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問題だらけ  作者: 高梨ひかる


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24/25

逃亡しようそうしよう(前編)

好奇心は猫をも殺す。

英語圏のことわざらしいが、意味は正しいと思う。


まさに好奇心は身を滅ぼす。


「ところでセーナさん、どこまで行くつもりなんです?」

「どこまで行こうかなあ…」



絶賛逃げています、聖名明です。






事の起こりは昨日にさかのぼる。

いい加減聖女を避けるのが辛くなってきた俺は、とりあえず顔ぐらい見るかと思い立った。

だってぶっちゃけ顔知らないから避けるのも噂だよりで危険すぎるんだもの。

運命のなんちゃらとか言われたくないしね!

そこで素直に会合を開けばよかったのだろうが、そんなの開いて勝手に婚約者扱いとか拉致とかあったら怖いので、俺は保険をかける事にしたのだ。

すなわち。


婚約者を連れて、こっそり見に行く。

なんて手段を取ろうと。


まあ顔を見てみたいと思ったのはぶっちゃけ好奇心があったというのは否定しない。

そりゃあ目の保養になるくらいの美人だったらやっぱお目にはかかりたいよねー。

嫁にしたいかと言われるとちょっとどうかと思うけど。

毎朝心臓に悪そうじゃん? つか前も思ったけど、神鳥に嫁斡旋されるってぶっちゃけどうなの。

俺そんな結婚願望弱くないんだけど。結婚は好きな相手としたいです先生。


で、サルディナさんに相談を持ちかけて聖女様がやっていると言うありがたーいお説教とやらを聞きに神殿までこっそり行ったのである、が…。


ハッキリ言って聖女の力の威力舐めてたね。

まさか俺がどこにいるかとか普通に把握してるとか思ってなかったよ。

気づいたら何故か豪華な部屋とかに通されそうになって(しかもご丁寧に男女別デスとか言われてサルディナさんは連行されていった)、会いに来られた事に敬意をなんたらとか神官が奏上し始めてようやく俺は自分の危機に気付いた。

いつの間にか俺が聖女に場所を知らせて会いに来た事になってる!

しかもなんか美辞麗句勝手に並べられてる! 誰もそんな事言ってねえ!




やばい これは つかまる




本能って素晴らしいね! 気づいたら俺はその部屋から逃げ出してたよ後ろの焦った声とかマジ聞こえない。

緊急クエストとか俺の目の前に見えてるのは気のせいだよね!

絶賛逃げよう! マジで逃げよう!

クエスト内容にちらっと 人 体 実 験 ? とか危険な文字が見えるのとか俺には超見えない! マジ見えない!


『緊急クエスト:鳥愛好聖女きょうしんじゃの包囲網

 内容:とりあえず現実逃避してないで逃げた方がいいと思うよー。だから前回ちゃんと遭遇しておけばよかったのに』


ルビが!

ルビが怖いんだよ神様! 何考えてんだよ!

そして誰と遭遇するんだよ俺は!


文字を必死に追いつつ、自分に隠密魔法をかけて見る。

が、おそらく位置を把握してるっぽい聖女には効かない。

つまり俺のミッションは位置把握している聖女に遭遇しないように逃げ回って脱出する? みたいな。

転移使いたいけど使えないのは恐らく神殿内だからかな。神様の御許だから魔法は神殿内では使えない的な?


マジ助けて…!

サルディナさんどこーー!!


必死で探してみたものの、婚約者の姿は欠片もなく。

門が閉まってるっぽいので中庭とかとりあえず空が見えるところへ行くべく俺は走りまわった。

飛行魔法は使えないけどようはスノーが呼べればいいんだよ…!


だがしかし。


「捕まえましたー」

「ぶっ!」

「あれ?」


敵もさるものというべきか。

何故かすっげー早い奴に追いかけられ、俺はあっさり捕まってしまったのだった。






で、どうして現在進行形で逃げてるのかって言うと。

聖女が俺を捕まえろー、と命令した相手が何故か勇者だったのだ。




……何やってるんスか勇者さん。




「セーナさんでしたかー。恩をあだで返すわけにも、ねー」


というあっさりした台詞とともに、捕まえられていた腕は解放。

その次にはあっさりと、じゃ逃げましょうかーと言われ、ついて行ったらそこははじまりの森。


えっ

何その瞬間移動。


「あ、これ勇者の能力なんです。神殿がどうとか関係ないんですよねー」


勇者ハイスペックだなおい。

そして相変わらずトボけた語尾だが、言っている事は物騒な気がする。

俺確かこいつに関わらないようにしていたはずなのに、どうしてこうなった。


「ところで婚約締結に来た筈なのに、なんで逃げてたりしたんです?」

「そもそも締結とかしに行った覚えがねぇよ!」

「ええー…3日前ぐらいから聖女はりきってましたよー」


……。

え、何それ?

そもそも俺、顔見に行っただけで知らせてすらいないんだけど。


「聖女ってなんか特殊能力でもあるのか?」

「ん? 失せ物探しとか人探しとか得意な筈ですけど」

「それどこ逃げても逃げ場無しっていわね?」

「そうともいいますね」


そうとしかいえねーのまちがいだろ…。

何それ詰んでる。

どうしようこれ。


「聖女こなさそうな処とか心当たりは?」

「国外なら大丈夫じゃないです? 友好国じゃないと聖女はさすがに行けない筈ですし」

「む……」


要人って事はイコール国外へ行く手続きが無理あるって事か。

あの大国にとってはこの国は属国に近いって話だったから、対等な大きな国へ行けば逃げ切れるとも言う。

いや別に逃げる必要はないのかもしれないけど、クエストタイトルとかに嫌な予感しか覚えねーしな……。

かと言って国外ねえ。


「婚約者おいて国外かー……」


いくらその張本人が、直前で見えなくなったとはいえ、それもどうなんだ……。

なんていうか、無責任としかいえないよな。

転移でいつも逃げられるとは限らないから、話し合いに行くって言うのも無理そうだし。


「んー…」

「まあ。悩んでるならこの森でしばらく野宿でもいいんじゃないです? 付き合いましょうか?」

「ってかなんでお前あそこにいたの?」

「単純に傭兵稼業してて居合わせただけなんですよねー。あっちも僕には期待してないと思うんで大丈夫ですよー」

「それ評判的にどうなの」

「どうでもいいですね。暇つぶしなんで」


相変わらずあっさり言ってるが、今回ばかりは助かったと言うべきか。

そもそもコイツ駄々漏れで素直だから、とりあえずは信用しても問題はない筈だ。

ステータスに勇者の友情とかくっついてるくらいだし!


「じゃあ、頼むわ」

「はいはい。わーい、日本料理が食べられるー」



…………お前明らかに目的そっちじゃね…?

と思いながら俺と勇者の野宿生活は始まったのであった。


後編の投稿予定は未定でs(えっ


ちなみに勇者が使った能力は「リターンホーム」の模様。はじまりの森は基本どの職業もはじまりの森らしい。

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