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魔の子たち  作者: ひら
第一章 力の目覚め

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2.崩壊と慟哭

 白い天井が見える。


 「連!!」


 どこにいるのか分かる前に、隣から咽び泣くような声が聞こえた。


隣りにいたのは両親だった。


 「ここは…」


 どうやら、病室のようだ。

 

 酷く頭が痛い


 「あ、あぁ、連、連!……あなた…2日以上目を覚まさずに…死ぬところだったのよ…」


 「何がともあれ、意識が回復して本当に…良かった…」


 隣りにいた母と父が言う


 「足とお腹の2箇所くらいを深く刺されて…もう一人の犠牲者の方は原形がなかったそうよ…」


 母の言葉を聞いて、頭に電撃が走る。

 

 (そうだ…あの夜、俺は…)


 途端に猛烈に強い吐き気が一気に襲ってくる。


 (あれは…なんだ…俺がやったのか?)

 

 死にたくない、そう願ったところまでは覚えている。そこからの記憶はほとんどない。


 コンコン


 扉を叩き、警察と思われる人が、何人か入ってきた。


 「目覚めましたか!よかったです。」


 「目覚めたばかりで申し訳ないのですが、事件当日のことを詳しくお聞きしたく…」


 話を聞く感じ、どうやら俺と俺を襲った通り魔は、別の通り魔に襲われた…ということになっているようだ。

 

 「おそらく犯人は連くんを刺したあと、もう一人の男性を鈍器のようなもので執拗に攻撃したかと思われるのですが…犯人の顔は覚えていますか?」

 

 「すいません…何も…何も覚えていません」


 俺は、覚えてないふりをした


 どのくらい時間が経ったのだろう。


 「では、我々はこのくらいで。」


 「捜査協力、感謝します。」


 男たちは帰っていった。


 「じゃぁね、連…寂しくなったら、いつでも呼んでね」


 「何かあったら、言うんだぞ。また、様子は見に       来る」


 親たちも、心配そうに俺を見ながら帰っていった。


 病室に誰もいなくなった途端に震えが止まらなくなった。


 (なんだったんだ…あれは、ほんとに…俺が…)


 思い出される、血で染まった手、暗闇に横たわる人だった何か。その日は、眠ることができなかった。


 医者の話によれば、入院は長くとも3週間ほどだという。


 3日ほど経ち、俺はようやく持ち直して当時の状況を冷静に思い返すようになった。


(あのとき、俺は死にたくない一心で抵抗していた。でも俺には人の頭を砕くほどの力はない…)


 夕食を済まし、寝る準備をして消灯。

 

 月明かりに照らされた病室で一人、眠りにつく。


 ふと、人の気配を感じ、目を覚ました。おそるおそる起き上がってみようとする。


 枕元に誰かいる。しかし、なぜか動くことができない。


 (なんだっ…これはっ…)


 恐怖と焦りで意識が薄れそうになる、心臓の音がうるさく響くなか、枕元にいる『それ』はしゃべりだした。


 「はじめまして…鬼の子。今は、動けないだろう?  明日の5時、病院の中庭、楠の木の下で待っているよ」


 透き通るような、女の声


 次の瞬間、その影は消えていた。


 時計の針は、3時を指していた



 

 

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