4.家探し
4話です〜
ついに登場した白竜ちゃんと振り回されまくりのおっさんをどうぞお楽しみください。
祭り騒ぎがひと段落し、
焚き火の火が落ち着いてきた頃。
「……さて、どうするかな」
ふと現実に戻る。
この村に泊まる場所はあるが、
ずっと旅人用の小屋に住むわけにもいかない。
「家……探さないとな」
そう呟いた瞬間、
すぐ横から声が飛んできた。
「家探しなら、わたしに相談しな!」
宿屋のおばちゃんだ。
祭りの片付けをしながら、こちらに気づいたらしい。
「助かります。実は住む場所を探してて……」
「そりゃそうだろうねぇ。旅人用の小屋はあくまで仮住まいだしね」
そこへ、
たまたま近くで肉を焼いていた熊みたいな大男──食堂のおっちゃんが加わる。
「家探しなら商業ギルドだな!
冒険者ギルドは仕事の斡旋だ。家は扱ってねぇ!」
「あ、そういえば……名前聞いてなかったな」
俺が言うと、
大男は豪快に笑った。
「おっと、そうだったな!
俺はガルドだ!この村の食堂の店主だ!」
「ガルドさん……なるほど、名前の通り強そうだ」
「当たり前だろうが!!」
ガルドは胸を叩く。
木の板がミシッと鳴った。
怖い。
宿屋のおばちゃんも笑いながら名乗る。
「私はミーナだよ。宿屋の管理人さね。
ガルドの嫁で、村のことならなんでも知ってるよ!」
「ミーナさん、ガルドさん。よろしくお願いします」
二人は気さくで、
この村の温かさを象徴しているようだった。
ミーナが指を折りながら説明する。
「この村にはね、冒険者ギルドと商業ギルドがあるんだよ」
ガルドが続ける。
「冒険者ギルドは魔物退治や依頼の斡旋だな。
商業ギルドは土地、家、商売の許可、全部そっちだ」
「家は商業ギルドの管轄ってことですね」
「そういうこった!」
ミーナがにっこり笑う。
「それにね、商業ギルドの長は村長でもあるんだよ。
白竜さまを連れて行けば、すぐお目通りできるさね」
横を見ると、
ルミエルが当然のように頷いていた。
「うむ。そなたの家を決めるのじゃろう?
わらわも行くぞ」
「いや、なんでついてくる気満々なんだ……」
「そなたを気に入ったと言ったであろう?
気に入った者は守る。それが竜の流儀じゃ」
ミーナとガルドが笑う。
「白竜さまに気に入られるなんて、すごいことだよ旦那さん!」
「いや、俺はただの社畜なんだが……」
翌朝。
ミーナとガルドに案内され、商業ギルドへ向かった。
白竜さまが一緒に歩いているだけで、
村人たちが道を開ける。
「白竜さまだ……!」
「ほんとに人間と一緒にいる…」
「選ばれし者か……?」
いやいやいやいや。
選ばれてない。
選ばれた覚えはない。
少し歩くと石造りの立派な建物に到着した。
周りが木造なだけあって違和感がすごい。
「ここが商業ギルドさ!ちゃんと送り届けたからね、私たちは仕事に戻るよ!」
「旦那!良い家見つけろよー!!」
「ありがとうございます!」
ミーナとガルドは各々の仕事に戻っていった。
「よし…入るか」
「早く入るのじゃ。」
ギルドに入ると、職員が慌てて立ち上がった。
「は、白竜さま!?
すぐギルド長を呼びます!!」
「え!いや、そんな大事じゃ…」
別の職員の方が呆然と立ち尽くす俺に向かって声をかけてくれた
「白竜さま、お客さま、こちらの部屋へどうぞ。」
ものの数分で村長が駆けつけた。
村長は落ち着いた雰囲気の初老の男性だった。
「白竜さま……お久しゅうございます。
本日はどのようなご用件で?」
ルミエルが俺の袖をつまむ。
「この者の家を決めるのじゃ。
わらわが気に入った人間じゃ」
村長の目が丸くなる。
「白竜さまが……気に入った……?」
「あの噂は嘘ではなかったのですな……」
村長は俺に向き直る。
「では、資産を確認させていただきます。
紋章をお見せいただけますかな?」
俺は手のひらを見せる。
紋章がふわりと光り、資産情報が空中に表示された。
名:黒川誠
種族:人間族
資産:白金貨81,386,000枚
村長は固まった。
「だいぶお待ちなんですね…ん??……は、白金貨……?銅貨じゃなくて?!!桁が……桁が違う……!!」
村長は震える声で言った。
「これほどの資産があるなら……
村のどこでも好きな土地を選んで良いです…!!
