第44話 探求
「ところで、べースキャンプなんて何処に張ってあるんだ?」
そう言いつつも周りを見渡せば、明らかに意図的に造られた人工物など一切ない。ただ、遮蔽された空間内に独自の生態系を形成している。一面緑と、悠々とした川が流れ、自然が広がっているだけである。
強いて言えば、アドリエを中心から照らし、煌々と輝く巨大なクリスタルが気になるが、ベースキャンプに該当するものも見つからない。周りにそれらしきものは無い事は分かってはいるものの、それが単純な疑問だった。
「こっちだ」
クライスの言う通り、俺はベースキャンプに向かう事になった。
俺は彼女を探し出す為の手掛かりとして、クライス率いる冒険者一行の同行の上、『第三階層以降攻略作戦』の為に臨時にで張ったというベースキャンプに向かっていた。
俺達は取りあえずその場から離れた。アドリエは浅地下空間に遮蔽された独自の地形と生態系を生かし、生命を育んでいる。その構造は盆地だ。下の方を見渡せば、森が広がっている。
クライス達に遅れを取らないように暫く歩いて行くと、盆地状になっているアドリエには断崖絶壁が多い中、そこまで急な崖ではないが何とか降りれそうな場所に着いた。アドリエの崖にはツタがびっしりとついている。
「此処を下る・・・のか?」
「ああ、そうだ。落ちて死んでも、一切責任は問わないからな?」
崖のずっと下の方を見る。俺は息を呑んだ。恐らくは2,30メートル位の高さはあるだろう。高所恐怖症ではないが、落ちたら間違いなく命は無いだろう。命綱無しで降りるとしたらと考えると、ワームと戦っていた時よりも自然と恐怖が湧いてきた。
そこでクライスは動きを止め、手を上げて合図する。
「あいよ、俺様の出番かね?」
それを見た大剣使いは先行して崖のツタを利用し、慣れた手つきで確実に、崖を下った。




