水曜日・過去 31
昌獅が扉を開ける。
しかし、何も起こる事はなかった。
「……。」
油断はしてはいけないと思いながら、昌獅はそっと下を見て視線が合った二人に頷く。
涼太はすぐに頷き、ゆっくりと階段を上がる。
勇真は下の方を見て友梨たちに合図をする。
昌獅は彼らの行動を見て先頭に立って先に危険がないか探る。
「危険はなさそうか。」
昌獅がそう呟いていると彼の耳に軽い足音が聞こえる。
その足音はどこか焦っているようで、一度閉められた扉が開くと明らかに昌獅が心配と顔に書いた友梨の姿がそこにあった。
「大丈夫なの?」
「そんなに俺が心配だったのか?」
思わず漏れた言葉に昌獅はハッとなり口を押えるが、それよりも、友梨の反応が早かった。
友梨はつかつかと昌獅に近づき、彼の手首を掴む。
「私は大丈夫なのってきいているの、答えてよ。」
「……見ての通り何もねぇよ。」
「よかった…。」
本気で安心している友梨に昌獅は何とも言えない気持ちになる。
だが、そんな空気もすぐに崩れ去る。
「いちゃつくなら後でにしてよね、お姉ちゃん。」
「いちゃつくって何を言っているのよ。」
本気で友梨はそう思っているようで怪訝な顔を智里に向ける。
「……お姉ちゃんの今後が心配になって来たわ。」
「何がよ。」
「別に。」
「……。」
釈然としない友梨だったが、これ以上時間を取られる訳にもいかないので、どこか不満そうな顔をしながら昌獅を見る。
「先に行こう。」
「だな。」
友梨と昌獅は互いに武器として持っている傘を握り締める。
昌獅、友梨と続き、智里、美波、勇真、涼太の順に進む。
「昌獅。」
「何だよ。」
「アレ。」
友梨は明らかに次に進むヒントとなっているものを見つけ、それに本気で気づいていない昌獅の服を引っ張る。
「ん?」
「……。」
「……あんなもんあったか?」
「あったよ。」
友梨は昌獅の言葉に呆れて額に手を当てる。
「で、どういう意味だ。」
「私だって分かんないわよ。」
見たらわかると思うが、今回は二択だが、ここまでこれた事に最大のヒントを差し上げよう
炎陽
水月
陽氷
鳴神月
これくらいヒントを上げれば分かるだろうね
紙に書かれた言葉に友梨は何の事だと首を捻らせ、そして、上のボタンの横に張られた「風待月」、同じく下のボタンの横に張られた「雨月」に何の事だと後ろを振り返った。
友梨、昌獅よりも先にこのような問題を見て来た四人は様々な表情を浮かべていた。
智里はまたかと不機嫌丸出しの表情。
勇真も何処か困ったような顔。
美波はキョトンと小首を傾げ、
涼太はげんなりとしていた。
友梨は彼らの身に何があったのかと若干顔を引きつらせる。




