火曜日・顔合わせ 2
「行ってきます。」
友梨は家を出て駅までの道のりを歩く。
いつもと変わらない日常。
だけど、いつ非日常に変わるのか分からなかった。
そして、その非日常の一部が友梨の視界に映る。
「えっ?」
「やっぱり、このくらいの時間か。」
駅近くの道に彼――昌獅が立っていた。
「何で。」
「行くぞ。」
歩き出す昌獅に友梨は目を白黒させたまま立ち尽くす。
そして、十歩くらい歩いた昌獅が振り返る。
「置いていくぞ。」
「あの、何で日部くんが。」
「同じ学校だろうが。」
「そうかもしれないけど……。」
今日までの三年間友梨と昌獅は一度も会った事がない。
なのに、今日に限って出会う。
否、彼が待ち伏せをしていた。
「……置いていくぞ。」
先ほどと同じ言葉、でも、その眼には少しの苛立ちが見えて、友梨は顔を強張らせる。
目に見えて怯える友梨に昌獅はギョッとなる。
彼女は歪だった。
勇ましくなったと思ったら気弱になり。
笑ったと思ったら、不安そうな顔したり。
自分に自信がない。
その言葉で片付けばいいのだが、そうじゃない。
彼女は自分に否定的なのだ。
昌獅は厄介な相手だと思いながらも、そんな歪な彼女を見つめた。
彼は気づいていない。
自分が柔らかく微笑んだ事に。
そして、それを真正面から見た友梨は驚き、目を軽く見張る。
「何で…。」
「ん?」
「何で私に関わろうとするの?」
「……。」
呆然と呟く友梨に昌獅は溜息を吐いて彼女に近づく。
「日部くーー。」
「行くぞ。」
友梨の腕を掴み、昌獅は駅に向かって歩き出す。




