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その57 別行動

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします!


※エーナエルトの名前を間違えてエーテルナにしてました。

大変失礼致しました。

その57


翌日、冒険者ギルドは昼過ぎにならないと試験結果が分からない為、午前中は町中をぶらつく事にした。


穀物に野菜、果物、調味料などはディーアとそんなに変わらないけど、少しだけ値段が高い気がする。


反面肉類は少し安いのかな?


屋台なんかも肉以外はちょっと割高な感じだけど、魔物が多いこの国では人が安心して農業をおこなえる土地が少ないから仕方ないのかもしれない。


「マルボンはアースタに近い分まだお手頃価格なのですが、一部の地域を除いて果物や木の実、農作物は高いのが現状です」


そう説明してくれたのは実は同じ宿に泊まっていた三人組の一人、レイリアさんだった。


貴族が泊まるような豪華な宿だったし、エーナエルトさんは公爵令嬢。


朝食を食べに一階のレストランへ向かうと、そこで三人とばったり出会ったのだ。


エーナエルトさんたちはどうしてもお礼をしたいので、食事の後に冒険者ギルドへ行こうと思っていたらしく、公爵家の紋章の入ったネックレスとそれなりにまとまったお金、あとカードタイプの紹介状のような物を頂いた。


ほら、他国の単なる冒険者が侯爵家の紋章を持っていたら融通を効かせる前に怪しまれる可能性もあるから、簡単な経緯とちゃんと対応してね?という署名がされたカードも渡すのが流儀らしい。


で、色々と当たり障りない話をしつつ、


「昼過ぎに冒険者ギルドへ行く予定なので、それまで町を見て回ろうと思うんですよ」


なんて言ったら、三人で案内してくれる事になったのだ。


エーナエルトさんの護衛であるレイリアさんとヴァルさんは隣町であるカルボン出身らしく、マルボンの町の事も結構詳しいそうだ。


ちなみにヴァルさんは平民だけど、レイリアさんは伯爵家の三女らしい。


他国でもレベルを上げる為に冒険者をして修行する貴族は多いのだけど、魔物が強くて多いこの国では特にその傾向が強いのだそうだ。


貴族の生まれでも爵位を継げる人は限られているし、冒険者として大成したり、騎士団や軍、魔道士団などに入団する人もそれなりにいるとか。


あとは神殿関係者になるパターンだよね。


市場や雑貨屋、服や武器防具なんかも見て回り、昼にはお勧めの定食屋で食事を済ませてから冒険者ギルドへ向かう事になった。


「私達も冒険者ギルドに用事がありまして」


と言うエーナエルトさんたちも一緒にギルドへ入ると、時間帯の関係で内部は結構空いていた。


受付に座っているアウルさんを見つけ私達はそちらへ向かい、別の受付にエーナエルトさんたちが向かった。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。

レイ・ラーサ国内での皆様の等級が決まりましたので、カードの提示をお願いします」


アウルさんにそう言われて四人ともにカードを提出するとざっと内容を確認されて、色合いの違う冒険者カードを4枚、元々持っていたカードとは別に渡された。


「レイ・ラーサ国内でのみ使用可能な冒険者カードです。

なお、皆様の元々の冒険者カード及び全国のギルドにもレイ・ラーサでは別の等級と判定され活動した記録は残されましたのでご安心ください」


ふーん?と思いつつ元々持っていたカードを各々仕舞うと、新しいカードを確認した。


「ええっ?なんかSSってなってますけど?」


「私はSですわ」


「我もSだな」


「私はサラさんと同じSSです!」


私達の声を聞いて、周りにいた数少ない冒険者たちや例の三人組、ついでにギルド職員たちまで驚いた顔でこちらを見ていた。


まぁ、そうなるよね。


弱いはずの隣国冒険者達がSやらSS級冒険者だって言うんだから。


「サラ様、ステラ様共にレイ・ラーサのA級冒険者を含む集団をさして本気を出すでもなく瞬殺した腕前、どう考えてもS以上と判断させていただきました。

またフラウ様、ラル様は亜竜討伐の際にかなりの力量である事は分かりましたが、今回の判断材料が少なかった為、暫定的にS級と判断させていただきました。

今後の活動内容によっても変動させて頂きますのでご安心ください」


さらっとほぼ無表情で言うアウルさん。


いやいやいやいや、アースタでの位階を丸々無視してるじゃんね?


周りの人々も聞き耳を立てているのがわかる。


流石に納得できず、


「B級以上は貴族など有力者の推薦とか等級に見合った試験が必要だったはずではありませんか?」


と訪ねてみた。


確か以前にリューネさんが言ってたよね?


