第47話 人狩り
ジュレンと顔を見合わせ、声と鉄の匂いが漂う方へ忍び足で近づく。少し開けた場所に出ると、大岩の上に一人の男が腰掛けていた。
高身長で筋骨隆々。野生の肉食獣を思わせる、危険な色気と美しさを兼ね備えたシルエットだ。光を反射する白銀の髪と、十字架のイヤリングやネックレス。鋭さを感じる秀麗なその顔に、暗い笑みが張り付いている。
でも、容姿以上にその足元へ釘付けになった。何人もの男女が血まみれになって地に這い、苦痛に顔を歪めているのだから。
「……悪趣味だな」
「絵に描いたようなサディストね」
彼の手に握られているのは、鋭利な棘が無数に生えた禍々しい赤黒い鞭。もはや剣の面影すら残っていない。
「私と同じで、武器の形が変化した子か」
楽しげに鼻歌を歌いながら片膝を立て、苔を踏んづけ座っている。この凄惨な状況を、心底楽しんでいるようにしか見えない。
「アレはわざと、この場所に居座っているな。そもそも魔剣を出しっぱなしにしているのが不自然だ」
「横たわっている参加者たちは、餌ってことか」
誰かを誘い込むための罠なんだろうけど……あそこまでわかりやすいとなると、相当腕に自信があるんだろう。
「どうする?」
「……やりましょう。私が一撃浴びせれば、終わるわ」
情報や準備が不足しているのは否めないけれど、怒りと焦りが勝った。あの男のやり口は、許せない。ジュレンは静かに頷き、私とともに武器を構えた。
とはいえ、前回のように無策で突っ込んではいけない。周囲に伏兵がいないか慎重に確認しつつ、私たちは二手に分かれて男の背後を取った。
目と目で会話し、いざ仕掛けようと踏み込んだ瞬間。
「!?」
パァンと空気を裂く破裂音と共に、無数の棘のようなものが四方八方から飛んでくる。
やられた、あらかじめ罠が仕込まれていたんだ。細心の注意を払っていたはずなのに、容易く欺かれた。きっと「人狩り」の経験値が、私たちとは次元が違うんだろう。




