表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/29

第27話 私の三大栄養素

「気は済んだ? じゃ、私はこれでぇ」

「ま、待ってよ! ベル、あなたは一体何者なの?」

「何って、お手伝い妖精よぉ」

「本当に妖精っていう種族がこの世界にいるの?」

「かもねぇ」


 返事が雑……と文句垂れながらも、内心では結構テンションが上がっていた。だって、妖精とスイーツとファッションは、私の三大栄養素なのだから。


「ねえ、この戦いを止める方法ってあるの?」

「知らないわぁ。無駄話に付き合わせるなら、私もう出てこないわよぉ」

「あ、ごめん」


 ポンッ、という弾けるような軽い音とともに、ベルの姿はどこかへと消えてしまった。


「……可愛いなぁ。ずっと傍にいてほしい」

「1つだけ、教えてあげるわぁ」

「うえっ!?」


 いなくなったはずのベルが、いきなり私の鼻先に顔を出した。少し胸を張って、自慢げな表情。


「ここから途中で抜けようなんて甘いこと、絶対に考えないことぉ。あの男は、本気でイカれてるから」


 あの男……トラヒム王のことよね。それはもう、身をもって嫌というほど知っている。


「そして魔剣の、あなた自身の可能性を信じることぉ」


 あれ? 1つだけと言いながら、ちゃっかり2つ教えてくれているじゃないの。


「私の、可能性?」

「信じるっていうのはね、ボケっと白馬の王子様を待てってことじゃないわよぉ。どこかに道はあるはずと、足掻き続けろって意味」


 愛らしい声で、辛い現実を突きつけてくる。けれど、私を真っ直ぐに見据えるその小さな眼差しには、力強さと熱を感じる。単なる表面上の慰めなんかより、よっぽど深く心に響く。


「じゃあねぇ」

「あ、もうちょっとだけ」

「ダメ。もうこれ以上はサービスしない。私にだって、怖いものはあるんだからぁ」


 そしてベルは小さな煙を残し、今度こそ完全に去った。怖いものっていうのはやっぱり、父のことだろうか。


「いっそ永遠にステータス画面を開きっぱなしにしておこうかな」

「怒られるだけだと思うよ」


 確かに、そうね。せっかくの癒やし枠に嫌われたらおしまいだわ。


「随分と懐かれているようだね。僕にはあんなに話してくれなかった」


 不思議そうに目を丸くするジュレン。あれでも会話の量が多い方だったらしい。


「褒めてあげればよかったのに。可愛いねって」

「言ったけれど、あそこまで機嫌は良くならなかったよ」


 この顔面偏差値で繰り出される口説き文句が、通用しないこともあるのね。自分の方が懐かれているという事実に、少しだけ優越感を覚える。けれど、不可解なこともあって、能天気に浮かれることはできないわね。


「君には、特別な何かがあるのかもしれないね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