15.本拠地襲撃②
「「バァン!」」
幻天会本拠地11区域。千代子に飛ばされた右京が最初に聞いたのは耳の奥まで響く轟音だった。
(こりゃ酷いな…至る所の壁やドアが破壊されてる…誰かいないか探しているのか?)
あたりを見渡していると、後ろに人の気配がした。とっさに振り向くと、そこには長髪の少女が立っていた。
「なんだ…やっと出てきたのね。あんた、幻天会の人?」
「そうだけど…君は誰かな?」
少女はにやりと笑った
「『修羅』第四師団、水原 優樹菜。覚えなくてもいいわ。あんたはこれから…死ぬんだから!」
そう言うと、優樹菜は手の周りに水の爪のようなものを生成し右京に飛びかかった。攻撃をさばきながら右京は分析する。
(水の爪…見たところ動物のものににている、水…動物…『水虎』か?少し揺さぶってみるか)
「いや〜なかなかいい爪してるじゃない。君はなんの縁なのかな?」
「私は《水虎の縁》。てかあんた気づいてて言ってるでしょ」
バレてたか。と右京は心の中で舌をだした。優樹菜の攻撃で右京がふっ飛ばされ、壁を突き破る。廊下よりもかなり広い、開けた空間にでた。
(…こいつ、なかなか強いな。このまま押されるとジリ貧だし、敵に俺の情報はまだ見せたく無かったんだが…)
「あんたが何企んでんのか知らないけど、私団長に即殲滅って指示出されてんのよね。悪いけど、全力でいかせてもらうわ…『因子解放60%』」
轟音と共に、優樹菜の体から莫大な妖気が噴き出る。優樹菜の頭には水でできた虎の耳が生え、水を体に纏っているような姿に変化した。
「くたばれ…〔水撃業噛牙〕!」
水でできた牙が、右京に向かって放たれる。牙はそのまま右京に突撃し、そのまま壁に叩きつけられた。もうもうと土煙があがる。
「…終わりね」
優樹菜は身を翻し、部屋を出ようとした。その時、背後から凄まじい妖気が噴き上がる。
「…っ。なんなのこの妖気の量」
土煙の中から、右京が出てきた。しかし、さっきと様子が違う。髪は白く染まり、長くなっている。顔には、赤い文様が浮き上がっていた。
「『因子解放75%』…ホントは、因子解放までしたくはなかったんだよ。でも60%相手じゃね〜。」
「くそっ…効かなかったのか!まぁいい、もう一度食らわして潰してやる!〔水撃業ご―」
ドッ
優樹菜が構えていた右腕が吹き飛ぶ。
部屋に、優樹菜の絶叫が響いた。
「させないよ」
右京の手に、いつの間にか剣が握られていた。
「はっ…はっ…クソっ、クソっ、クソが!!こんなもんで私が!終わると!思うなぁぁぁぁぁ!」
切られた右腕を水で型取り復元し、水の刃を生み出した。右京に斬りかかるが、全てをかわされる。
「なんでだよ!なんで一太刀も当たらないんだ!」
優樹菜が叫ぶ
「因子解放した僕は、この先少しの間起こる事象を見通すことができる。平たく言えば未来視さ。それに君は僕に長い間見られすぎた…今の僕は、君のすべてが見えるよ」
右京はそう言うと、自分の額にある目のような文様を指で押さえる。
「終わらせようか…〔仙眼光縛〕」
優樹菜の周りに光の輪が浮き上がる。次の瞬間、優樹菜の動きが止まり、纏っていた水が崩れ落ちる。右腕の代わりにしていた水も、剣も、ただの水に戻った。
「これっ…はっ…どういう…」
「〔仙眼光縛〕は、解析が終了した敵を妖術、妖気ごと動きを封じる…君は、僕に時間を与えすぎたね」
「お前は…一体…なんなんだ…!」
動きを封じられた優樹菜が、苦悶の表情を浮かべながら言葉を振り絞る。
「僕は白石 右京…《白沢の縁》だよ。…さて、ちょっと疲れたな。他はうまくやってんのかねぇ」
崩れた部屋の中で、右京はため息をついた。
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