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その45

その45


〈解放条件が達成された為、封印中のベースレベルが800上がりました。


ベースレベルの上昇によりHP、MPが全回復しました。


能力値ポイント、スキルポイントが800ずつ加算されました。


熟練度上昇の為、剣術7 特殊戦闘:天人剣10 特殊戦闘:羽衣10 回避8 召喚魔法9

属性魔法:水10・風10・光9・地9・空9、火7、雷7 投擲6 天術9 竜使い8 竜人格闘術9 竜気操作9 収納魔法10 魔力感知10 魔力操作10 魔法適正7 精神抵抗10 

MP増加10 隠蔽8 斥候術8へスキルレベルが上がりました〉


そんな天の声を聞きながら、思い出した封印前の記憶を振り返った。


あれは私が142歳の頃だ。


東大陸をあちこち旅をしてサティルカーリ、面倒なので以降サティを探して回った。


途中ドラゴンやらワイバーンなどの亜竜を倒してレベルも上げてたけど。


そして西大陸へと向かったという情報を複数得て、その辺の野良風竜を捕まえて東大陸を旅立った。


大陸間を一人で飛んでいくのは面倒だし、下手な古竜より風竜の方が飛ぶの早いからね。


そして東大陸と西大陸の丁度中間地点に差し掛かる頃、もう一つの大陸と呼んでも良い程に途轍もなく大きな島へと辿り着いた。


まぁ東西南北の各大陸から見てもほぼ中心地って言えるよね。


そこは亜竜どころか竜すらもがアホみたいに生息していて、私は嬉々としてレベル上げをしまくった。


島に着いた頃には400レベルは超えていたけど、空にしても海にしても下手な魔境より強力な魔物が出てくるから大陸間移動には心許なかったんだよね。


パーティーなら補い合えるけど一人だし。


中にはその島には西大陸にはほぼ居らず、東大陸でも滅多に遭遇することの無い変わったドラゴンも生息していた。


てか、昔の私がアホみたいにレベル高かった理由が分かったわ。


無駄に硬くて魔法が効かない代わりに、物凄い経験値が得られると言うシルバードラゴンやブルーメタルドラゴン、ゴールドドラゴンにミスリルドラゴン、オリハルコンドラゴン、ヒヒイロカネドラゴンなどもかなりの数が生息していてね?


普通の人ならまず戦おうとは思えない丈夫さだけど、私にとってはボーナスその物だ。


何せ私は奏竜天女。


素手で普通のドラゴンを殴り倒せる位に竜特化のギフト持ちだからね!


あ、風竜はその島から東大陸へと帰らせたよ?


流石に旅のお供を経験値とか非常食みたいな目で見たりはしていないからね。


最初のうちは一匹倒すだけで100レベルくらい一気に上がったけど、段々と伸びが悪くなり、数匹倒してやっと1レベル上がるかどうかって頃に五竜の一竜フラナヴァータと出会った。


ずっと真冬状態の地域があって、そこの主がフラナヴァータだったんだよね。


かなり強かったけど死にかけながらもどうにかボコり、私の眷属とする事が出来た。


竜の因子がない精霊王だったら負けてただろうね。


天人族は風圧や冷気に対する耐性が高いので、これも相性として良かったのだと思う。


この頃すでに私は1000レベル前後だったけど、フラナヴァータを眷属化する事で1100レベルを超えちゃった。


経験値とはよく言ったもので、高位の存在と戦うだけでも止めを刺した時ほどじゃないけどかなりの経験値を得る事が出来た。


開きがでかいと多分ボロ負けてもレベルが上がる位得られるのかも知れない。


魔物相手だと負け=死ぬ可能性の方が高いけど、そこを生き残れるってある意味凄い経験だもんね。


あ、そう言えばリューネさん、以前ラルから魔王を追い払ったしかなり経験値が入ってるかも知れない。


師匠として今度聞いてみよう。


それは兎も角、フラナヴァータを眷属として竜の島を旅していたら、かなり標高の高い山脈と、向こう岸が見えなくて海と見間違えるほどに大きな湖があった。


その辺りには何と町や村があり、竜人族が暮らしていた。


たまに他の人種も見掛けたけど、その大半は遭難者だった。


竜や亜竜の大半は野生だけど、竜人族がテイムした個体も居て、その子達が助けて連れてきたり、島に辿り着いて島内探索中に竜人と会ったりしてここで暮らすようになったらしい。


