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最弱はバラバラな世界を一つにする  作者: アリア(紫骨 骸)
12/17

【12:人が死なない魔法を使いたい】

《Day3昼刻》


「という訳で教えてくれないか?」


貴族の昼食にお邪魔させてもらいつつ、ローレンにそんなことをお願いする。


食堂へと駆け込もうとしている途中で庭のバラ園に捕まってずっと眺めていたのは内緒だ。

とても綺麗だった。


「そんな、重要な役割を私がしちゃっていいのかな。」

「もちろん、明日に備えて練習しておきたいし!」

「私でいいならいいけど、仕事があるから遅くなっちゃうかもだけど、それでもいいかな?」


仕事か、やっぱり貴族だし仕事ってあるもんなんだな。そりゃあ沢山お金持っていても仕方ないし、消費する必要もあるしな。大変なんだろうな。

貴族の気持ちはよく知らないけどな。


「もちろんだよ。」


そんなことを言う。

今は少しでも時間が過ぎていくのが惜しいのだが、仕事であれば仕方が無いだろう。

別に今年受からなくても来年もあるようだし。


「練習場とかってないのかな?ここ。」

「あるわよ。すっごく遠いけど。」


そういうと、ミーゴが地図を持ってきてその地図を開く。


「なんだその世界地図。」

「いえ、これ実はお屋敷の地図で……。」

「これが!?」

「はい。」


取り出してきた一見したら世界地図のようなものはお屋敷の地図らしい。さすが金持ち、格が違いすぎる。


「今、この食堂が真ん中にあるんですよ。」


そう言ってローレンが何処から出したのか分からない棒で真ん中を指しながら円を描く。

きっとそこら辺に食堂があるのだろう。


「ここから東にずーっと行きますと練習場があるんですけど、その距離がとても遠くて……。」


そう言って円を描いていた棒を俺から見て右にスーッと移動させる。そして殺す右端の方で止まるとまたここら辺と示すようにぐるぐると回している。

練習場か。


「どのくらい遠いの?」

「歩いて一時間というところですね。」

「遠いな!なんか移動手段とかないの?」

「無いですね。」


そ、そんな……。

よくよく聞いてみると、今日はもう貸し出すところが決まっているらしく明日は学園まで馬車で行けるらしいのだが今日は頑張って自分で行ってねという感じらしい。

まぁ、走るくらいなら別に構わないが。


「じゃあ、行ってくる。」

「せめて休憩してからの方が良いのでは……?」

「いや、今はこの秒も勿体なく感じててね。お心遣い感謝するよ。」



屋敷を出て左に走る。遠くに大きな門があるのが分かる。

そんなに遠いところにあったのか。色々聞きながら歩いていたせいで記憶が曖昧だ……。

まっすぐと道が続いていてバラ園が自分を出迎えてくれる。思わず笑みが零れて立ち止まりそうになるのだが、ぐっと堪えて前へと進む。


次来た時は絶対にバラ園で紅茶を飲んでやる!


そんなことを意気込みながら走っていく。

何故か体が疲れを感じないことを驚いていた。

自分のステータスは今はすべて3だったか、そこに体力もあったはずだが減らないのだろうか。


そうこう考えているうちに建物が見えた。

海の生き物たちの名前が大量に出てきたり、買い物しようと思って町に出掛けたら財布忘れたり、最後に問答無用でじゃんけんが始まる某アニメのオープニングかなんかに出てくるあの家の形だ。


なんとも表現しにくいというか、なんかすごい気を感じる。

異常に着くのが早かった気がするのだが気のせいだろうか。走ったせいかはたまたそんなには掛からないのか。


「失礼しまーす。」


石段を何段か上がって古そうな扉をノックして開ける。

外からは分からないほどの広さが目の前に広がっていた。思わず閉めて深呼吸をした。

心の準備をしてからいざ!と扉を開けるが景色は変わらない。

中と外では大分見える広さが違うらしい。

なるほど、魔法か。

左手をパーにして右手をグーにして左手を右手で叩き、なるほど納得という動きと表情をする。


中には何か測るような道具と本が大量にある。二手に分かれているようでなんだろうと思い、まず本の方を見てみる。



本は書庫程ではないが沢山あった。

ここに置いてある本は魔術、魔法などのここで練習する時に読む本のようだが、書庫にもこの本があったのを考えると同じものを二冊持っていることになるのだろうか。

相も変わらず金持ちの考えることは分かんねぇな。


そしてその本棚の中から【赤ちゃんでも出来る!初級魔法!】と【これが出来なきゃ学生にはなれない!超初級魔法!】、【初級基礎魔法全書】の三冊を取り出す。

書庫にあったものより少し古そうな本だが大丈夫だろう。

そう思いながら初級魔法の本を読む。


【初級魔法は出来ていなきゃはずかしい!

まず属性の『火水土風無光闇』の魔法の中で最も簡単なものをひとつ覚えよう。

全ての属性の初級魔法はボールだよ。魔力を一箇所に集めてそれを投げつけるイメージだよ。

そして、そこに属性をつけることでファイアーボールになったりウォーターボールになったりするよ。イメージ次第でなんでも変えられちゃう。

とりあえずこの初級魔法ボールさえ覚えていればどの属性にも対応できるよ。】


最後に星のマークがつきそうなほど親密な書き方をされるとこっちも戸惑うのでやめて欲しいものだ。

なるほどと思って、魔力を集めてみたが本が吹き飛んだりしたら嫌なのでやめた。

これさえ出来れば確かに大丈夫だな。全属性対応なのはとても良いことだ。


次に超初級魔法を読む。


【超初級が出来ないなら生まれ直せ!

