第54話 ヒモみてえなもんさ
「僕の母さんも『あの人は、私がいないとダメになる』って、いつも言っていたな。それで苦労ばかりしていたよ」
「ちょっと、一括りにしないでよ」
腕組みをして黙り込むジュレン。カチンとくる言い方だけど、悪意はないのよねえ……
「ふー……こいつが裏切ったときには、僕が責任を持って氷漬けにするしかないか」
「そいつは楽しみだな」
突然、足元から声がした。見下ろすと、いつの間にか意識を取り戻していた男が、縛られたまま口を挟んできている。
「よお、兄弟。俺の名前はレジャック。母がレース、父がジャックだ」
さっきまで命をかけて戦っていたとは思えない、朗らかな自己紹介。どうやら途中から話を聞かれていたらしい。確かに麻酔は浅めにかけておいたけど、こんなに早く目覚めるとは。
「ん? 父親はトラヒム王じゃないの?」
「実の親はそうだが、俺がいたときの父はジャックだ」
「あー……再婚ってことか」
「そんなに綺麗なもんじゃねえよ。ヒモみてえなもんさ」
やっぱり思ったとおり、人間関係には恵まれてないみたい。あまり深くは聞かないでおこう。
「で、どうして俺は生かされてるんだ?」
「手を貸してほしいからよ」
「お、一体何をさせたいんだ?」
「一人、怪物のような参加者がいるの。あの子に倒されないためよ」
「面白え。乗った」
かっっる……駄々をこねられても困るけど……ここまで素直だと、逆に不安を感じるわ。




