火曜日・顔合わせ 10
昌獅は見せられたアルバムに懐かしさと苛立ちを胸に抱く。
「……。」
そして、溜息を零し、友梨を見れば彼女は妹に色々と言われ縮こまっている。
「まあ、智里ちゃん、そこまで言わなくとも。」
「あら、わたしはただ本当の事を言っているだけですよ。」
「それは……。」
「まあ、これ……同じ学校の出身者だとしても、何故、わたしたちだったかは分かりませんね。」
「そうだね。」
「年齢も近いとはいえバラバラ。」
「全く同じなのは友梨ちゃんと昌獅だけだしね。」
「ええ。」
「それに、何故六人。」
「……。」
「無作為に選んだとしても、何でわたしたち姉妹がそろっているのか、偶然なのか、意図したものか、全く分からないわね。」
「そうだね。」
智里は口元に手を当てて眉間に皺を寄せる。
「本当に……読めない。」
「……。」
「ねぇ、智里お姉ちゃん。」
「何かしら?」
美波に声を掛けられ、智里は苛立ったような声を出す。
「これ頼んでもいい?」
「……お前な…。」
緊張感のない美波に思わず、涼太は呟く。
「だって、小腹が空いちゃったんだもん。」
「夕飯は入るの?」
「うん。」
「なら、好きにしなさい、どうせ、そこの駄犬の奢りよ。」
「なっ!」
無関係のはずの涼太が巻き込まれ、彼は絶句する。
「あら、何か文句あるかしら?」
「大ありだよ。」
「ふーん、わたしに逆らう気?」
「……。」
智里の凍り付くような目に涼太は黙り込む。
「まあまあ、智里ちゃん、おれが皆の分奢るから、その子を弄るのをそろそろやめないかな?」
「仕方ないわね。」
勇真の言葉に智里は片眉を動かして引き下がる。
「勇真さん、すみません。」
「まあ、この中で年長だし、このくらいなら大丈夫だよ。」
「ううう。」
友梨は本当に申し訳なさそうに縮こまる中、昌獅はポケットに手を突っ込み、お札を一枚取り出し、友梨たちに見えないように勇真に向かって差し出す。
「昌獅…。」
勇真は困ったような顔をしてそれを受け取らない。
「お前に貸なんて作るか。」
「……多い。」
「いいんだよ。」
昌獅はそう言うと何となく縮こまっている友梨を見て頬を僅かに緩ませる。
「そこのお二人さん、そろそろ話を戻してもいいかしら?」
「……。」
「ごめんね、智里ちゃん。」
智里の不機嫌な声音に昌獅は彼女を睨むが、勇真は素直に謝る。
「まあいいわ。貴方たち二人はお姉ちゃんが言うには何か嗜んでいると、何か武術でも?」
「ああ、おれは弓道を少しやっている。」
「……。」
「あら、無言?」
智里は機嫌が悪くなりだんだん笑みが増す。
「ち、智里、そこまで。」
「お姉ちゃんは黙っていて。」
「でも…。」
「言っておくけど、これは重要な事よ。」
「えっ?」
あまりにも真剣な顔をする智里に友梨は素直に驚く。
「何で?」
「本当にお姉ちゃんは自分では考えないわね。」
「だって。」
「言っておくけど、敵が何を考えているのか読めないのはもうこれ以上頭を悩ませていても無駄。」
「無駄って。」
「ああ、言っておくけど、頭にお姉ちゃんや美波という言葉がつくけど。」
「酷い。」
「酷くないわよ。」
友梨は涙目になりながら智里を睨むが慣れているのか、智里はそれを華麗にスルーする。
「さて、どうなのかしら?」