まず、属性に対応出来る技を覚えよう。

ウォール、つまり壁だよ。

目の前に壁を作ればいいだけなのでとっても簡単だよ。

そして、そこに属性を付ければイメージ次第でどんな属性にもなっちゃうよ!簡単だね。

とりあえずこの簡単な魔法を覚えておけば対応可能だよ。】


多分、これはさっき読んだ本と同じ人が書いたな……と作者名を見てみると『コリアン・ヴェネチッド』と両方共書いてあった。やはりか。


後で試してみることにして次の本を見る。題名は巫山戯ていないので同じ作者ではないと思うが……と見てみると『創造ゴアリアット王国 アリア』と記されている。

同じ作者ではないようだ。それどころか王国が作ったものらしい。

アリアという名前がどこから出てきたのは知らないがいつか聞くことになるだろうか。

さっき読んだ二冊はペラペラの紙が重ねてあるようなものだったのだが、この本は分厚い。六法全書を思い出させる風貌だ。

まさに、王国の本といった感じだ。


めくるとひたすらに色々な魔法とどんな魔法かが書いてある。攻撃から防御、召喚まであらゆる魔法に関してが載っている。


むぅ、これがどこかにメモできたら良いのだが、まあ楽はダメだろう。頑張ってやらなければ。



測るような道具があったところに移動する。

よく見ると大きな機械で、書庫で見た魔力カウンターに似ている。だが、数字のみが出るような設定になっているらしく少し見た写真よりも異なっているようだ。

試しにボールを魔力カウンター目掛けてうってみる。

右手を前に突き出し、魔力を集める程々の大きさでやめにして魔力カウンターに当てる。


「100……?」


どうやら弱くても100は出るようになっているらしい。そして属性を当てないと強制的に無属性になるようだ。

同じ力で他の属性を当ててみても魔力カウンターが示す数字は一緒だった。


ウォールを使おうと思ったのだが、異常に遠かった。

魔力カウンターに向かって攻撃させたいのか、それとも防御に徹すればいいのか全く分からない。

とりあえずボールの時と同じ力で目の前にウォールを作る。


「100」


どうやら反応するようだ。

同じような威力で別の属性でやるがまた同じような数値が出てくる。

どうやって測っているのだろうか。

よくわからないがとりあえず良さげだ。


とりあえず初級魔法のボールとウォールは出来たので他の魔法をしようと持ってきた初級基礎魔法全書に手を出す。


目の前にドンッと置く。

鼻からすーっと息を吸う……。


「ハァァァァァ!」


攻撃魔法だ。

今、何も見ずにページを開いた。出てきたのは攻撃魔法の欄だった。

なんでそんな勢いで開くのかと言われれば何も答えられないが、気持ちは大事だと思っているし大切にしたいと思ってる。


攻撃魔法の中で無難なのは……これか?

ペラペラとページを捲って平凡そうなものを選ぶ。


見付けたのはあらゆる属性が付けられる毒魔法。

これなら毒という名の【ポイズン】のスキルも持っているしなかなか有効活用出来るのでは?


料理のスキルはやはり必要なかったか。急に屋敷が襲われてサバイバルをしなくちゃならなくなったら必要に迫られるかもしれないがな。



とりあえず毒魔法の練習をする。

当てる相手が必要だったので適当なものを取り出す。

この赤い玉……龍の卵だったようなものを魔力カウンターの前に一つだけちょこんと置く。

高価なものらしく、殻なども宝石に出来るほどらしいが、後、10個使っても100は余るので一つくらい良いかなと思った。

それ以外に丁度いい大きさのものも無かったし。


この毒魔法は相手の体内に毒を注入して、それを勢いよく体外に放出させることで相手の身体を木っ端微塵にする初級基礎魔法である。

物騒だが、これを応用すると無属性でジュースが作れるようになるようだ。

実は、この魔法は特殊で無属性をやるのが一番難しい。本来持つ、毒という特性をなくす作業が必要らしい。


『火水土風光闇』は比較的簡単に出来た。光闇についてはどう想像したらいいのか分からなかったが……。

出来たという感覚はあるのだが、実際にやってみないと本当に効力が発揮しているかは正直分からない。


無属性に関しては本当に難しかった。他の属性と混合してしまったり、二つ混ざったりと調節が難しかったが習得できた。


魔力カウンターは「3000」を指していたので初級基礎魔法の中では強い魔法の分類に入っているのだろう。

これだと上級魔法とか使ったらどれくらいの威力や数値になるのだろう。楽しみすぎる。


毒魔法を取得するのに龍の卵を10ピッタリ使うことが出来た。

木っ端微塵になっていたが木製の床がキラキラしていて見てらんなかったので適当な袋を取り出して詰めておいた。

初見だったらきっと輝いている砂に見えるに違いない。


床がどこも光っていないことを確認してから休憩した。

魔力が無くなった感じはないし、今更ながら魔法は使えているので魔力はあるのだろう。


そんなことを考えながらローレンが来るのを待っていた。

もう少しで学園編ですね。


次の投稿遅くなります。


ー作者の日記ー


バラ園に関しての表記は完全に主人公の趣味です。

きっとバラ園に良き思い出でもあるのではないでしょうか。


綺麗な花には刺があるとはよくいったものですが、この世界のバラには棘がありません。

何故でしょうね?怒りを買って一本残らず棘を取られたのでしょうかね?

まぁ、そんな話はどうでもいいでしょう。

棘がないからと言って綺麗ではないとは誰も言っておりません。


とても綺麗なバラですよ。

それこそ見ているだけでウットリとさせられて思わず花に寄り添ってしまうくらいには。


さて、話は変わりますが、貴方がバラの立場だったとしましょう。

棘の代わりになにで見を守りますか?

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