月曜日・第一ゲームの行方 15
涼太は弓のように気を張り詰め、敵の視界に入らないギリギリのところまで慎重に動き、そして、合図を待つ。
そして、静寂の中に金属の高い音がした。
見張りの一人がその音に気づき、確認する為に一歩踏み出す、その前に涼太は敵のあえに躍り出る。
そして、敵が反撃に出る前に一気に拳をその腹にのめり込ませる。
「ぐっ。」
折れ曲がった体に追い打ちをかけるかのようにいつの間にかやって来た智里が催涙スプレーをかざし、容赦なく吹きかける。
そして、智里は口角を上げ、笑うと。
敵(男)の股間に容赦のない蹴りを入れる。
悶絶する男に涼太は敵ながら哀れに思う。
「何かしら?」
キラリと催涙スプレーの缶が不気味に光る。
頭を振る涼太は智里が催涙スプレーを吹きかける間に首筋に手刀を入れ倒した敵を壁に寄りかからせた。
「大丈夫?」
下から聞こえる情けない声に涼太は唯一の癒しのように思った。
「さっさと上がってきなさい。」
「は~い。」
上がってくる美波の手には智里と同じ催涙スプレーが握られている。
「それじゃ、わたしが先に行くから殿を頼んだわよ、駄犬。」
「おい。」
「何か不満?」
くだらない事を言えば殺す、と言う目をする智里に涼太は背筋が凍り付くような気がした。
「智里お姉ちゃん、大丈夫なの?」
純粋に心配している美波に智里は呆れた顔をする。
「大丈夫に決まっているでしょ。」
「何で?」
「催涙スプレーで怯んだら殿に向かって蹴とばせばいいじゃない。」
「……。」
「そっかー。」
黙り込む涼太、智里らしいと納得する美波。
そして、智里はこれで話は終わりというように扉に目を向ける。
「それじゃ、美波、適当に逃げときなさいよ。」
「うん。」
「駄犬、勝手に野垂れ死になさい、死んだら線香の一本くらいはくれてやるわ。」
「ぜってぇ死なねえよ。」
吠える涼太に智里は馬鹿にしたように鼻で笑い、そして、ゲームを終らせる為に扉を開ける。




