火曜日・顔合わせ 9
六人が近くのファミレスに入り、それぞれ飲み物を見る。
「決まったかい?」
「ええ。」
「うん。」
「あっ、はい。」
「……。」
「決まりました。」
勇真は全員が決めたのを確認し、呼び鈴を押す。
「お待たせいたしましたご注文は。」
「ホットコーヒー。」
「わたしも。」
「俺も。」
「オレは紅茶。」
「あっ、あたしも。」
「…………オレンジジュースで。」
友梨はただ一人甘い飲み物を注文をし、俯く。
「畏まりました、ホットコーヒーが三つ、紅茶が二つ、ミルクとレモンがございますが?」
「ストレート。」
「ミルク。」
「畏まりました。紅茶ストレートとミルクですね。オレンジジュースがお一つ以上でよろしかったでしょうか?」
「はい。」
「失礼します。」
店員が立ち去り、智里が溜息を零す。
「何情けない顔をしているのよ。」
「……。」
友梨は智里から顔を背ける。
「馬鹿みたい飲み物一つでここまで落ち込むなんて。」
「仕方ないじゃない。」
「何が?」
「私コーヒー飲めないし、紅茶って気分じゃないし。」
「はぁ……、誰も悪いとは言っていないのに、何で落ち込むのって言っているのよ、わたしは。」
「だって……。」
「もういいわ。」
智里はこれ以上この姉の相手をする気はないのは会話を切り、勇真を見る。
「こんな姉で申し訳ないわ。」
「そんな事ないよ。」
「さて、今日集まってもらいましたのは、これの件です。」
智里はそう言って携帯を机の上に置く。
「日曜日にわたしたち姉妹にこの愚姉宛に送られてきました。」
「おれの所も丁度日曜だな。」
「俺もだな。」
「オレもだ。」
「そうですか。」
「何か手がかりでもあったかい?」
「いいえ、箱を隅々まで見て、この荷物の送り主を追跡しようとしましたが、駄目でした。」
「君の所もか。」
「ええ。」
「いったい誰が……。」
考え込む勇真に智里は溜息を零す。
「確かにいったい誰が、というのも気になります。」
「他にも気がかりな事が?」
「気がかりと言いますが、疑問ですね。」
勇真の言葉に智里は真っ直ぐと彼を見つめる。
「ええ、疑問。」
「どんなのかな?」
「一つに何故わたしたちだったのか。」
「……。」
「何か恨みがあるのか。」
「共通点があるか。」
「共通点か、それって本当にあるのかな?」
友梨の言葉に美波以外の面々が彼女を見る。
「何か?」
「だって……、この中で知り合いって言ったら、私たち姉妹と……。」
友梨はちらりと昌獅と勇真を見る。
「どうかしらね。」
「えっ?」
「ほら。」
智里は何処に仕舞っていたのか、卒業アルバムを取り出す。
「って、これ、私のじゃないっ!」
友梨はてっきり智里の中学の卒業アルバムだと思っていたのだが、よくよく見れば色味が違い、その上、アルバムに書かれている年度を見て自分のだとようやく理解する。
「遅いわよ。」
「仕方ない……じゃないっ!何であんたが持っているの。」
「持ってきたからに決まっているじゃない。」
「無断に。」
「あら、お姉ちゃんだってよくわたしのもの無断で使うわよね?」
「う……。」
「お姉ちゃんはよくてわたしが駄目なの。」
「……。」
友梨は否定したかった、彼女だってたまに智里のものを借りるが、それは彼女の許可を得ているのがほとんどであり、残りは机とかに会ったペンを借りたらたまたま智里の者でグチグチと言われているのだ。
それを言ったところで智里は多分ニッコリと笑い「使ったよね?」と言うに決まっている。
そして、それを文句言えないのが友梨だったりする。
「まあ、その辺にして。」
「そうね、時間もない事ですし。」
勇真が間に入り、智里はすんなり引いた。
「それで、これは?」
「お姉ちゃんとそこの人同級生よね。」
「うん、同じ高校だし、同じ学年だし。」
「そうね、小学校も、中学校も同じだしね。」
「「えっ?」」
二つの声が同時に発せられる。
「どういう事?」
「ほら。」
智里は一つのページをめくればそこには友梨の名前と写真があった。
「あんまり、写真写りがよくないし、見ないで。」
「はいはい。」
友梨は自分の顔写真を隠し、智里を軽く睨む。
「もう、地顔が悪いからってわたしを睨んでもお姉ちゃんが美人になる訳ないのにね。」
「いいでしょう。」
「はいはい。」
智里は肩を竦め、二、三ページめくり、目当てのページを見せる。
「あっ…。」
「……。」
友梨は昌獅の顔写真と彼を交互に見て、本当に同じ学校だったんだったんだと驚く。
「ね?」
「何で…。」
「本当に気づいていなかったのね。」
「だって……。」
「本当にお姉ちゃんは……。」
あきれ果てた顔をする智里に友梨は縮こまる。