東西南北の大陸のほぼ中心にあるから流れ着く人もそれなりに居るそうだ。


帰るにしても船なり竜なりを準備して、また大変な航海なり空の旅をしないと駄目だし、生きて帰れる可能性が低すぎるからね。


で、ここで出会ったのが竜王ことヴィンドゥナガ、私のご先祖様の一人だった。


フラナヴァータを眷属とした者がいるらしいと聞き、ちょっと興味本位で探してみたら昔惚れて結婚した天人の血を引く女性に何処かしら似ている私と出会ったって感じだね。


魔王ヴィンドゥナガは巨大な湖にある大きな島に竜宮と言う宮殿を作って暮らしているらしい。


魔眼の一種である竜眼で私を血縁者であると見抜いた彼は、竜宮へと招いてくれた。


で、何故か特訓となり、魔王や彼に仕えていた八竜との戦いの日々を昼夜問わず過ごす事に。


古竜や真竜、精霊王クラスに魔王との戦いは物凄い経験だったけど、何度も死にかけた。


そして3年の月日が過ぎ去り、毎日朝から晩まで戦い続けていたら、八竜のうちの四竜が私を主として選んだんだよね。


この時に一度竜女帝の称号を得たんだわ。


2600レベルという謎の世界に突入してたけど、上には上が居るもので、残る四竜や竜王には勝てなかったし、西大陸へ来てからも負けた事はあるんだよね。


竜王からはわしの全てを得て魔王を継げと言われたけど、魔王って世襲制じゃなかったはずじゃね?


勿論断わったよ。


竜集めと戦闘しか興味ない存在になんかなりたくないし。


「また会おう!」


そう竜王は言ってたけど、ご存知の通り全部すっかり忘れ去っていましたとも。


そして西大陸へと渡った訳だけど、竜王はアルシュを通してその様子を見ていたらしい。


そして私を守るべく眠りに付いた時、干渉して自分の意識の一部を力とともに植え付けたって所だろう。


でも眼の前に居るのは分身体とかじゃなくて、多分本体だね。


ユグヌスクさんが植物を経由して転移出来るように、ドラゴンを通しての転移ってところかな?


にしても何だろう、記憶にあるよりも老けて見えた。


私と会ったときは人間で言う20代後半だったけど、明らかに40代後半に見えるんだよね。


竜人族は元々長命種だし、会ったときには既にその理すらも超えて数千歳だったはず。


魔王ってことは多分加齢なんてほぼしないはずなんだけど。


「サラよ、ずーっと見ておったぞ。本来の力を開放する前にユグヌスクはともかくエネエブラスまで配下にするとはなかなかにやりおるな」


なんか妙に嬉しそうに話してるけど、ラルやルーナがゆっくりと私や意識を失っているアルシュを庇う様に動き、ユグヌスクさんやステラ、ノクスもいつでも戦える様に身構えている。


まぁ、ヴィンドゥナガが残る四竜を召喚して本気を出したら、この面子でもまず勝てない気がするけども。


あ、三姉妹がエネエブラスになればいけるか?


