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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第130話 魔法銃の設計図

「ウィリアム様、見つけました!」

 工房の扉を叩くのは誰かと思ったら、珍しく興奮したオリヴァーだった。

 これは、もしかして……。


「ついに魔法銃の設計図を見つけました」

「おお、それは凄い! よく見つけてくれたね」


 オリヴァーは使徒のスキル「アカシックレコード」を使って、この世界と僕のいた世界の知識の両方にアクセスできる。

 聞けば、やはり魔法銃の設計図はこの世界の過去に作成されたようだった。


 絵の得意なオリヴァーは、アカシックレコードで見た設計図を描いてくれる。

 精密な設計図が綺麗に描かれていく。

 記憶力に優れて絵の得意なオリヴァーだからこそ可能なことだ。


 他の人だと、せっかくアカシックレコードで貴重な情報を見ることができても、覚えられなかったり、うまく絵が描けなかったりしただろう。


 オリヴァーが描いてくれた設計図によると、魔法銃は魔法石をカートリッジに納めておいて、引き金を引くと魔法石から魔力が指向性を与えられて引き出される。

 そして銃身から魔法が放たれる。


 これで構造が分かったから、生産スキルで作る道が開けた。

 ただし、まだ問題はある。

 それは素材だ。


 設計図によればミスリルと、さらに希少なあるものが必要だった。

 その素材について協力を依頼するために、僕はオリヴァーと一緒にエルフの森に転移した。


 内密の相談があると言うと、ルーナと古老さんは世界樹のもとに案内してくれた。


 いつ来ても、ここは色とりどりの花が咲いていて美しい。

 つい見惚れそうになるけれど、今は魔法銃の話だ。


「急にお邪魔してすみません。ご相談というのは魔法銃のことです。その設計図をオリヴァーがアカシックレコードで見つけてくれたのですが、素材が問題なんです」


「おお、アカシックレコードを使いこなしているとは。やはりオリヴァー殿は凄い」

 古老さんは感心した。


 エルフでも使いこなせないアカシックレコードを使えるのは凄いことだと改めて思う。


「ところで素材が問題とは、どういうことなんでしょう?」

「うん、ルーナ。実は魔法銃を作るには世界樹の葉が必要みたいなんだ」


 どういう原理なのかよく分からないけれど、設計図に記された説明によると、魔法石から瞬間的に魔力を取り出し、指向性を持たせるために世界樹の葉が必要らしい。


「世界樹の葉は凄く貴重なものだということは分かります。だから一枚分けてもらうことが可能かどうかお聞きしよう思って、お邪魔したんです」


「ふふ、我らは救世主様のお言葉に基本的に従います。世界樹の葉を一枚分けろと命じられても良いのに、相談とおっしゃるのは優しいウィリアム様らしいですね」


「いやいや、古老さん。普通なら叶わないような相談をしている時点で、救世主と呼ばれることに甘えていますよ」


「その謙虚なところもウィリアム様の良いところですね。お祖母様、世界樹の葉は手元に何枚ありましたっけ?」


 そのとき、世界樹から葉が一枚、僕のほうにふわっと飛んできた。


「おお、これは……世界樹の葉は滅多に落ちてきませんし、まして今は落葉しにくい若木の状態。これはウィリアム様のことを世界樹が(よみ)しているのでしょう」

「ええ、そうに違いありません」


 そんなことがあるのだろうか?

 世界樹に心からの御礼の気持ちを込めて一礼する。

「頂いた葉を活かすよう、心を込めて作ります」


 世界樹の広間を出て工房に戻ろうとすると、珍しく古老さんから「お時間はありますか」と聞かれた。

「はい、大丈夫です」


「では、少しお話をしたいことがあります」

 古老さんは静かに話し始めた。


「前回、闇が世界を脅かしたときには世界樹が弱ったら魔物が大量に発生して襲ってきたと伝わっています」


「今回、魔物の攻勢がそこまで強まっていないのは救世主様が飢饉や感染症を防いだことで魔核の発生数が減っているおかげだと推測されます」

「僕が少しでも役に立っているのなら嬉しいです」


「ええ、救世主様は既に役割を果たしておられます。ですが、世界樹が弱体化した以上、闇の力は強まっています。他の国ではこの国ほど旱魃や冷害、感染症にうまく対応できていないでしょうし、近いうちに魔物の攻勢は強まると思われます」


「世界樹を地脈のクロスポイントに移しても駄目なのでしょうか?」

「残念ながら地脈のクロスポイントに移しても、急に完全には世界樹の力は戻りません」


「そうなのですね。魔物の攻勢が近いだろうこと、国王陛下にもお伝えします」

 それから、この機会に僕は以前から聞いてみたかったことを古老さんに質問した。


「ところで、魔物が強いのは分かるのですが、ルーナの魔法の威力の大きさは最近知りましたし、騎士たちも力をつけています。それでも魔物が脅威となるのは、数が多いからでしょうか?」


「はい、数が多いこともありますが、それだけではないのです。救世主様がこれまで遭遇した強い魔物は何でしょうか?」

「魔鹿が一番強かったと思います」


「なるほど。魔鹿も強いのですが、さらに上位の魔物の魔虎と魔猿がいます。魔虎は戦闘力が高く、魔猿は知性が高いので強敵です」


「もっと強い魔物がいるのですか?」

「ええ。魔虎も魔猿も魔法を使います。普段は樹海など魔境の奥地にいるのですが、魔物が本格的な攻勢をかけてくれば現れると思います」


「魔法も使うんですか? それは脅威ですね」

「さらに上位の魔物が率いる魔物たちは、守りの弱そうな場所を狙って襲撃してきます」


 知性のある魔物が率いてくるのか。

 それは確かに大変だな。




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