第51話 お仕置きの時間
もはや見慣れてしまったゲスな笑みを浮かべ、無防備に転がった私へとゆっくり歩み寄る男。勝利を確信し、特等席で味わおうと私の顔を覗き込んだ――その瞬間。
「なんてね」
「っ……!?」
私は起きざまに剣を振り抜き、男の足を切り裂いた。閉じていた目をカッと見開き、思いっきりベーッと舌を出してやる。
「くっ、いてえなこのアマ!」
「こっちのセリフよ、この問題児」
信じられないものを見るような表情ね。まあ、気持ちはわかるわ。やはり私の力は、それくらい特殊なんだろう。
「一体何が起こってやがる? 激痛はどうなって……」
「すぐに理解させてあげるわよ」
先ほど仕掛けられた罠は、実は何本か当たっていた。けれど、私は自身に麻酔をバフし、痛覚をピンポイントで遮断してやり過ごせることを確認した。
悔しいけれど……あのオカマと戦ったおかげで思いついた戦法だ。タダで転んでなるものかっての。
「ぐっ、身体が……!?」
生まれたての小鹿のように、男の膝がガクガクと笑いだす。どうやらバッチリ効いてきたようね。
「強いわね、あなた」
オホホと邪悪な笑みを浮かべる。母譲りの、特上の嘲笑。
「でも残念。私との相性、最悪よ」
さあ、たっぷりと意地悪し返してあげるわ。お仕置きの時間よ。