そんな物騒なことを考えていると、ヴィンドゥナガはスッと腰を下げて臣下の礼を取った。


「すべての竜と神々にかけてワシ、ヴィンドゥナガはサラストリーの眷属となる事を誓う」


〈…解放条件が達成された為、封印中のベースレベルが400上がりました。


ベースレベルの上昇によりHP、MPが全回復しました。


能力値ポイント、スキルポイントが400ずつ加算されました。


竜王ヴィンドゥナガが眷属になりました〉


脳内にまたもや星神様の声が響く。


何だか一瞬躊躇していた様な気がするけど、気にしたら負けだ。


「ちょっと、何言い出すの?!てか、また開放されちゃったじゃん?!」


「ふん!皆してずるいのじゃ!こ奴らだけ仲間にしてワシだけのけ者にする気かっ?!」


「子供じゃないんだからいい加減に…」


竜王に文句を言ってやろうと思ったけど、急速なレベルアップの影響で激しい目眩がしてきたよ。


まただ。


立っていられなくて床に倒れ込みそうになると、神速とも呼べる速さでラルが支えてくれた。


「主よ。今しばらくは休むが良い」


何か返事をしなきゃと思いつつも、私は意識を失った。




魔封じの森の中、私は五竜と共にサティと対峙していた。


これは夢だ。


過去に実際にあった出来事の再現、封じられていた記憶の再生であり開放そのもの。


サティの近くにはゴブリンなどの下位の魔物だけではなく、オーガやトロール、ダークエルフや森巨人、山巨人などの人型魔物と、それらに使役された獣型の魔物たちが集結している。


私は仲間たちを巻き込むのを恐れて、パーティーを抜けてからこの戦いに挑んでいた。


これは私の戦いだと、そう自分に思い込ませていたんだよ。


本当はみんなに見せたくない姿を晒すことになりそうだったから、竜たちだけを連れて戦いに挑んだんだけどね。


亜人王は戦闘タイプの魔王じゃないけれど、精神攻撃はかなり得意だ。


同士討ちなど始まったら流石に私も困るからね。


アホみたいにレベルを上げたお蔭で、サティの精神攻撃はほぼ私に効果を現さない。


彼女は胡蝶之夢で複数のギフトすら得ていたけれど、それでもその体は天人女性が多少丈夫になった程度だ。


「サラ、やっと殺しに来てくれたのね!何処ぞの勇者や聖女に狙われたらどうしようかと思っていたわ。

何しろあれ等は魔王を殺せる資質を持っているものね」


そう、魔王は封印したり傷を付けることは出来ても、魔王同士か特殊なギフトを持つ者以外、殺す事は出来ない。


それが勇者や聖女、賢者や聖人、天女などの特殊ギフト持ちの役目の一つでもあると言って良いのだけれども。


「サティ!あんたの思い通りにはさせないから!」


こうして私達は激しい戦いを繰り広げた。


魔物たちとともに森は焼け、大地は形を変える。


森の半分近くが壊滅状態になった頃、敵の勢力は人型や使役された魔物だけではなく、その血や魔力に惹かれた無数に住まう森の魔物たちも加わっていた。

 

「五竜!ブレスを一斉掃射!」


風が火が水が冷気が、そして無数の石礫が魔物たちを穿ちえぐり焼き引裂き、死屍累々と化した森であった所でサティが嬉しそうに剣を手に私へと襲い掛かってきた。


「遅い!」


サティは決して手を抜いている訳じゃ無い。


魔王でありレベルも1600ほどとそこそこの高さを持ち、ギフトすら複数得ていたけれど、彼女は何処までも後衛だったのだ。


それに対してバランス型の私は本来不利になりそうだけど、この時点で私のレベルは2744とサティの倍以上だったので、どんなに魔法やスキルを使っても私のスピードやスキルに追い付けないのだ。


私は左右の羽衣を繰り出してサティの身を拘束し、雷を流し込んだ。


びくんびくんと痙攣してサティは剣を落としたけど、その目は諦めてはいなかった。


本気を出さないと私がサティを殺さないだろうと、そう読んでいたのだろうね。


体の自由を奪われている彼女を、羽衣で地面に叩きつける様に投げつける。


地響きが起き土煙が舞う中、彼女はそれでも生きていた。


痺れからはどうにか自由を取り戻した様で、あちこちから血を流し右腕は腫れ上がってぶらんと垂れ下がり、右足も膝から下が変な角度になっていたけど、それでも彼女は右手から無数の蝶を放つ。


