で間違いないだろうという確信があった。
酒呑童子の名を聞いた瞬間、胸の奥が少しピリついたからだ。
「それで…俺は誰に会いに行けばいいんだ?」
連が天狐に尋ねる。
「私たち幻天会以外にも、実は国の勢力―修羅に立ち向かう縁の勢力がある。方向性が違うから別々で行動してるが、関係性は悪くない。『百鬼組』というところだ」
「なるほどな…だから俺たちが呼ばれたというわけか!」
話を聞いていた八戒と瑞稀が納得したように頷く。
「八戒と瑞稀はそこの組長と仲がいい、そのため今回の会合にどうこうしてもらう予定だ」
連はとりあえず一安心した。話を聞いた感じ、危ない人ではなさそうと感じたからだ。だが、そんな連の雰囲気を感じ取ったのか、天狐が続ける。
「だが、油断は禁物だ。さっき話した通りそこの組長、『財前 玉成』もヒトバシラ。おまけに、さっき方向性が違うと言ったろう。どう方向性が違うか連、わかるかな?」
連は少し考える。
「……わかんないです」
連は弱々しく答えた。
「方向性の違いというのは、私たちはどちらかというと修羅から逃げる構図だ。来たら戦うが、積極的に争ったりはしない…だが、百鬼組は違う。奴らは積極的に修羅を潰そうと動いてる。現に、修羅が私たちに割いている戦力は第四師団のみ、その他の四つの師団の戦力の殆どが、百鬼組に向けられているということだ」
連は寒気がした。前に来た連中の四倍の戦力と常に戦っているのも恐ろしいが、それよりも恐ろしいのは敵がそれだけの戦力で潰そうとしても、潰れていないということである。
「確かに!油断は禁物だな!あそこは曲者揃いだからな!ハハハ!」
八戒が大笑いしながら言う。だが、八戒と瑞稀以外の誰も笑ってはいなかった。
「会合は明日!連と八戒と瑞稀、そして私も同行する予定だ。どうなるかはわからないが…各々、準備をしておいてほしい」
全員が了解!と行って立ち上がった。
「では、これにて会議を終了とする!」
天狐が号令をかけると、皆はそれぞれ帰っていった。
「……それじゃ、修行すっか」
「よし、がんばろっか!」
連と明香も、修行場へ向かっていった。
―――――――――――――――――――――
―???
「…へぇ!来てくれるのかい?うれしいよ」
金髪で、派手な服装を着た男。見た目から、裕福であることが伺える。
「オッケーオッケー。四人だね、部屋も用意しておくよ。じゃーね」
ガチャリ、と電話を切った。
そばに控えていた強面の男が、机に戻った男に酒を持ってくる。
「それで…一緒に来るというヒトバシラ。どうするつもりなんですかぃ。組長」
強面の男が質問する。
「どうもしないさ…ただまぁ…そうだな、品定めってとこかな」
金髪の男はそう言うと、酒を少し飲んで笑った。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!感想やご意見があれば、ぜひとも書いて頂けると嬉しいです!
星の評価、ブックマーク、リアクション等、作者のモチベーションに繋がりますのでやっていただけると嬉しいです!
今後とも応援、よろしくお願いします!




