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第40話 連携

一心不乱に大群で押し寄せるワームの大群と、加勢に来た冒険者達が衝突した。


「うおぉぉぉおおおお!!!!ここは俺が引きつける!」

リーダー格であろう、弓使い(アーチャー)の男は遠距離攻撃型で距離を取りつつ、深碧(しんぺき)の矢筒の矢を取り出し、男は力一杯に弓を引き、しなやかな弓は一切音を上げることも無く、正確なコントロールで、ワームを一匹づつ打ち抜く。


弓使いの男が取り(こぼ)した分を、フルプレートの大剣(グレート・ソード)使い(マスター)の大柄で屈強な男が大群の中に突っ込み、自らが(おとり)となった。しつこく飛びながら牙で攻撃してくるワームを物ともせず、自分の頑丈な肉体を生かし、巨大な(はがね)の刃で()ぎ払う。


ワームは物凄く弱いのか、さっきまでの強さを否定するかのように簡単に大剣の重い斬撃でねじ伏せられる。あれだけ強く見えたワームはこんなに弱かったのかと自分の眼でみていたものに落胆(らくたん)する。


ワーム自身が弱いのか?否、堅牢(けんろう)な鎧の前には無力であった。つまり、ワーム自身は強固なモノには耐性が無いという事だ。事実俺は、何も魔物の知識のないまま、戦っていた。戦術一つでここまでも違うとは少し情けない気もしてきた。異世界の知識をもっと学ぶべきだろう。


「キシャキシャァアァァ!」

群れて、固まっていたワ一ムの集団は、1個体づつに分断された。『ぼてっ』と音を立てて、薙ぎ払われたワームは転げ、その場で仰向けになる。体勢を立て直せず起き上がれない。


「固まって動いているワームは、いったん分断されると動けねぇんだよ」

息切れしかけていた、アドロが言った。確かに集団性を強みとするワームは、引き離してしまえば、その強みも皆無(かいむ)となる。


「そうか、これを狙って!」

情報を熟知しているからこそ、常に優位な戦い方が出来る。


「うぉらぁあぁぁぁぁぁ!!!!」

分断されたワーム達は、為す術もない。ロングソードを両方の腰に装着した比較的小柄な男が、容姿とは想像もつかない程、過激な動きと瞬発力を利用した華麗な剣捌きで、繰り出される2本の剣の斬撃は小回りが利き、ワームを一匹一匹確実に仕留めていく。


ワーム達はトドメをさされ、キュッというを上げてやがて動きも完全に止まった。


ただ、数が数だ。次々と湧いて来るワームの群れは、除去しきれない。そこでパーティの一人、魔女(ウィッチ)風の女が声を響かせ、他のパーティメンバーにその場から離れるように促す。


「逃げて!今から魔法を打つからね!!!!」

そう言うと、他のパーティメンバーが逃げたのを確認すると、全身に意識を集中させるように、ワーム達に杖を向けた。


「どっ、どういう事だ?」

急いでできるだけ離れた場所へと移動する中、近くにいたアドロに問う。


「多分、引火するぞ!ワームに炎を近づけちゃ行けねぇのは、何故か炎に引火するからだ。だが、完全に絶命させるのはこれが一番なんだよ!」

ワームは体内に引火性が高いガスか、体液か何かを含んでいるのか?


その瞬間――

「原初の渦に宿るは炎、業炎となりて、我が元に権威を示し、炎弾となれ!フレイム・ショット!!!」

女の詠唱が言い終わると、大気が収束し、圧縮され、熱量が発生する。突如、ボッという音を立てて、空中で1メートル程の炎の弾丸とでもいうべきか、燃え盛る炎の弾を形成する。


ただ、炎の弾といってもうねりを打ち、その形は常に一定を保っているという分けでもない。詠唱を言い終わってから、女が自分の手の様に杖をクイッと動かすと、ボボボッという風に炎は揺らぎ、炎の勢いは増し、空中に留まっていた炎は弾丸の如く、その真っすぐ先にいるワームの群れに一直線に放たれた。


「———————ッ」

迷いも無く放たれた炎の弾丸は、物凄いスピードを保ち続けたまま、動けず、固まっていたワーム達を包み込む。音や、嗅覚といった感覚器官で反応しているであろうワームは何も反応できず、断末魔の声を上げることも許されず、炎に呑まれた。ワームには、効果覿面だったようだ。放った炎の魔法は、その威力を物語るかのようにワームに直撃し、一瞬で跡形も無くなり、灰と化す。


ワーム達を包み込んだ炎は、パンパンッという何かが弾け飛ぶ様な音が聞こえると、やがてそれは炎を拡幅させ、爆風に変わる。威力を増し、業炎の竜巻へと変貌した。その業炎の竜巻は、やがて小さくなり、威力も半減してポッとマッチを付けた様な音を出し、消滅した。


流石の威力に、同じパーティメンバーも、魔法を放った本人さえも、かなり動揺している様に見えた。実際、俺も茫然自失(ぼうぜんじしつ)する。


「お前、何時(いつ)こんな魔法習得してたんだ!?」

「こっ、ここまでとは思っても無かったんだけど・・・確かにアタシが撃った魔法だけど、此処(アドリエ)の魔素に反応して、増幅するしている可能性が。いや間違いなく此処(アドリエ)の尽きる事のない魔素とアタシの魔力が重なり合ったという事になるね」


「なんだよ!これ・・・魔法って反則過ぎないか!?」

俺は呆気にとられ、興奮とその威力の恐ろしさの感情が入り混じり、声を荒げた。


戦術的には、弓使い(アーチャー)大剣(グレートソード)使い(マスター)で、大まかな群れを崩し、ロングソードで確実に潰した後、魔法で完全に殲滅(せんめつ)する。実に連携のとれた模範的なパーティだという事が分かる。

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