「無駄。

夢想聖剣乱れ突き」


天人の技は何を相手にするつもりだったのかと聞きたいくらい、謎の技が存在していて、その一つを放った。


夢や幻をも断ち切る聖なる剣で放たれる数万と言う突きは、蝶だけでなくサティの手足や腹部なども刺し貫く。


正直に言えば最初の段階から殺そうと思えば簡単に殺せた。


魔王は本来、同じく魔王か勇者、聖女、賢者や聖人などの特殊ギフトを持つ者ならば止めを刺すことが出来る。


逆に言うとそれ以外の者では傷付ける事は出来ても殺す事は出来ない。


封印は可能なんだけどね。


そして私は天女だ。


人間で言う勇者や聖女に値する存在、時に神々の使いや化身とまで言われる天女が魔王を殺せないはずもなかった。


でも、それでも。


「さぁ!サラストリー!私を殺しなさい!この苦しみから開放してっ!!」


血を吐き、ズタボロになったサティの叫び声が聞こえてくる。


それは彼女が持つただ一つの希望、胡蝶之夢と魔王と言う座からの開放を望む心からの願いだった。


でもそれだけは私は出来なかった。


だから結局、彼女を傷付け抵抗できない位に弱らせる必要があったのだ。


私は収納から冒険の中で手に入れた古代魔道具の一つ、封印の宝珠を取り出す。


血にまみれまともに動けなくなったサティはそれが何なのか、瞬時に悟った様だった。


「この弱虫!卑怯者!

やめて、お願いだから止めて!

私を殺して!後生だから、もう嫌なの、私を助けてよ、サラ姉…」


喚くサティを無視して私は宝珠を起動する。


まともに動けないはずのサティが何かしらのギフトかスキルを使おうとしたけど、空魔法で彼女の空間を歪めて転移の類を一切阻止した。


「眠りなさい。私も一緒に眠るから。存在を掛けて貴女を永遠に眠らせてみせるから」


今思えば酷い選択だよね。


私は彼女の苦しみを身近で見ていたし、里を出てからの数々の行いもその足あとを辿る事で知っていた。


なのに、それでも自分の気持ちを優先させたのだ。

 

逃げそのものだよね。


眠りこそが最も彼女に苦痛を与えると言うのに、それを知りながら永遠の眠りを与えようとする傲慢さ。


自ら死ぬ事も出来たし、他の魔王や勇者に討たれる事すら出来るのに、彼女は唯一の救いとして私を選んだのだと言うのに。


まぁ、そこが彼女のズルさであり弱さなんだけどね。


本当に親しいのなら、その弱さも受け止めてあげれば良かった。


ラルとの出会いで内から湧いたあの思考こそが、過去の私そのものだったのだ。


それでも半身とも呼べるくらい、百年以上ずっと一緒にあった彼女に生きていて欲しかった。


でも、それ以上にあったのは、私の手を汚したくないという、そんな思いがあった事にもあの頃から実は気付いていた。


そのエゴこそが私の罪なのだと今なら分かる。


私と彼女に縁がある限り、私だけじゃない。


私の身近な人や、ただ近くに居ただけの無関係な人にまで被害は広がるんだ。


彼女の唯一の希望すらも暴力で打ち砕き、生きてきた年数とほぼ同じだけの地獄を味合わせる事になった。


思い出せない訳だよ。


だってこんな事、昔の私なら思い出したくもない事だもんね。


元々行き当りばったりな私が、年単位の計画を立てて行動する事自体かなりのストレスになっていたはずだ。


色々と気になる事が多過ぎて眠れない日々が続くこともあったし。


忘れてるものは仕方ないと開き直って爆睡出来る私とでは、そりゃ気持ちの余裕一つとっても違うよね。


今の私にとっては、思い出して良かったと、そう思える事だった。


だって何も分からないままに生きるより、過去の自分が何を考えて何をしてきたのか?


それがはっきりと分かるのだから。


今度は間違えない。


私は心にそう誓うのだった。


46話が書き終わり、47話目を書き始めたので更新しました。

宜しくお願いします。


天人女性を天人の血を引く女性へ修正しました。

人間を介さないと異種族間では子供を作れないので。


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