4.村長宅
夜になり、ザングとノイは村長メリラの家で夕食を取っていた。
机に置かれた器には、野菜と少しの肉が入ったスープが注がれていた。
「うん、うまいな」
スープを飲み、ザングがそう言った。
「うふふ。お口に合って良かったわ」
柔らかく笑ってそう応えるメリラ。
ノイは食事の手を止めて感謝を述べる。
「メリラさん。泊まらせてくれるだけじゃなく、食事までありがとう」
「いいえ。これぐらいはどうってことないわ。それに、賑やかな食卓になって私の方こそ感謝ですよ」
「賑やかな食卓……か。なあメリラ、この家には一人で住んでいるのか?」
「ええ……五年前に夫が病死しまして。息子も居ましたが、夫と同じく病気で……」
「そうか」
そう返事するザングの耳をノイが引っ張った。
「何をする、ノイ」
「謝った方がいい。余計なことを訊いてごめんなさいって」
「何故だ?」
「わたしたち人間にとっては、それが普通のことだから」
「なるほど」
得心したように頷き、ザングはメリラに顔を向ける。
「すまなかった、メリラ。配慮が足りなかったようだ」
「い、いえ……気にしなくても大丈夫ですよ」
メリラの顔に不快感はない。
だが、不思議なものを見るような表情を浮かべていた。
「ごめんね、メリラさん。この人、ちょっと……いや、かなり変わってるから。でも悪気はないの」
「え、ええ……大丈夫よ、ノイちゃん。それにね、寂しくないと言えば嘘だけど、村の皆が居るから私は大丈夫なの。この村の人たち全員が私の家族だから」
「強いね、メリラさんは」
「ふふふ。これでも村長ですから」
「うん、流石だね」