「ですからこの冒険者カードはレイ・ラーサ国内のみで通用する物なのです。

記録によると賞罰もありませんし、素行も問題ないと思われます。

実力を主として見た場合当然の判断なのです。

他国はまだ余裕があるからこそその様な事を言っていられますが、我が国には100レベル超えどころか1000レベルを超える強い魔物も複数生息しています。

実力があっても位階の関係で討伐出来ぬと言う状況を作るほどの余裕はないのです」


苦虫を噛み潰した様な表情でそう話すアウルさんの言葉に何となく納得してしまった。


例えばレベル100の魔物が町を襲撃しているとしたら、討伐依頼はA級の扱いになるだろう。


そこに平均100レベルのパーティがC級なので討伐依頼を受けれません何てことになりかねないのだ。


他の国々では滅多に起きないそんな状況が、この国ではかなりの確率で起こり得る。


適材適所。


川を一つ渡っただけなのに、武力や魔力、特殊なスキルやギフトなど実力主義を貫かないと生き抜いて行けない場所なのだと思うと何だか変な気分ではあるけれど、そういうものなのだから仕方がない。


「あぁ、そうですよね。納得しました」


私達は冒険者として活動するよりも、亜人王と妖精王絡みで行動しやすいようにレイ・ラーサの冒険者ギルドを利用しようと思っていたけど、何も受けないのは悪い様な気がして来たよ。


「ところで皆様は4名でパーティを組まれるという事で宜しいですか?」


「いいえ、基本的にそれぞれソロで活動する予定です」


アウルさんの問に私はそう答えた。


先日の夜、みんなで話し合い、妖精王と亜人王の動向を調べるならバラけた方が良いと言う結論に至ったのだ。


最初は二人一組でとも思ったけど、全員私と組むと言って聞かず、滅茶苦茶面倒な状況になったんだよね。


そこで思わず、


「ならばもうソロで行こう!どう考えてもその辺の魔物や冒険者たちに負けない実力があるし、奴等の動きが分かり次第召喚で合流すればいいんだし。

眷属同士でやり取りも出来るんだから問題ないでしょ?!

もうこれで決まり!いいね?!」


と宣言してしまったのだ。


眷属である彼らはそれに逆らう事は出来ず、渋々ソロで冒険者をしつつあちこち回って情報収集する事になったのだった。


「えっ?そうなのですか?」


アウルさんが一瞬素の表情なのか驚いた様子で訪ねてきた。


「えぇ、昨日話し合って決めました。それに元々ラル以外は別々に行動していたのでこの四人でパーティを組んでいた訳ではないんですよ」


「なるほど。確かにパーティ登録はサラ様とラル様のみになっていますね」


「ええ、パーティを解散する訳ではありませんが、たまには別々に行動してみるのも良いかと思いまして。明日の朝にでもそれぞれ旅立つ予定です」


等と適当な説明をした後、私達はギルドを後にして再び宿屋へと向かった。


勿論途中で食料各種やポーションなども他人に影響が出ない程度に買い込んだよ。


そして宿でゆっくりと過ごし、夕食の時間に食堂へ向かうと、エーナエルトさんたち3人が私達の席へとやって来た。


「このような場でぶしつけではありますが、サラ様たちは明日の朝に町を発つと伺いましたのでお声掛けをさせて頂きました」


二人の雇い主であるエーナエルトさんが静かにそう声を掛けてくる。


「ええ、しばらくの間バラバラに国内を旅してみようと思いまして」


SやSS級の冒険者が一人で歩き回っても誰も文句は言えないはずだしね。


「でしたら、せめてサラ様だけでも私の護衛として依頼を受けてはいただけませんか?」


エーナエルトさん以外の二人も真剣な表情でジッと私を見詰めている。


「え?公爵家の方を私が護衛ですか?」


「はい、そうです。

実は先程月神様より啓示を授かったのです。

〈星神の愛娘〉と共に旅をせよっと」


「愛娘って…あー、そういう事ですか」


本当に星神の娘、つまり子供として告げられた訳じゃなくて、よくある〈○神に愛された人〉とか、〈✕神の申し子〉とか、そんな風な意味の一つだよね。


「具体的な名は言われておりませんが、星神様の愛娘とまで言われるお方となると、巫女や聖女、または眷属の方であるとしか思えません。

今日はご神気を感じませんが、先日のサラ様のご神気、そして眷属であると言うお話は伺いましたのでまず間違い無いと思うのです。

いかがでしょうか?

どうかお願い出来ませんか?」


「えぇ、私が愛娘がどうかは分かりませんが、それで宜しければ是非に」


と答えるのだった。


ぶっちゃけ妖精達に襲われたと思われるこの3人組とどうやって行動を共にしようか考えていた所だったんだよね。


こっそり跡を付けるのもその内バレそうだし丁度よいかな?と。


あ、依頼料とか期間何かの話を聞く前だったよと思った時には、めっちゃ喜ぶエーナエルトさんとレイリアさんの勢いに押されて聞きにくい状況になっちゃったのだった。

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