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悪役令嬢だって暴れたい。婚約破棄の絶望から一転、溺愛される悪役令嬢に転生した私が、99人の兄弟と最低の父親を眠らせるまで。  作者: mania
4章 レジャック

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第48話 快楽の糧

「アイサ!?」

「……大丈夫よ、なんともない」


 たまたま驚いて足をもつれさせ、無様にすっ転んだだけなんだけど……怪我の功名というか、おかげで棘の雨をほぼ完璧に回避できた。


「ほう、強運じゃねえか」


 驚きつつも、余裕の態度は崩さない男。


「で、隠れんぼは終わりか? ネズミども」


 どうやら最初から完全にバレバレだったらしい。でも、どうやってこっちの居場所を把握したのかしら? そういう特殊な力でもあるの?


「殺せば能力が上がるルールなのに、わざわざ生かして痛めつけているのか?」


 歩み出たジュレンが、周囲の温度を一気に下げるような険しい声で問う。男はゆっくりとこちらに振り向き、酷薄な笑みを広げた。


「人が苦しんでる姿を見るのが大好きなんだよ。誰かが泣き叫んで顔を歪ませる……それ自体が俺の活力だ」

「最っ低ね」


 私が吐き捨てると、悪びれる様子もなく大げさに両手を上げ、肩をすくめる男。


「嬢ちゃんだって、誰かを思い切り壊したり、陰口を叩けば、スカッとして気持ちいいだろ?」

「一緒にしないでくれる?」


 あと、年にほぼ差がないはずなのに、嬢ちゃん呼ばわりも地味にムカつくんだけど。トータル年数なら、きっと私の方が上だし。


「俺はただ、その報酬系が人より少しばかり強いだけだぜ? 仲間外れは寂しいねぇ」


 胸糞悪い詭弁。だけど、悔しいことに共感してしまった自分がいるのも事実だ。確かに前世で私を裏切った元カレとかをぶん殴れたら、気持ちいいに決まっている。彼にとっては、人間全員がその対象なのかもしれない。


「じゃ、お前たちにも俺の快楽の糧になってもらおうか」


 岩から降りて、ゆっくりと近づいてくる男。口調も表情も、自分が負けるなんて微塵も想像していない。よく見れば、浅黒い肌のあちこちに細かい傷が刻まれている。彼もまた、荒廃した世界を生き抜いてきたのだろう。


「おらよ!」

「!?」


 再び鋭い破裂音。赤黒い鞭が、凶悪な速度で振るわれた。


 ――あんなに長い武器を、こんなにも高速で動かせるの!?

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