金曜日・ラストゲーム 1
友梨は洋服ダンスから動きやすそうな服を選ぶ。
上は普通のシャツに下はジーパン、特に装飾品など着けず、それらを身に着ける。
「よし。」
友梨はショルダーバックに携帯、ノート、ペンなど必要な物が入っているか確認していると、視線を感じ、顔を上げる。
「――っ!」
顔を上げると自分と似たような服装をした智里がそこにいた。
「ち、智里、いたんなら声くらいかけてよ。」
「ここはわたしたち姉妹兼用の部屋なのよ、いちいちノックする意味が分からないわ。」
「……。」
友梨は何か言いたげな目つきで智里を睨むが、それよりも冷たい目をしている智里に彼女は勝てなかった。
「何か?」
「……何でもない。」
結局尻尾を巻いて逃げ出す友梨に智里は馬鹿にしたように笑う。
「言いたい事があれば言えばいいのに。」
言えたら十倍返して返ってくるくせにと友梨は目で訴えるが、口には決して出さない。
「それにしても、本当に最後になるのかしらね。」
「そうなって欲しいよ。」
智里は携帯を取り出した。
そこには一通のメールが届いている。
「君たちはよくやっているようだね。」
「君たちの努力に免じて、今回のゲームでラストにしようではないか。」
「それでは、最後の決戦の地である、場所で待っているよ。」
智里と友梨は交互に読み合い、そして、友梨は添付ファイルの地図を見る。
「こんな山の中に何があるんだろう。」
「さあ、言ってみない事ないは分からないわよ。」
そう話していると、インターホンが鳴る。
しばらくすると、美波の声が下から聞こえる。
「お姉ちゃんたち、来たよ。」
「分かったわ。」
「今行くよ!」
二人は互いの健闘を祈るかのように、自分たちの腕を掲げぶつける。
「へまをしないでよね。」
「したくないわよ。」
「ふーん。」
「智里こそ変な事仕出かさないでね。」
「変なとは何の事やら。」
「……。」
活躍なのか変な事なのか紙一重の智里の行動を思い出し、友梨はげんなりとする。
「あんた分かって言っているよね?」
「何の事かしら?」
「……。」
すっとぼける智里に友梨は肩を竦める。
「もういいわ、昌獅が待っているわ。」
「昌獅…ね。」
「何よ?」
何か含みのある笑いをする智里に友梨は軽く彼女を睨みつける。
「何でもないわよ、まあ、強いて言うなら、たった数日で仲良くなったわねと思っただけよ。」
「……。」
智里の言葉に友梨は苦笑する。
「確かにちゃんと知ってからは数日ね、でも、私たちは同じ学校に通っていた事もあるのよ?」
「……本当にそうなのかしら?」
「……。」
智里の言葉に友梨は溜息を零す。
「ねぇ、智里。」
「何かしら。」
「変に引っ掻き回すのは止めて、昌獅はちゃんと私と同じ小学校、中学校も一緒だった、それに他の二人もいい人ばっかりよ。」
「世の中いい人ばかりじゃないのよ。」
「そうかもしれないけど、昌獅は違う。」
「……。」
言い切る友梨に智里はジッと見つめ、そして、肩を竦める。
「信じるのならそれでもいいわ、でも、足元をすくわれてもわたしは手助けなんかしないわよ。」
「大丈夫。彼はちゃんと信じられる人だから。」
「……。」
まだ何か言いたげな智里だったが、外から聞こえる催促のクラクションに二人は同時に顔を見合わせる。
「行きましょうか。」
「そうだね。」
二人は同時に頷き、そして、待たせてしまっている四人の元に向かった。




