21.転校生
「はじめまして黒織さん!ねぇ、連絡先こうかんしよーよ!」
「どこの学校から来たの?」
「ねーお弁当一緒に食べない?」
昼休憩の時間、明香のもとに、女子や男子が群がっている。陽日が連の隣に弁当箱を持って座る。
「いや〜明香さんすげぇ人気だな〜。お前は行かなくていいのか?」
「いや…俺は…いいわ」
「しっかし…マジ美人だな。ありゃモテるぞ。」
「そう…だな」
連はなんて答えたらいいか分からずしどろもどろな答えになってしまった。
今まで普通に関わっていたためあまり意識していなかったが、確かに明香は他の女子と比べると群を抜いて美人だ。クールな表情というのが、女子からの人気も底上げしているように思える。
連は陽日に隠れてため息をついた。
連はクラスで特に目立つタイプでもなければ暗いタイプでもない、要するに中堅くらいの立ち位置にいる部類の人間なのだ。そんな連がいきなりあんな美人と話し始めたら確定で悪目立ちする。
(さて…どうしたもんか…)
すると、周りとの会話を終えたのか、明香がこっちに来て連に耳打ちする。
「放課後、校舎裏きて!」
そう言うと、明香はそそくさとその場を離れていった。
「なぁ…連?いまなんて言われたんだ?」
周りには見られていなかったが、陽日には見られていたようだ。
「……シャツ出てますよ。だってさ」
「お前ダッサ!恥ずいなぁ〜」
下手な嘘しかつけなかったが、陽日が馬鹿で助かった。
放課後、周りに見つからないようにこっそり校舎裏に行くと、明香がいた。
「やっほー連」
「いややっほーじゃなくて…なんで??」
連はとりあえず、明香がここにいる理由を聞くことにした。
「ほら、天狐さんが言ってたじゃん。護衛はつけるって」
「…転校生として来るのは予想外だった。ていうか、なんで明香なんだ?天狐とかでもいける気するが」
明香は、近くの岩の上に座った。
「天狐さんは忙しいしね…それに、あの人だと多分浮くし、千歌も問題起こすし、だから年が一番近い私が選ばれたんだよね」
一応、筋は通っている。しかし連には、まだ少し気になることがあった。
「そういえば、なんで明香は学校行ってなかったんだ?ずっと本拠地の方にいたよな」
「んー。私は連と違って親も友人もいなかったからね。小さい頃に力に目覚めて、気味悪がられて捨てられて。だから行く理由なくてさ」
「…なんか、すまん」
少し、気まずい空気が流れる。軽弾みに聞いたことを連は少し後悔した。
「…あのー。何してるんですか?」
急に後ろから声がした。連と明香はびっくりして振り返る。そこには、メガネをかけた、黒髪の少女が立っていた。
「あっ、こんにちは天星会長」
連があいさつをする。天狐が連の近くによって耳打ちする。
「連、あの人誰?」
「この学校の生徒会長、天星 望美さんだ」
望美は、明香の近くに寄ると深々とお辞儀をした。
「こんにちは、貴方が転校生さんですね?学校案内でもされてました?」
「あ…そうなんです!連くんに道に迷ってたところを助けてもらって。」
望美は連の方を見ると連の瞳をじっと見つめた。
「…転校初日なのに、ずいぶんと仲が良いのですね〜。仲がいいのは良いことですね!」
そう言うと、望美は失礼しました、といってどこかに歩いて言った。
「…ふー。明香、ナイス」
「いい機転だったでしょ」
危うく、関係がばれるところであった。
連と明香は暫く喋った後、別々に校門を出て帰ることにした。連は一人で家に帰りながら、久々の学校の余韻を噛み締めた。
―――――――――――――――――――――
生徒会室から、一人の女が連たちが帰る様子を観察していた。
「――ヒトバシラ。実物をみるなんて、何百年ぶりかしら。…さて、どうしましょうかね」
女――望美は、そう言いながら生徒会室を後にした
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