12.teacher
千歌との修行から数日間、連は千歌と基礎修行に励んでいた。
「そらそらぁ!そんな変な形の盾じゃ、私の妖術は防げないよ!」
千歌が繰り出した炎を必死にさばく。
(意識して出せるようになったとはいえ…きちんとした形にするの相当きついぞ…)
「そりゃっ!」
足元から火柱が噴き上がり、連はガードしたものの真上にふっ飛ばされ、地面にたたきつけられた。
「ぐぁっ!」
「連もまだまだだね〜少し休憩にすっか!」
「…了解…」
修行場の床にブルーシートを開き、弁当箱を開ける。中には、サンドウィッチが入っていた。
(心笑さん、あざっす…!)
連が夢中でサンドウィッチを口に詰め込んでいると
「そういえば、明香は?今日まだ一度も見てないけど」
「なんか天狐さんに連れてかれてたよ。あ、そうだ連。右京さんが帰ってきたって。後で部屋行きなよ。」
千歌がサンドウィッチをほおばりながら思い出したかのように言った。
千歌の話によると、右京という人物は普段は学校で教師を務めているらしい。なので、普段は幻天会の拠点には住まずにアパートで生活しているようだ。
「わかったけど…その右京さんとやらはどんな修行をしてくると思う?危ないやつじゃないよな。」
「うーん。あの人修行内容って人によって変わるからなぁ〜。でも、めんどくさいのはかわりないと思うよ。」
「痛くないやつだといいな…」
サンドウィッチをたいらげ、千歌に教えてもらった部屋の前にワープする。
『106』と書かれた金のプレートがついており、木でできたドアには細かい意匠が施されているドアだった。
(もしかして、人によってドアの形が違うのか?)
連の部屋のドアはネームプレートこそあるものの、非常に簡素なドアだった。
「失礼します…」
扉を開いて中に入る。
部屋の中は、テーブルとイスが二つという、非常に殺風景な部屋だった誰かの私室というよりは、刑務所の取調室のような雰囲気だった。しかし、部屋の中をくまなく見ても、人の気配を感じない。
(誰もいないのか…?)
誰もいないので、連は部屋を出ようと入ってきたドアの方をに行こうとした。
「やぁ」
不意に、後ろから声がした。連は驚いて、体勢を崩してこけてしまった。
「いやぁ〜ごめんごめん。そんな驚くとはねぇ。改めて、僕は白石 右京、右京先生って呼んでね。」
メガネをかけた、長髪の男だった。堅物そうな見た目とは裏腹に、とても気さくで陽気な人物という印象だったが…連の頭は違うことを考えていた。
(声をかけられて振り向くまで…全く気配を感じなかった。僅かな妖気さえも、感じ取ることができなかった。)
「それにしてもどうよ、僕の気配隠し。すごいでしょ。」
目の前の男―右京は、自慢するかのように連に話しかける。
「それで…右京先生。修行を受けにきたんですけど…」
「あぁ、そうだね。じゃ、そこの席に座って。」
連は少し緊張していわれるがまま、席に座る
「緊張しなくていいよぉ~。僕はあの二人みたいに、戦闘形式の修行なんてしないからさ。」
―戦闘系じゃないのか。連はほっと一息ついた。
「それで…今から何を?」
右京は連の前の席にゆっくり座る。
「今から、面接を行います。」
紙とペンを机の上に出して、右京はにっこりと微笑んだ。




