3.白竜との出会い
3話ではサンバを踊ります。
あ、嘘です。ヒロインが登場します。
サンバ、じゃなくて3話も楽しんでいってください。
食堂を出ると、夕暮れの光が村を柔らかく照らしていた。
腹も満たされたし、少し散歩でもしてみるかと思い、
村の外れへと足を向けた。
「……いい風だな」
森から吹く風は涼しく、
会社帰りの排気ガス混じりの風とはまるで違う。
そんなとき──
「……むぅ……腹が……減ったのじゃ……」
小さな声が聞こえた。
子供の声……?
いや、どこか古めかしい響きがある。
声のする方へ近づくと、
木の根元に、白い髪の少女がぺたんと座り込んでいた。
年の頃は十歳前後に見える。
白い髪はふわりと揺れ、
薄い青の瞳が夕陽を反射している。
「おい、大丈夫か?」
少女はゆっくり顔を上げ、
じぃ……っと俺を見つめた。
「……そなた、妙な匂いがするのう」
「え?」
「人間の匂いなのじゃが……
どこか、神の気配が混じっておる……」
少女はふらりと立ち上がり、
俺の右手──紋章をじっと見つめた。
「その紋章……見たことのない形じゃ。
そなた、何者じゃ?」
「いや、ただの旅人だが……」
少女はふん、と鼻を鳴らす。
「嘘じゃな。
そなた、面白いのう。気に入ったぞ」
「え、気に入られた……?」
少女は胸を張り、
小さな手を腰に当てて言った。
「わらわは白竜ルミエル。
600年生きておる偉大なる竜じゃ!」
「600歳か〜、何かのごっこ遊びなのかな?」
「たわけ!ごっこ遊びなどではあるまい!!
わらわの本来の姿を見せてやる。」
そう言った瞬間──
少女の身体がふわりと光に包まれた。
光は風に溶けるように広がり、
次の瞬間、そこにいたのは──
白銀の鱗をまとった巨大な竜だった。
夕陽を反射して輝く鱗。
青白い瞳は深い湖のようで、
その姿は威厳に満ちている。
「……でっっっか!?」
「どうじゃ?これがわらわの真の姿よ」
声はさっきの少女のまま。
ギャップがひどい。
「いや、声そのままなのなんで!?」
「わらわは竜じゃからな。
姿など気分で変わるわ」
「気分で変わるな!便利だな!!」
竜──ルミエルは満足げに鼻を鳴らすと、
再び光に包まれ、
小さな少女の姿へ戻った。
「ふむ。そなたの反応、なかなか良いのう。
やはり気に入ったぞ」
「いや、気に入ったと言われてもな……」
少女は俺の袖をくいっと引っ張った。
「そなた、腹が減ったのじゃ。
何か食わせよ」
「初対面でそれはどうなんだ……」
「そなたを気に入ったと言ったであろう?
ならば世話をするのが筋じゃ!」
「筋ってなんだよ!?」
少女──白竜ルミエルは、
にこりと笑った。
白竜ルミエルを連れて村へ戻る道すがら、
俺はずっと気になっていたことを聞いた。
「なあ……お前、さっき“ハクリュウ”って言ってたよな?」
「うむ。わらわは白竜ルミエル。
この地を六百年見守っておる守護竜じゃ」
「守護竜……?」
「そなたの村で言うところの“神さま”みたいなものじゃな。まあ、わらわは神ではないが」
軽い。
守護竜のくせに軽い。
「そなたの村の者らも、わらわの姿は知っておるぞ。
半年に一度くらい、魔物を狩って肉を振る舞っておるからの」
「え、そんなことしてるのか?」
「うむ。わらわが降りると村は祭りになるのじゃ。
あやつら、肉が好きだからのう」
なんだその牧歌的な関係は。
遠くから村の見張りの青年がこちらを見つけ──
目を見開いた。
「は、白竜さま……!?
白竜さまが降りてきたぞーーー!!」
青年の叫びが村中に響き渡る。
次の瞬間──
「白竜さまだ!!」
「祭りだーー!!」
「肉を焼けーー!!」
「酒を持ってこーい!!」
村が一瞬でお祭りモードに突入した。
なんだこのスイッチの入り方。
宿屋のおばさんが走ってくる。
「白竜さま!半年ぶりじゃないかい!!
今日は何を狩ってきたんだい!?」
「今日は何も狩っておらぬ。
そなたらの新しい客人を連れてきただけじゃ」
そう言って、ルミエルは俺の袖をつまむ。
「……え、俺?」
「おお、旦那さんかい!
白竜さまが連れてくるなんて珍しいねぇ!」
食堂の熊みたいな大男もやってきた。
「白竜さま!今日は肉はないんですかい!?
いや、客人連れてきたならそれはそれで祭りだ!!
酒持ってこーい!!」
村人たちは大盛り上がりだ。
俺は完全に流れに置いていかれている。
「そなた、わらわの世話をするのじゃろう?
ならば村に住むがよい」
「いや、そんな簡単に決めるなよ!?」
「よいではないか。
そなた、わらわが気に入ったのじゃ。
気に入った者は守る。
それが竜の流儀じゃ」
村人たちがざわつく。
「白竜さまが“気に入った”って言ったぞ……!」
「すげぇ……あの白竜さまが……!」
「旦那さん、選ばれし者じゃないか……!」
いやいやいやいや。
俺はただの社畜だ。
そして村は本当に祭りになった
気づけば焚き火が焚かれ、
肉が焼かれ、
酒が振る舞われ、
村人たちは歌い踊り始めた。
白竜ルミエルはというと──
「そなた、肉をよこせ。
腹が減ったのじゃ」
「お前が主役かよ……」
「当然じゃろう。
わらわは白竜じゃぞ?」
そう言って笑うルミエルは、
どう見てもただの食いしん坊な少女だった。
だが村人たちは本気で彼女を敬っている。
この村にとって白竜は、
本当に“守り神”なのだ。
そして俺は──
なぜかその白竜に気に入られてしまったらしい。
「……どうなるんだ、これから」
胸の奥がざわつく。
でも、不思議と嫌な感じはしなかった。
こうして、
俺と白竜ルミエルの奇妙な日々が本格的に始まった。
のじゃロリは良いです。
僕っ子も大好物なのでそのうち登場します。
おっさんは実はイケオジです。作者の趣味なんでね
CV.諏訪部さんとか想像して下さい。
相変わらず感想などなどお待ちしてます〜




