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第41話 兄弟

今回、時間があまりなくて短いです。

「加勢に来てやったんだ、ちょっとは感謝しろよ?()()ギルド一の斧使いがザマァねぇな」

アドロにそう言ったのは、二十歳前半位だろうか?弓を担いだ長身な冒険者。パーティの指揮を取っていたリーダー格と思しき人物。


「自称じゃねぇよ!しっかし、まさかお前だったとはな!クライス・マライン」

アドロが不機嫌そうに答える中、俺は疑問を持つ。確か、アドロの姓は『マライン』だった筈だ。それとも、この国では、マラインという姓はそう珍しく無いのか?



「おいおい、仮にも実の兄貴を呼び捨てにするなんて結構傷付くんだよなぁ」

「えっ!?兄貴って・・・兄弟!?」

「ああ、そうだよ」

言われて見れば彼の顔は何処か少しアドロに相似的な部分もある。アドロはクライスを、睨み続ける。


「昔みたいに兄ちゃんと慕ってくれても良いんだぞ!?」

「誰が言うか!一体何年前の話だそれ?いつまでもガキ扱いすんな!」

黒歴史を暴露されたかの様に頭を抱え込む。


「ところで、今もエイプリルちゃんの事はまだ好きなのかな?」

クライスは揶揄(からか)う様に悪意丸出しの質問を投げかけた。


「何言ってんだお前!この糞兄貴!死ね!」

「お前は村を出たときから、あまり変わらないな。せっかく場を和ませるために言ったのに」

アドロのあの冗談のセリフはここからきているのか、兄弟は似るというのは本当だ。


和やか?な兄弟げんかに、周りの冒険者達は苦笑した。

まさかこの2人が兄弟だという事は知らなかったが、そんなこんなで色々と経緯を説明した。



アドロは、クライスが右手に抱えている深碧(しんぺき)の弓矢を見つめた。見るからに一級品だ。細やかな彫刻が施されており、繊細で、しなやかな弓は、気品があった。アドロの鋭い眼光に光が宿るかの様に目の色を変え、言い放った。


「その、弓矢・・・お袋のか?」

「ああ、冒険者を引退してからも、相変わらず元気だっよ。まったく、母さんらしいよな」

「親父は?」

さっきまで敵意剥き出しだったアドロは親の話となると、喜々として話していた。しばらく会っていないのだろうか?クライスは、此方(こちら)に顔を向け、言った。


「ユートくんだっけ?大変だったね君も」

「ところで、アド・・・いや弟さんとは(しばら)く会ってないんですか?」

「まぁ、弟とは支部が違うからあんまし会わないけどな。」

支部というところで、首を傾げる。


「支部?」

「ああ、そうだよ。冒険者ギルドは幾つかの支部に分けられているからね。父さんも母さんも一応、元冒険者だから」


「親父の斧さばきは凄かったなぁ」

「そうだよなぁ、そうだよなぁ。お前は父さんの斧に惹かれて斧使いになったんだっけ?自称だけど!」

クライスは何度も頷く様に言う。それにアドロは反論する。


「何度も自称自称言うなー!!!」

「お前じゃ、この弓矢は扱えないだろ?何度弓の扱い方に失敗して怪我した?」

クライスの瞳に悪意が灯り、小馬鹿にしたような態度をとる。


「っち!あれは仕方ねぇよ。だってお袋の弓矢っていちいち矢のコントロールがムズくて当たりやしねぇ」

舌打ちをして、言い訳をするアドロを余所目に言う。


「だから、お前は父さん譲りの適当さを武器に斧を使ってんだろ?そう言うところが、昔と殆ど変わらないんだよ」


「俺から適当さを取ったら、何にも残らないんかよ!そもそも俺だって強いんだよ!」

ぶつぶつと御託(ごたく)を並べるアドロに、さらに怒らせるようなことも平気で言うクライスに少し尊敬してしまう自分は置いておく。


クライスはため息をついた。


「はぁー。たまには実家に帰ってやれよ。何年も実家に帰って無いんだからさ。父さんも母さんも心配していたんだぞ?」

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