火曜日・顔合わせ 3
友梨は目の前にいる人を見つめる。
いつもだったら本を取り出し読んでいるのに、目の前に知り合いがいたら読みにくかった。
しかも、何か話す訳でもないので、目的の駅に着くまで沈黙が重かった。
仕方ないので、友梨はジッと彼を見る。
昨日は気づかなかったが彼はかなり整った顔立ちをしている。
少し黒髪かと思ったが、よく見れば茶色みがかった髪、多分一度も髪を染めた事がないんだろうな、と友梨は思った。
そして、焦げ茶色の瞳はジッと友梨を見ていた。
友梨はそこで、ん?と声を上げる。
そう、昌獅はジッと友梨を見ていた。
穴が開くようにジッとだ。
今の今まで気づかなかった友梨は動揺する。
「日部くん。」
「何だ。」
「何を見ているの?」
「お前。」
「……。」
呼びかければ普通に返してくれる昌獅に一瞬ホッとした友梨だったが、その答えを聞き体が強張る。
「何で、私なんかを。」
「……何かとか使うんじゃねぇ。」
「えっ?」
言われている意味が分からず、友梨は目を丸くさせる。
「お前、卑屈すぎる。」
「そ、そうかな……。」
友梨は真正面からそんな事を言われて本気で戸惑う。
「ああ。」
「……。」
「どうして、そこまで自分を貶すんだ。」
「……私は事実を言っているだけ。」
友梨がそう言うと、昌獅はジッと友梨を見て、溜息を零す。
「どうすれば、こんな性格になるんだろうな。」
昌獅はそう呟くと、肩を竦める。
「日部くーー。」
「降りるぞ。」
「えっ…。」
いつの間にか下車する駅についており、友梨は慌てて先に降りた昌獅の後を追った。
そして、中途半端に言葉を詰まらせた友梨はこの話題を振る事もなく、同時に、昌獅もこれ以上する気はないのか、結局学校にたどり着いても、二人は黙ったままだった。




