表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/24

019 (フィアナ視点)世界最強の防犯システム⑥

「レイジ!」

「零児くん!? ほんまに! 零児くんなん!?」


「このクソガキ!」


 助手席の男が零児に銃を向ける。

 この距離なら絶対当たってしまう。


 男は引き金を引く。


「だめぇ!」


 私は叫んだ。でも無常な発射音がする。

 でもレイジは体を反ることで射撃を回避した。


「おい、跳弾して二人に当たったらどうするつもりだ」

「こいつ……避けやがった」

「知らないのか。 銃口の向きと引き金の指の動きに集中していれば弾は避けられるらしいぞ」


 レイジは左手で助手席の男の銃を掴む。

 指を引き金に引っかかるように入れて次の発射を防いだ。

 そのまま右手で助手席の男の額にコツンと拳を当てる。


「んごっ!」


 男は気を失い、倒れてしまった。


「ウソだろ!?」

「おい、前を向いて運転しないと事故るぞ」

「や、やべぇ!」


 前方がカーブとなっておりこの速度だと間違いなく曲がりきれない。

 だけど不思議と怖くなかった。


「2人とも行くぞ」


 レイジが車の中の私とさくらをまとめて抱えあげて、車の上に手をかけて、外へ飛び上がる。

 一度車の屋根に着地する。


「こ、これどうなってんの!」

「2人とも飛び降りるから黙ってろ。舌を噛むぞ」


 その驚異的な身体能力。

 幼い頃、こんな誘拐とは比べものにならないほどの危機に陥った私を救い出してくれたレイジのお父さんのマッキーにそっくりだった。


 子供の頃言ってたもんね。絶対に強くなるって。

 マッキーよりも強くなって私を守ってくれると約束してくれたよね。


 私との思い出はあなたの記憶から失われてしまっているけど、今のあなたがあの時と同じように私を助けてくれること、それがたまらなく嬉しい。

 地面に降り立つ直前に少し私とさくらを浮かせて、着地の衝撃を殺した。


 そのままゆっくりと私達を地面に下ろした。


「錠を外す、じっとしてろ」


 レイジは鉄の鎖を引きちぎり、私とさくらを離した。


「2人ともケガはないか」


「はい、大丈夫です」

「は……はぁ、力抜けてもうたわ」


「っ!? レイジ、車が!」


 私達を誘拐した車がギリギリの所でブレーキで停止する。

そこで止まったままなら良かったのにバックして、転回して突っ込んできたのだ。

パトカーのサイレンを音を聞いて運転手の男が動転しているのかも。


「俺の前に出るなよ」


レイジは構えを取り、突っ込んで来る車に拳を向ける。


「零児くん、危ない!」

「大丈夫」


 さくらの声に私は声を出す。

 なぜならレイジは世界最強の傭兵の血を引く、私の許婚だから。


「はぁっ!」


 レイジは飛び上がり、車の直進を避け、そのままかかと落としで車のボンネットを破壊。

 返す足でフロントガラスに強い衝撃を与えた。

 フロントガラスに大きな傷がつき、車は停止する。

 わずかに見えるガラス面からエアバックが作動し、レイジの蹴りの衝撃で運転手は気絶していた。


 レイジは地面に着地し、傷一つなく私達に近づく。


「2人とも無事か?」

「はい、さくらも私も無事です」

「そうか……良かった」


レイジはさくらの方を見る。 


「すまないな。まさかここまでのことになるとは……予想外だった」

「……うん、ちょっとびっくりしたわぁ。やっぱ日本とちゃうんやね」


 日本語なので何の話をしているか分からないけど……さくらに傷がなくて、本当によかった。


「って……零児くん、何者なん? スタントマンとかしてんの?」

「どこにでもいる高校生だよ。まだ入学してねーけど」

「いや、自転車で車に追いついて、車の屋根に飛び乗るとか。車を足で破壊する普通の高校生なんておらんよ……。銃だって。撃たれたのにどうやって避けるんよ」

「銃口の向きと引き金の指の動きに集中していればできるぞ。ま、練習が必要だけど」


 さくらの動きが止まる。

 すると何か思い出したように声を上げた。そしてレイジを指さす。


「ああ、そのセリフで分かった! 思い出した!」

「なんだよ」

「去年、東京で銀行強盗の立てこもり事件があって……銃を持ってる強盗6人をたった一人の中学生が制圧したやつ!」


「ああ……あったな」


「弾を軽やかに避けたってテレビでやってて、名前は上がってなかったけど絶対零児くんやろ!……まさに()()()()()()()()()()()! ……世間は彼をこう呼んだ」


