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最弱はバラバラな世界を一つにする  作者: アリア(紫骨 骸)
16/17

【16:人間は魔力を入れすぎると破裂して死ぬってよ】

「大丈夫デスカ?マァトテモ大丈夫ソウニハ見エナイガ。」


急に口調が丁寧語じゃなくなったことへの驚きが尋常ではない。

同じ機械音なのに。


ロボットって何かしらを埋め込んであって、それによって対応させるように出来ているんじゃないのか?

ということは遠隔操作か出来るということで、やはり魔法か?魔法なのか?


なにそれ魔法万能すぎるやん。


「突然口調ガ変ワッタコトハ気ニシナイデクレ。事情ガコチラニモアッテナ、人間ノ音声ヲ入レテヤレセテモラッテイル。理解シテクレ。」


ふむ。

静かにその話を聞く。どうやら向こうにも何かしらの事情があるらしい。

遠隔操作では出来なくなってしまったということだろうか。


きっと、急なトラブルで機械の音声データが一気に吹っ飛び出来なくなってしまったのだろう。よくあることだ。

バックアップは大事なのだ。

この前、安易にデータを消すのは良くないと分かったところである。


「次ノ試験ハ魔力ヲ測ル試験ダ。ソレゾレ好キナ魔法ヲ放ツトイイ。ソノ結果デ魔力ヲ測ル。チナミニコノ機械ヲ使ッテ測ラセテモラウ。」


あ、あれは……ローレンの家でも見た魔力カウンターではないか!やはり本にも書いてあった通りこれでやるんだな。


「チナミニ数字ハ、ソチラ側デハ出テコナイ。機械ヲ壊シテモ構ワナイ。自分ノ全テノ実力ヲ出セ。」


いや、数字でないんかーい。

いや、壊していいんかーい。


同じ機械音で平坦な音のはずなのに何故か気持ちが篭っているような気がした。

おかしいと分かっていてもそう感じてしまったのだ。


そこには熱く燃える闘争心でも無く、

期待するような心でもなく、

煮えたぎる復讐心でも無く、

ただただ何かを確かめるような慎重な心であった。


何か引っかかるような……?


「壊してもいいってさヴィオラ!思いっきりやろ!」

「……そうだな!」


まぁ、いいか。

物事は後で考えるに限る。


「さっきはせーので出来なかったから今度こそ!」


随分と気合いが入っているようだが、本当にそうすることに意味があるのかは正直に言うとわからない。


「はいはい、でステリアは何の魔法使うの?」

「ビームみたいなやつ!」

「おう……。」


具体的すぎて逆によく分からなかったが、とにかくビームなのか。

もう、ステリアがだんだん子供に見えてきた。ほら、なんかだんだん背が低くなって俺のことお兄ちゃん呼びしているような……っと別世界に飛ぶところだった。危ない危ない。


「ヴィオラは?」

「俺は毒魔法かな。炸裂するヤツ。」


木っ端微塵になるヤツである。

と言っても相手は機械なので壊れるような気はしない。


「なにそれ面白そーう!」

「だろだろ!」


反応してくれたのが嬉しくて思わず返事をしてしまう。


やはり世の中、面白いのが一番である。誠実に生きろだとかルールを守るとかは二の次!やはり楽しまなくちゃ!


