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悪役令嬢だって暴れたい。婚約破棄の絶望から一転、溺愛される悪役令嬢に転生した私が、99人の兄弟と最低の父親を眠らせるまで。  作者: mania
4章 レジャック

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第56話 オヤジサマ

「で、これからどうすんだ?」

「仲間を探すの。王に立ち向かうために」

「あの親父様を直接殺りに行くってわけか」


 オヤジサマ……敬意があるのかないのかよくわからない呼び方ね。


「話し合いができれば、そうしなくて済むかもね」

「僕は出会った瞬間に、首を刎ね飛ばしてやりたいが」


 物騒なことを言うジュレンを、少しだけたしなめつつ、移動を再開する。そして、私は険しい顔でこぼした。


「それにしても、あのゴリラ王。これだけ性格破綻してて、絶対に嫌われてるはずよね」

「それが、とてつもない数の忠臣を抱えてるみたいだぜ」


 まったく淀みのない返事。レジャックは意外とこの国の裏情勢に詳しいらしい。


「わけわかんない」

「確かに俺も不思議だ。親父様は、金も権力もない時からそうだったらしいしな」

「催眠術でも使ってるのかしら」


 私が冗談めかして言うと、レジャックがニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「面白え、俺もやってみよ」


 おもむろにレジャックは首元のネックレスを外すと、私の目の前で振り子のように揺らし始めた。


「ほーら、お前はだんだん裸になりたくなーる、なる」

「はぁ……」


 あまりのくだらなさに、ジュレンが頭を抱えて深々と溜息をついた。心なしか気温がスッと下がった気がする。今にも、おかしな新入り氷漬けRTAが始まりそう。


「……」


 私は無言のまま、歩きながら上着の第一ボタンに手をかけた。一つ、二つとボタンを外し、肩口から上着を滑り落とす。鎖骨と胸元に、二人の視線が釘付けになった。


「お、おい!?」

「マジかよっ」


 肩まで綺麗に出したところで私はピタリと動きを止め、顔を上げてニヤリと笑った。


「なーんてね」

「……」


 ああ、二人の時が止まっちゃった。『私がこういうことをするはずがない』という思い込みを、見事に裏切られたという間抜けな表情。


「あはは、そろって目玉まん丸じゃない! お子ちゃまねぇ」

「君ってやつは……」

「オホホホ。私をからかおうなんて、千年早いわよ」

「思ったより、中身は年食ってやがるな」

「誰が年増だ!」

「あいたっ」


 ゴツンと、座っているレジャックの頭にゲンコツを喰らわせる。ほんの数ヶ月前まで、コヴィ様にも同じことやられたっけ。なんて思い出しながら。

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