家も、最上の職人を揃えさせましょう。城が立ちますぞ!!」
「そなた、森の近くが良いぞ。
静かで気に入っておる」
ルミエルが当然のように言う。
「お前が決めるのかよ……」
「当然じゃろう。
そなたはわらわの世話をするのじゃからな」
村長が笑う。
「白竜さまのお隣に住む人間など、初めてですな……!」
こうして、
俺の新しい家探しは、
ルミエルの一言であっさり決まった。
村長室で家の話が決まったものの──
「……あっさり決まったけど、実際に場所を見てないんだよな」
俺がそう言うと、村長は穏やかに頷いた。
「もちろん、土地は実際に見てから決めるのが良いでしょう。
候補地をいくつかご案内しますぞ」
「そなた、森の近くが良いと言ったであろう?
静かで、わらわのお気に入りの場所じゃ」
横でルミエルが胸を張る。
「いや、お前の家じゃないんだが……」
「そなたはわらわの世話をするのじゃから、近くが良いに決まっておろう」
村長がクスッと笑う。
「白竜さまのお隣に住めるなど、光栄なことですぞ。では、参りましょう」
ギルドを出て、まず案内されたのは村の中心部。
「ここは井戸や食堂、商店にも近く便利です。
旅人もよく通りますな」
今借りている宿屋もある。
確かに便利そうだ。
だが──
「……人が多いな」
「そなた、静かな場所が好きであろう?
ここは落ち着かぬ」
ルミエルが即却下した。
「いや、俺の家なんだが……」
「わらわの家の“隣”でもあるのじゃぞ?」
「お前の家じゃないだろ……?」
村長が苦笑いを浮かべる。
次に案内されたのは畑の広がるエリア。
「ここは日当たりが良く、畑仕事をするには最適ですぞ」
「畑仕事……」
社畜時代には考えられなかった言葉だ。
だが、悪くない気もする。
ルミエルは畑をじーっと見つめ──
「ここは虫が多い。却下じゃ」
「お前、虫嫌いなのか……?」
「嫌いではないが、寝るときに耳元で飛ばれるのは嫌いじゃ」
「俺の家で寝るの前提なのかよ……?」
村長がまた苦笑いを浮かべる。
最後に案内されたのは、村の外れ。
森の入口がすぐそばにある静かな場所だった。
風がよく通り、鳥の声が聞こえる。
夕陽が木々の隙間から差し込み、柔らかい光が地面を照らしていた。
「……ここ、いいな」
思わず口に出た。
ルミエルが満足げに頷く。
「そうじゃろう?わらわがよく昼寝する場所に近いのじゃ。静かで、風も気持ち良い」
「お前の昼寝事情で決めるのか……?」
「そなたも昼寝すればよい。
おぬし休むのが下手そうじゃからな」
「ぐっ……」
図星すぎて何も言えない。
村長が微笑む。
「ここは村でも人気の土地でしてな。
白竜さまのお気に入りでもあります。
よろしければ、ここをお譲りしましょう」
俺は深く息を吸った。
森の匂い。
風の音。
静けさ。
「……ここにします」
「うむ、良い選択じゃ!」
ルミエルが嬉しそうに尻尾を揺らした。
村長はすぐに職員を呼び、
図面を広げながら説明を始めた。
「家の大きさ、部屋数、倉庫の有無……
ご希望はありますかな?」
「え、えっと……普通の家で……」
「普通とは?」
「……普通ってなんだ……?」
社畜時代、家を建てるなんて考えたこともなかった。
ルミエルが当然のように口を挟む。
「そなた、寝室は二つ必要じゃろう?
わらわの部屋もいるしな」
「いや、お前の部屋は……」
「いるしな?」
「……はい」
逆らえなかった。
村長は楽しそうに頷く。
「では、白竜さまのお部屋も含めて設計いたしましょう」
こうして、
俺の家は“白竜さま仕様”で建てられることになった。
「……なんか、すごいことになってきたな」
読んでくださりありがとうございます。
家と言うか土地が見つかりましたね。
どんな家が建つのでしょう、、、家建てないとなので半年後にまた投稿しますね。
感想、どんな家が建つかなどなどお待ちしております〜
では次話でお会いしましょう。




