金曜日・ラストゲーム 2
「遅い。」
文句を言ってくる昌獅に友梨はごめんと謝る。
「……友梨。」
「何?」
「お前はこっちだ。」
「へっ?」
有無を言わさず、昌獅は彼がのって来たのだろうと思われるバイクの前まで彼女を連れていく。
「えっ、何で?」
友梨は勇真が車で来ているのにと首を傾げると、苦笑する勇真の姿があった。
「ごめんね、友梨ちゃん。」
「何がですか?」
「おれの車運転手を合わせて四人しか乗れないから。」
「ああ。」
友梨は勇真の言葉に納得する。
「あー、でもなんで私?」
「男なんて乗せるなんてヤダ。」
子どもみたいな事を言う昌獅に友梨は苦笑しながらも、こっそりと、運転手である勇真、そして、涼太くんを除外する。
智里と美波の二人を見て友梨はこの選択が消去法なのではないのかと思った。
「あー、そっか、智里や美波よりも私の方がマシだもんね。」
「……。」
友梨の言葉に昌獅は若干顔を顰めるが、残念ながら友梨はその事に気づかない。
「分かった。」
「……。」
ニッコリと笑っている友梨に昌獅は水を差すのはよくないと思ったのか、彼女にヘルメットを投げる。
「しっかりと着けとけよ。」
「了解。」
ピシリと敬礼する友梨に昌獅は溜息を零し、そして、勇真を見る。
「先行けよ、後から追いかけるから。」
「分かった、気を付けて。」
「誰に言っているんだ。」
そう言うと昌獅はまるで最後の調整だというようにバイクの様子を見る。
「それじゃ、智里ちゃん、美波ちゃん、涼太、乗ってくれないかな。」
「……。」
「はーい。」
「分かった。」
勇真の言葉に智里は無言で後ろ座席に向かい、美波は元気よく返事をし、涼太は憮然と返事をする。
「美波。」
「何?」
「貴女も後ろ座席に座りなさい。」
「えっ、何で?」
「分からないの?」
首を傾げる美波に智里は鼻で笑う。
「車の事故で助かる確率が高いのは後部座席なのよ。」
「……。」
「……。」
「へー。」
智里の言葉に二人の男は黙り込み、美波は感心したような声を出す。
「だから、後ろにしなさい。」
「……。」
「……。」
「分かった。」
美波は智里に言われたように後部座席の方に座る。
涼太は何とも言えない顔で勇真を見、勇真は無言で彼の肩を叩く。
「大丈夫、安全運転だから。」
「頼んだ。」
取り敢えず、それだけを言って、二人も車に乗り込んだ。