「壊せるかな!」

「んー、多分無理かな。」

「壊せるかな!」

「えーっと……無理だと思う。」

「壊 せ る か な !」

「……ちょっと無理かなと。」

「なーんーでー」

「無理だからだよ!?」

「そっか!」


理由を言っているのに理由を聞かずに自分の意見をとても押し付けてくる。なんだ、何がしたいんだ。


「だって、目の前を見てみれば分かるだろ!?機械だぞ、機械。さっきのは軽かったからいけたけど流石に機械は無理。」

「やってみなくちゃわからない?」

「大科学実験!分かったよ!やればいいんでしょ!」


俺が折れた瞬間、手を上に大きく上げて勢いよくジャンプし、ひゃっほーいとおかしな声を上げて喜んでいるのが聞こえた。

瞬間黒いモヤが見えたのは気のせいだろう。連日(?)の異世界で疲れているのだ。


「じゃあじゃあ、せーのって僕がいったら、一緒に技を放つからね!絶対だよ。」

「……分かったから始めていいよ。」


何度も何度も確認するように言ってくるステリアに、半分呆れながら返事をする。


「あっ、ちょっと待って!一応、二人で防御魔法張っとかない?」

「なんで?」

「だって、さっきの衝撃だけでも穴ボコボコ空いてるよ。」

「……。」


そう言われてよくよく壁や床、天井を観察してみる。

穴が沢山空いている。どうしたらこうなるんだ。


「い、いいけどさ。この穴はどうするわけ?」

「直すよ!」

「あ、うん。じゃあお願い。」

「いや、ヴィオラも一緒に直すんだからね。」

「ん?」


聞き間違いかな?

ちょっとよくわからない人外の言葉が聞こえてきた気がする。


「さぁ、ヴィオラ。壁達を癒してあげる気持ちを前面に出し回復魔法をぶっかけるだけよ!」

「それが出来ないっていって……あ、出来た。」

「やるぅう!」


適当に回復魔法をかけたらしっかり直ってくれた。ステリアも一緒に直していた。


「で、なんで俺にやらせたわけ?」

「え?だって僕だけ魔力削られたら面白くないじゃん。」


理由が小せぇ……。

でも、一理あることは確かか。


「で、あとは防御魔法を全体に貼ってっと……そっちもやって。」

「分かったよ。防御魔法を壁床天井囲むように貼ればいいんでしょ。」

「間違っても魔力カウンターを防御しないでね。壊れなくなるから。」

「元々壊せないだろ。分かったけどさ。」


そんなことを考えていると、もう始めるよー?というようにこちらに手を振ってくる。

大丈夫だ!という意味を込めて手を振り返す。


「じゃあ行くよー?せーのっ!」



最後の試験者の2人が技を放った。大きな画面に映るその様子を部屋にいる全員が興奮しながら見ていた。

モニターの部屋にいるのは、本来、試験監督2人のみである。

しかし、今、計13人の人が席について、固唾を飲んで、その画面を凝視しているのだ。

それは、その日の試験を担当している試験監督が2人、面談に来ていた来年入学予定の親子2組が4人、面談の教師が2人、本日資料整理のために学園に来させられていた教師が4人、この学園の研究員兼教師が1人。


(あの2人の魔力量はどうなっているのだ。普通ではない。異常な領域と言える。あれだけ消費していればどこかで休憩を入れないとやっていられないはずなのに。)


何故だ。


コリアン・ヴェネチッド。

様々な魔法の開発を進める研究員の1人であり、この学園の教師である彼はそんなことを思った。


自分の作品には絶対的自信があった彼。


緻密な魔法の設計により、自己、知能を持ち、自ら話すことや回復、攻撃をすることが可能になった、魔法機械。

どんな攻撃が当たろうと、一切傷をつけることの出来ない龍の卵の殻を、存分に使った、力吸収器具。

そして、どんなに強い攻撃を与えても、壊れることのない白龍の翼を使った高級仕様の、魔力カウンター。


彼の中で確信していた常識が全て覆されていた。

一つの試験で、この1日で。


魔法機械は、途中から自己を消され、まるで的確に魔法の組み方を変えたかのように自らで話すことが出来なくなっていた。

力吸収器具は、軽くやっただけの魔力の一切ない攻撃で、その名の通り、無くなってしまった。


魔力カウンター、これだけは有り得ないだろうと確信していた。国一番の魔道士に最大魔力で上級魔法を試させたが、しっかりとカウンターが表示されていたし、これから入ろうとする子供ではないのだから。

