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ダークネス・ゲーム  作者: 弥生 桜香
第四章

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火曜日・顔合わせ 2

「行ってきます。」


 友梨は家を出て駅までの道のりを歩く。

 いつもと変わらない日常。

 だけど、いつ非日常に変わるのか分からなかった。

 そして、その非日常の一部が友梨の視界に映る。


「えっ?」

「やっぱり、このくらいの時間か。」


 駅近くの道に彼――昌獅が立っていた。


「何で。」

「行くぞ。」


 歩き出す昌獅に友梨は目を白黒させたまま立ち尽くす。

 そして、十歩くらい歩いた昌獅が振り返る。


「置いていくぞ。」

「あの、何で日部くんが。」

「同じ学校だろうが。」

「そうかもしれないけど……。」


 今日までの三年間友梨と昌獅は一度も会った事がない。

 なのに、今日に限って出会う。

 否、彼が待ち伏せをしていた。


「……置いていくぞ。」


 先ほどと同じ言葉、でも、その眼には少しの苛立ちが見えて、友梨は顔を強張らせる。

 目に見えて怯える友梨に昌獅はギョッとなる。


 彼女は歪だった。


 勇ましくなったと思ったら気弱になり。


 笑ったと思ったら、不安そうな顔したり。


 自分に自信がない。


 その言葉で片付けばいいのだが、そうじゃない。


 彼女は自分に否定的なのだ。


 昌獅は厄介な相手だと思いながらも、そんな歪な彼女を見つめた。


 彼は気づいていない。


 自分が柔らかく微笑んだ事に。


 そして、それを真正面から見た友梨は驚き、目を軽く見張る。


「何で…。」

「ん?」

「何で私に関わろうとするの?」

「……。」


 呆然と呟く友梨に昌獅は溜息を吐いて彼女に近づく。


「日部くーー。」

「行くぞ。」


 友梨の腕を掴み、昌獅は駅に向かって歩き出す。

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