水曜日・過去 1
友梨はジッと身動きをせず、駅のホームのベンチに腰掛け、電車を待ちながらそれを睨むように睨んでいた。
それはスマートフォンだった。
そして、昨日それに一通のメールが入った。
件名:第二ゲーム 予告
さてさて、昨日はご苦労だったね
君たちは思っていたよりもマシな駒だったようだ
正直、君たちの半分は使い物にならないと思っていたが、まさか、全員が生き残るとはね
まあ、そうじゃなければ面白くないか
それでは第二ゲームだが添付している地図の場所に六時に来てもらおうじゃないか
そこで君たちに指示を送る
言っておくが逃げても無駄だよ
時間通りに来なければ、君たちの持つそのスマートフォンは爆破される
威力は弱いが怪我はするだろうね
生き残る為には君たちは挑むしかない
今度も君たちに勝利の女神は微笑んでくれるかな?
友梨はそのメールを見て憤った。
何で自分たちがこんな目に遭わなければならないのかと。
刹那、友梨の頭に何か暖かいものが触れた。
友梨はゆっくりと顔を上げれば、そこには呆れたような顔をした昌獅がいた。
「日部くん?」
「そんな変な顔すんな。」
「変って。」
昌獅の言葉に友梨は彼を睨む。
「私は真剣にーー。」
「考えてんのは分かるが、これから先にが起きるか分からないのに、下手に考えるな。」
「でも。」
「でも、もなし。」
友梨は言葉を詰まらせ、俯く。
「本当にお前は無器用だな。」
「ええ、理科や工作の授業で何か作る時にいつも辛うじて形にはなるのに、本来の機能は果たしていないものね。」
「……いや、その無器用じゃなく……つーか、手先も無器用なんだな。」
「煩い…。」
友梨はようやく自分は余計な事を言ったのだと気づく。
「はぁ……。」
「いつまで、私の頭を撫でるのよ。」
「嫌か?」
「……。」
昌獅の問いかけに友梨は黙り込む。
友梨は妹たちに対しては幼い頃は撫でていた記憶はある、でも、自分がされたのはあまりないし、その上、他人に触れられるのは本来ならば逃げ出したくなるほど苦手なのだ。
なのに、昌獅に触れられてもそんな嫌悪感はなかった。
「友梨?」
「別に……。」
「なら、いいじゃないか。」
乱暴に、でも優しく撫でる昌獅に友梨はいつの間にか目を細める。
「日部くんって不思議な人だね。」
「ああ?」
「はじめは怖い人だと思った。」
友梨は彼との出会いを思い出し、クスリと笑う。
「怖いだと?」
「怖いよ、だって、突然羽交い絞めにされたんだよ。」
「あ、あれは…。」
「うん、私を助けようとしてくれたんだよね。」
友梨は目を瞑り、あの時を思い出す。
二日前の話なのにもうかなり前のような気がした。
「………ありがとう。」
「ん?」
突然の感謝の言葉に昌獅は首を傾げる。
「あの時ちゃんと言えなかったから。」
「……。」
「あの時は色々と混乱していて何も言えなかったと思う、でも、今はあの時助けてもらって本当によかったと思うの。」
友梨は真っ直ぐに昌獅を見つめる。
「ありがどう、助けてくれて。」
昌獅は何も言わず、ポンと彼女の頭を叩き、そして、手を差し出す。
「電車来るぞ。」
「うん。」
友梨はその温かい手を取り、立ち上がる。




