木曜日・想い 9
「……泣くなよ。」
涙を流し続けている友梨に昌獅は苦笑する。
「だって、平気な…顔して……言うんだもん。」
「……。」
優しい笑みで昌獅はポンポンと友梨の頭を叩く。
「病院に両親やあいつがたどり着く前に姉は息を引き取った、俺はさ餓鬼であいつを恨む事しか出来なかった。」
「うん。」
「あの後、あいつが誰と居たか聞いた、理由もな。」
「うん。」
「でも、俺は許せなかったんだ、もし、あいつが姉と居れば姉は死ぬ事がなかったんじゃないか、もしってな。」
「……。」
まだ涙を流している友梨に昌獅はそろそろ彼女の持っているタオルハンカチが意味をなさないのではないのかと思い、自分のハンカチを探す。
「ねぇ、昌獅。」
「何だ。」
「お姉さんはさ、きっと幸せだったと思うよ。」
「そんな訳ないだろう。」
顔を顰める昌獅に昌獅によく似たナツを思い出す。
「生意気で、意地悪で…あと何だっけな、まあいや。」
「悪口か?」
「さあね、まあ、可愛い身内に見守れ中がら亡くなったんだもん、きっと、今は笑っているよ。」
「……。」
友梨の能天気ともとれる言葉に昌獅は溜息を零す。
「そうだといいな。」
「うん。」
友梨は目を閉じて、あの明るい笑みを思い起こす。
「後悔してなければあんな笑顔見せないよ。」
「ん?」
「何でもない、ねぇ、もっと昌獅の事聞きたいな。」
「何にもねぇぞ?」
「それでも。」
友梨が言えば、昌獅は仕方ないな、というように口を開く。
昌獅から零れる彼の幼少期はとても寂しく、でも、姉との思い出が溢れるないようでもあった。
両親は共働きで、よく彼の祖父が経営していた道場に姉と共に通っていた、そこで、剣術や武術を習っていたそうだ。
なかなか姉には勝てなかった。
口も手も。
でも、そのお陰で彼は挑む事を学んだ。
いつかは姉に勝てると信じ、彼は努力を怠らなかった。
「結局、俺は姉に勝てる事は永遠になかったな。」
「……。」
フッと笑っている昌獅からは負の感情はなかった。
どこか吹っ切れたような昌獅の様子に友梨はホッとしながら、ふっと時間が気になり、時計を見たが止まっていた。
「えっ、電池切れたのかな?」
行きつけの店はまだやっているのかと、溜息を吐きながら友梨は鞄から携帯を取り出した。
持ち方が悪かったのか携帯は友梨の手から離れて、床に落ちた。
派手な音をたて、落ちたそれを罰が悪そうな顔をしながら友梨は拾い上げる。
「やばい…。」
「何やっているんだよ。」
「ううう。」
呆れたような声を出す昌獅に友梨は縮こまりながら携帯を握れば感触がいつもと違っていた。
「えっ?」
携帯の後ろを見ればカバーがなくなっており、友梨はぎょっとなりながらも床を見ればカバーと一枚のカードを見つける。
「カード?」