だが、実際はどうであろうか。

お揃いと言えるほど似ている服を着た少年2人が魔法を放つ。


右の少年は、毒魔法と炸裂魔法の混合した魔法を使った。魔法の組み方で言うならば上級、いや、神級だろう。二つの魔法の混合は一般人にはできない領域、それと同様に魔力も多く必要とする。少年の放った混合魔法により、魔力カウンターは炸裂し、跡形もなく消え去った。


左の少年は、宣告通りビームを放った。本当に光の光線である。初級魔法であるのだが、威力は桁違いであった。光線は大きく、もはや魔力カウンターを包み込むぐらいになっており、その光が消え去った頃には、焼け焦げ、灰と化した機械が残っているのみであった。


1人の少年は「うわ、壊れちゃった。老化してたのかな……。」などとぼそぼそ呟いており、それは君たちが来る前に私がしっかりとメンテナンスを行なった機械なんだから壊れているはずがないだろう!と心の中で泣き叫ぶ。


もう1人の少年は「そうなんじゃないの?」と相槌を打っており、再び心の中で泣き叫ぶ。


二人の少年に疲労している様なものは見えない。

清々しい顔をしている。どの試験でもそうだった。


防御試験では、どんな攻撃も塵にしていた。最後の最後まで、ぶっ続けで、貼り直さず防御していたのにも関わらず、上級魔法の防御までもをしてのけた。しかも、お話をしていたり、随分と余裕があるようだった。


体力試験では、本当に最後にはつまらないとでもいうように走っていた。さっきと同じく途中でお話を始めていた 。走るスピードも異常と言えた。汗一つかいていない、そしてスピードは時速100キロ。人間の域を軽く超えていた。


攻撃試験では、力吸収器具を、難なく破壊した。画面側から見ている身としては、少し触れただけに見えるのに、その腕にどんな力が含まれているのか、という程に的確に壊された。だんだん硬くなっているのも気にせず、すべて壊された。


そして、魔力試験。絶対に壊れないと、国一番の魔道士に保証された魔力カウンターを使った、にも関わらず、呆気なく壊された。異常な光景に、自分の目を疑ったが、これが真実だ、と訴えられるばかりであった。


よく分からなかった。


研究をして、引き篭もってばっかりの自分に、ドッキリでも仕掛けようと思ったのか、と思う方が随分と信憑性があるだろう。

これで誰かが看板を持って「ドッキリでした〜。」と言ってくれたら、どんなに楽だっただろうか。

だが、現実にそんなことはありえない。この画面越しで見る映像が本物なのぐらい私も分かっているし、彼らが試験に来た者だということもしっかりと分かっていた。

分かっているはずなのに、信じることが出来ないのだ。


否、自分のこれまで真実と信じていたことが嘘であったと認めることが出来ないのである。


本物だと分かっているはずなのに、否定できる何かを探している。しかし、探せば探すほど肯定するしかない証明が暴かれるだけであり、それが紛れもない事実であることを悟っていた。


(あれだけの攻撃を放っても、壁と床、天井には一切傷がついていないんだな。)


現実逃避をしながらそんなことを考える。


世の中には自分の測れないものが多くあるんだな、と計測不能になりエラーを起こした機械を見ながらそう思ったのであった。

やはり主人公は無自覚チートでなければ!

無自覚って非常に大事です。皆さんもやりましょう。

次は一週間後出せたらいいですね!

きっと出せますとも!


ー作者の日記ー


黒いモヤと言えばやっぱりご定番ですからきっと世界の脅威となるような力を持っていそうですよね。

でも安心しましょう、ステリアはとても優しいいい子なのできっと世界を脅かすような真似は致しませんよ。

とても優しい子です。


コリアン・ヴェネチッドと聞いて思い当たる節がある人も多いのではないでしょうか?

是非、見返してみてください。言っている意味が分かるはずです。

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