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5.任務

楓李と御影がバディを組んで数ヶ月経った。しかし、お互いの生活スタイルはバディを組んだ当初と何も変わらなかった。一つ変わったことがあるとすれば、それは楓李が御影とご飯を食べる回数が増えたくらいである。


「……ご馳走様でした。」

「お粗末さまでした。」


二人でご飯を食べた時は楓李が進んで皿洗いをしている。以前まではご飯も一緒に食べてくれなかったが少しづつ歩み寄ってきてくれている気がした。


(黒猫…みたいだな。本人に言ったら怒られそうだか言わないが)


だが、ご飯を食べてしまえばすぐに楓李は部屋へ戻ってしまう。最近はレポートやらなんやら課題が忙しいらしい。そんな日常を積み重ねながら二人はバディとして活躍していた。


そして、御影自身の大きな変化と言えば澱との戦闘に慣れてきたことだ。通常なら新人境断官として第1執行課へ配属される予定だった御影だが、楓李とバディを組んでいるため特例で第3執行課へ配属それた。そのため、任務も課に向けてではなく御影の育成のために二人宛に任務が来るようにもなった。


「次、右」

「…わかってる……よっ!」


その日も二人は任務へ出ていた。その日は小型の澱を楓李の指導の元、討伐していた。

前に比べ動きは良くなったがまだ慣れない部分もあった。


「避けて」

「うわっ!」

「……下手くそ」

「お前は容赦ないなぁ!」


軽口を叩きながらも御影は無事に澱を消滅させた。


「もう少し早く出来ない?」

「お前はなんだってそう厳しいんだ。」


討伐後の周囲を見回っていた時だった。二人のスマホに一通の通知が来た。


ー中央医療棟近くにて大型澱の反応あり。第3執行課は至急出動せよ。


その通知を見た瞬間楓李がスマホを落としてしまった。拾おうとしない様子を見かねて御影がスマホを拾い上げ楓李に渡そうとした時だった。楓李の顔色があまりにも悪かった。


「おい、楓李…大丈夫か?」

「……行かなきゃっ!」

「おい!こらっ、待て!!」


スマホを奪い取った楓李は御影の声掛けにも反応せず車へと走って行った。御影もその後を追いかけるのであった。慌てて乗り込んだ二人を確認し三浦が車を走らせる。


「三浦さん、急いで!」

「……なるべく」


いつもと違い焦っている楓李を見て御影は不思議に思った。一体何がここまで目の前の人物を追い詰めているのか。そんな事を考えているうちに車は中央医療棟の近くに止まった。


楓李は何も言わずにドアを開け現場へと走っていく。御影もそれを追おうとした時だった。


「黒瀬さん!楓李君をよろしく…お願いします。」


三浦は楓李が焦っている理由を知っている様子だった。御影も理由は知らないが楓李がいつも通りではないことは理解している。


「…わかりました!とりあえず俺は追いかけますね。」

「ご武運を…」


現場に着くと楓李以外にも観測班や珍しく久世までもがいた。


「久世さんもう出ていい?」

「まだ、観測途中だ。少し待て。」

「待てるわけないだろ!?」


珍しく声を荒らげている楓李を見て御影は驚いた。何とか落ち着かせようとして御影は楓李の肩に触れようとした時だった。パシっ!と手を叩かれた。楓李がまるで触るなと威嚇をしているようだった。


「……楓李落ち着け。お前らしくないぞ?」

「…うるさいな。黒瀬さんには関係ない。」

「そんなに焦っていると事も上手くいかなくなるぞ?」


そう言うと楓李は黙り込んでしまった。そこから数分後、観測班の観測が終わった。


「ここから西に20メートル先に大型澱の反応あります!」

「了解した。5分後突入開始だ。」


予定寸前、御影は楓李を見た。微動だにせずただ夜断を見つめていた。


「時間だ。作戦開始!」


久世の声に合わせて楓李が単独で突っ込んでいく。楓李の速さに御影は置いていかれる。


楓李の目の前に澱の無数の手が伸びてくる。それを夜断で断ち切っていくがいつもより動きが荒々しく攻撃が楓李に当たっていた。


「楓李!一旦下がれ!!」

「…うるさい!アンタが下がってろ!」


その時だった。一瞬の隙をついて澱が目にも止まらぬ速さで楓李に向かって攻撃をした。普段の楓李なら避けれていた。しかし、今日はどこか冷静さをかいており正常な判断ができていなかった。


ドォォォン!澱の攻撃が楓李に直撃し後ろに飛ばされた。御影は慌てて楓李に近寄る。


「おい!大丈夫か??」

「…ッ……!」


身体のあちこちに擦り傷などできており、しまいには額が切れ頭から血を流していた。

それでも楓李は立ち上がり前へ出た。


「一旦落ち着け!下がって立て直そう。」

「…………」


御影の言葉に反応せず楓李は夜断を持ってない方の自分の掌に当てた。その瞬間、久世が大きな声で叫んだ。


「東城待て!それはやめろ!」

「……うるさい!」


楓李は夜断で自身の掌を切り夜断に吸わせる。すると黒い刀身に赤い線が走った。徐々に夜断の禍々しさが増していくと共に楓李の顔色は悪くなっていき冷や汗が出ていた。


それでも楓李はそのまま大型澱へ突っ込んでいった。


「局長!東城の侵食値が急上昇しています!」

「くっ、東城引け!」


久世の言葉を無視して楓李は大型澱の目前へ来ると大きく踏み込み空へ上がった。夜断の雰囲気を感じ取ったのか澱が急に動きを止めた。その瞬間を狙って楓李が澱の核を叩き切った。


澱は霧散していき核だけが散らばっていた。しかし、楓李はそれを気にせず中央医療棟へ走って行った。


「楓李どこへ行く!」

「黒瀬さん!東城を追ってください。」


久世のその言葉に頷き御影は楓李を追って中央医療棟へ向かったのであった。

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