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悪役令嬢だって暴れたい。婚約破棄の絶望から一転、溺愛される悪役令嬢に転生した私が、99人の兄弟と最低の父親を眠らせるまで。  作者: mania
4章 レジャック

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第52話 こうかはばつぐんだ!

「はっ、面白え」


 痺れる体で、人差し指をクイクイッと曲げて挑発してくる男。


「あらそう。思ったよりはいい子なのね」


 あえて、ここから追加の麻酔効果をオフにする。


「ぐっ!」


 私のほぼ一方的な暴力が始まった。相手の武器は、間合いがあってこそ真価を発揮する長距離用のもの。遠くにあれば脅威でも、懐に入り込んでしまえばただの重い紐に過ぎない。


「女相手なら丸腰で十分だ」


 それを察して自ら武器を捨て去り、両腕を構える。じきに立てなくなるのは分かっているだろうに、どこまでも屈しない。大した反骨精神ね。いや、ここからでも逆転できると本気で信じているのかもしれない。


「のたうち回れ!」

「!?」


 とんでもないセンスと経験値だ。一瞬の振り遅れを見抜かれ、深く懐へ潜り込まれた。まずい、拳を叩き込まれる。


「んなっ!?」


 と焦ったのも束の間、相手の腕に薄い氷が纏い付く。ただでさえ眠気に襲われてるんだ。バランスを崩して、今にもすっ転びそう。


「お前も僕らを舐めすぎだ」

「てめえ、体を冷やして耐えてやがったな!」


 アイススプレーの要領と同じで、ジュレンは私同様に痛みを和らげて機会を狙っていたんだ。よく見れば、全身を薄い氷で覆っている。その上、男が図らずも至近距離まで近づいて、冷気がより強力かつ正確に作用した。ナイスアシスト!


「人の痛みを、その身で学びなさい」


 地を蹴り、つま先に渾身の力を込める。私の足は鋭い弧を描き、天へと上り詰めるかのように跳ね上がる。


「ぐおおおおっ!?」


 つまりはまあ……アレよ、金的。


「あ……が……」


 ああ、白目をむいて倒れたわ。この得体の知れない男も、やはり人の子。急所への一撃、効果は抜群だ。


「相当怒っていたんだね……」


 先ほどまで敵意を剥き出しにしていたジュレンですら、男に哀れみの表情を向けている。どうやら、とっても可哀想なことをしてしまったらしい。ごめんあそばせ〜

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