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【書籍化】生産スキルで内政無双~辺境からモノづくりで幸せをお届けします~  作者: スタジオぞうさん


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第128話 ドワーフの祭り

 翌朝、フェアチャイルド家の屋敷に探索の仲間は集まってくれた。

「「王都のお土産、ありがとうございました」」

 テオとルーナが御礼を言ってくれる。


 ドワーフにはお肉と香辛料、エルフにはお魚や果物をお土産に買って、転移魔法で届けていたんだ。

 鮮度が落ちない収納魔法のおかげで、肉や魚のような生物もお土産にできる。


 収納魔法を無駄遣いしている気もしないではないけれど、喜んでもらえるんだから良いよね。


「「騎士団への差し入れもありがとうございました」」

 リアとギルは揃って頭を下げてきた。


 女性騎士たちには小物やアクサセリー、男性騎士たちにはお酒をお土産に買っていたんだ。


 二人には頭を上げるように言って、御礼は今度オリヴァーにも言ってくれるよう頼んだ。

 騎士団へのお土産はオリヴァーが見繕ってくれたんだ。


「じゃあ、久しぶりに未開地を探索しよう。今日は黒土地帯の南のあたりに行くよ」

 馬車は魔法で収納して、みんなには服を掴んでもらった。


 僕は馬たちにそっと触れた。

「転移」


 次の瞬間には黒土地帯にいた。

 風が頬を撫でるけれど、残念ながら涼しくない。

 やはりノーザンフォードに比べると暑い。


 収納していた馬車を出すと、御者台には最初にギルが上ってくれた。

 他の仲間たちは馬車の中のリビングに入る。

 エアコンのスイッチを入れると涼しい風が吹き出してきた。


「暑いのは苦手なので、ありがたいです」

 ルーナはほっとした顔をした。樹海の奥は涼しかったようだ。


 そう考えると、地脈のクロスポイントを探す旅の間、エルフたちは厚さに耐えて頑張ってくれたんだな。


「今日はどこまで行くの?」

「ああ、レティ。大河のほとりまで行こうかと思ってるんだ」

「そう言えば兄様は南に大河があると言っていましたね」


「うん。でも久しぶりだから調子が出ないかもしれないし、外は暑くて疲れそうだから無理はしないよ」


「夜はドワーフのお祭りもあるから、もし大河につかなくても早めに切り上げようと思ってる」

 みんなが頑張り過ぎないようにしないね。


 ときどき現れる魔物を狩りながら、南へ向かう。

 日が高くなったところでランチ休憩にした。

 今日のランチはベイカーさんが作ってくれたジェノベーゼのパスタだ。


 この間、未開地で見つけたスイートバジルがソースに使われている。

 スイートバジルは生命力が強いから、ノーザンフォードに持ち帰って植えたら、元気に繁殖している。


「鮮やかな緑色のソースですね。風味も良いです」

 ジェノベーゼはオフィーリアの好みに合ったようだ。

「パンに塗ったり、グリルした魚に付けても美味しいよ」


「俺はミートソースのほうが好きですが、たまにはこういうのもいいですね」

「あはは、ギルはそう言うかなと思ったから、チキンのグリルも持ってきたよ」

「それはありがたいっす。さすがウィリアム様」


 午後も南に進んでいく。やがて前方に大河が見えてきた。

「とても大きな川です!」


「驚いたかい、ソフィー?」

 西部にはあまり大きな川は無いから、妹は目を見開いている。


「テオ、王都で買ったアロスは栽培するのに大量の水が必要なんだ。このあたりに大河から水をひいて灌漑したいんだけど、どうかな?」


「そうですね。砂地でもなくて土にそれなりの保水力もありそうですから、きっと大丈夫でしょう」


「良かったあ。アロスは前世で毎日のように食べていた物に似ていて、懐かしい味なんだよ」


「そうなんですか。このあたりの地味は豊かですから、穀物を育てるのに向いていると思いますよ」

 これは期待できそうだ。


 今日はここで切り上げて、ノーザンフォードに戻る。

 工房の自分の部屋で一息入れていると、テオとメイベルがやって来た。


 メイベルは工房で一緒に働くうちにテオと仲良くなっている。

 ドワーフの文化にも興味があるということで、一緒に行くことになっていたんだ。ちなみにレティとソフィーは参加しない。


 そう言えば、ソフィーは「今日はメイベルが主役だから」と言っていたな。

 どういうことかな?


「じゃあ、転移するよ」

 二人に僕の服の裾をつかんでもらい、転移魔法を発動する。


 ドワーフの村に転移すると、ドワーフたちが忙しそうに鉄板を出したり、テーブルや椅子を並べて準備をしていた。


「おお、よく来たのう」

 族長さんが出迎えてくれる。


「叔父さん、紹介するよ。こちらは工房の同僚のメイベルさん。ウッドポール男爵家のお嬢さんだよ」


「初めまして、族長さん。メイベル・ウッドポールと申します。工房ではテオドールさんにお世話になっています」


「おお、可愛いお嬢さんじゃのう。いつも甥のテオが世話になっとる」

「初めまして、メイベルさん。テオが女の子を連れて来るなんて、とても嬉しいわ」


 メイベルは緊張していたけれど、族長夫妻が笑顔で歓迎してくれたことで、ほっとした顔になった。


「もう、叔母さん、そんなんじゃないよ。メイベルは同僚だし、貴族なんだから失礼になるよ」

「私は失礼だなんて思わないわよ、テオ」


 メイベルは「貴族といってもうちは小さな領地の男爵家ですから、どうか気を遣わないでください」と族長夫妻にお願いする。

「おお、貴族なのに偉そうにしないとは、良い子じゃのう」


 ドワーフたちは以前は毎年夏祭りをしていたけれど、樹海で魔物の攻勢が強まってからはできなくなっていたらしい。


「フェアチャイルド家が儂らを受け入れてくれて、こうして皆でまた夏祭りができるのは嬉しいことじゃ」

 族長さんはしみじみと語った。


 祭りでは最初に鍛冶の神に感謝を捧げる。普段は賑やかなドワーフたちもこのときばかりは神妙にしていた。

 でも儀式が終わると……


「さあ、宴じゃ!」

「「おう!!」」

 ドワーフたちは一斉にお肉を焼き始めた。


 各テーブルには山盛りの肉が皿に載せられていて、大きなエールの樽がいくつも置いてある。

 ドワーフの夏祭りは、どうやらお肉とお酒の祭りだ。


 ドワーフの女性たちに囲まれて、メイベルは嬉しそうに話している。

「それでね、小さい頃のテオはねえ」

「ちょっと、叔母さん止めてよ」


「あはは、テオの小さい頃の話を聞けるのは嬉しいです」

 テオはちょっと困っているようだけど、こういう話は止まらないものだ。


 ところでドワーフたちは辛い料理が好きだ。

 メイベルは香辛料の効いた肉料理を食べて涙目になっている。

「うわあ、辛いですね。でも美味しいです」


「まあ、メイベルちゃんは良い子ね」

 族長の奥さんはいつの間にかちゃん付けになっている。メイベルはドワーフたちに溶け込んだみたいだね。



少し体調を崩して、投稿が一日遅れてしまいました。今後は、なるべくペースを守りたいと思います。

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