「何でナレーションっぽく言うんだよ」


「リアル京極真と……」

「マンガのキャラと一緒にするな。まぁ……友達に言われて試したことはあったが」

「へ?」

「柱をぶっ壊して空に飛ぶってのは出来たけど、全方位で放たれたBB弾の全掴みは無理だ。精々四方向が限界だよ。やっぱ現実はそう上手くいかねーよ」

「この人何言ってんの?」


 さくらが首を傾げ、次に私の方へ向く。


「フィアナちゃん、零児くんは世界一! 世界一!」


 さくらは日本語で話していたため何と言っているかいまいち分からなかったが、最後の世界一だけはサルヴェリア語で言ってくれたので伝わった。

 何だか知らないけどレイジは世界一らしい。


「レイジも世界一なのですね」

「アホか。親父やその仲間達には全然敵わないし、あんたの世界一に比べたら大したことねーよ」


「でも助かったわ。すっごく怖かったけど、フィアナちゃんがずっと励ましてくれて……フィアナちゃんは凄く気高かったんよ! 男達にも立ち向かってたし、格好良かった!」


「そうだったのか。フィアナ、よく頑張ったな」


 その言葉を聞いた途端……気持ちがふっと日常に戻ったような感じがした。

 足を震えて、立てなくなってしまう。


「フィアナ!」


 へたりこむ私にレイジが支えてくれる。


「あはは……ほっとしたら急に震えが出てしまいました」

「フィアナ」

「……レイジ、昔みたいに抱いてもらったらきっと収まると思います」


 なんて……今のレイジに言っても馬鹿なこと言ってんなって言われそうだけど……。

 昔、療養していた頃、いつも怖がる私をレイジは抱きしめて慰めてくれた。

 あの時のことのように……何て上手いこといくはずないよね。


「分かった」

「え」


 そして私は彼に抱かれる。

 力強くそして頭を優しく抱かれた。


「昔のことは覚えてないけど……これでいいのか」

「は、はい」


 これはまずい。

 嬉しいのとぎゅっと抱かれてるたくましさに体がぐっと熱くなってしまう。

 体の震えはすぐに納まった。そして嬉しさがこみ上げてくる。


「俺はさ。あんたを守るためにここへ来たんだ」


 力強く抱いたまま、レイジは私を見てくれる。

 芯の強い黒の瞳でまっすぐ見てくれた、


「レイジ、それはどういう……」


「親父から言われたサルヴェリア行き、初めは断ったんだよ。でも……親父はしつこく言った。『守ってあげたい子供がいる。俺は事情で守ってやれないからおまえが守ってくれ』って。彼女を守ることがおまえのためになるって」

「……マッキーが」

「その子供は多分あんたなんだろう。だからさ」


 レイジは私の手を掴む。力強くて温かて……でも優しく握ってくれた。


「許婚とかそういうのはわかんねーけど、少なくとも高校3年間、フィアナの側に俺はいる」


 レイジは私の手をぐっと握ってくれた。


「俺が必ずフィアナを守るよ」


京極さんみたいなアホみたいに強い高校生を主人公にしたいなと思い、レイジを主人公に立てました。

このストレートな強さを持って第二章の学園編を乗り切っていく形となります。


1章終わりまであと3話。後日談をお楽しみください。


期待頂けるのであれば作者の今後の執筆活動のためブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」として入力を頂けるとそれが一番の作者に対する応援となります!


ブックマーク登録で2ポイント ☆1つで2PTで計10ポイントで 最大12ポイント入れることができます。

1人1人のポイントが大きな力となります。もちろん強制ではありませんがもし頑張れと思って頂けるなら応援をお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ラブコメだと思っていたけど、いつの間にかアクションになってる… でも、これはこれで、なかなか面白いっす! 次の展開、楽しみにしてます!
[良い点] あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 「おれは糖分多めのラブコメを読んでいたと思ったら いつのまにかアクションものだった」 な… 何を読んでいるのかわからねーと思うが  おれも何を読んだの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