第99話 負傷
ヒロも続けて声を上げる。
「キラーマンティス!?
キラーマンティスの群れがこちらへ向かってるというのですか!?」
「どういうことだ!?何十匹といるぞ!
なんにせよ、兵器も討伐隊もキラーマンティスとの戦いは訓練してない!
俺たちで食い止めるぞ、ヒロ!」
「エルザス捜しは中断です!メグさんも、すいませんが力を貸してください!」
「…分かった」
メグは不満げに答えた。
これもエルザスの策略なのか?
そう考えながらキラーマンティスの元へ向かうヒロに、見張り役からの声が魔法で届いた。
『キラーマンティスの群れの後ろに、ゾームが2体います!
キラーマンティスを王都まで追いやっているようです!』
「はやり…エルザスがゾームをつかってキラーマンティスをこちらに…!
混戦に追いやって、戦況を乱そうということか!」
兵器や討伐隊による連携という、戦術をもって戦いに挑むシュテリア陣営は、想定外の事態に弱い。
それを狙ってきているのだろう。
ただ、そのリスクは承知済みで、補うのはジュドーでありメグでありヒロだ。
ヒロは魔力を使い、キラーマンティスに対抗する。
ヒロは前方に手を掲げ、金色のビームを放った。
数体のキラーマンティスが一瞬で蒸発する。
森でキラーマンティスを2度全滅させたときのように、一挙にすべてのキラーマンティスを消すことだって、今のヒロにはできる。
しかし、全ての魔力をここで使ってしまっては、エルザスに対抗できない。
魔力をセーブして戦う必要があるのだ。
「雷迅突!」
「ファイアボール!」
ジュドーもメグも決死にキラーマンティスを蹴散らしていく。
キラーマンティスが半数ほどになったが、それでもまだまだ数が多い。
キラーマンティスはゾームに追われ、気が立っている様子だ。
生きるために、ゾームから逃れるため、向こうも必死で大きな鎌を振るってくる。
「くそっ!
数が多いぞ!」
ジュドーが叫ぶ。
キラーマンティスの特徴はその大きな鎌であり、そこから生み出される高い攻撃力だ。
一撃でも受けると、生身の人間には大きなダメージになる。
キラーマンティス一体は、ジュドーやメグ、今のヒロには大した相手ではない。
だが、数が多く連戦になると、一撃も受けられない、という意識を保ち続ける必要があり、精神が疲労してくる。
ヒロはこれまで、大魔法を使って短時間でモンスターを仕留めてきた。
魔力をセーブしながら、継続的に戦うことには慣れていない。
そもそも数か月前までは戦いとは無縁の世界にいたのだ。
そんなヒロにほころびが生じた。
後方のキラーマンティスに気付かなかったのだ。
キラーマンティスの鎌が、無防備なヒロの背中に振るわれる。
だが、ジュドーはいち早くヒロの危険を察知した。
「ヒロ!危ない!」
「え!?」
ヒロが振り返ると、血しぶきが見えた。
ジュドーが身を挺して、ヒロとキラーマンティスの間に入っていた。




