第24話 フローズン
「それはそうと、この植物の剣……名前がないと呼びづらいわね」
「さっき自分で、スリーピング・ビューティって叫んでなかったか?」
「あれ? そうだっけ?」
死に物狂いで、自分でも何を言ったのか全く覚えていない。もしくは本能レベルで、叫んでいたのかもしれない。
「ちょうどいいわ。スリーピング・ビューティしましょう」
「でも……それだと、君が眠るみたいじゃないか?」
「違うわよ! そういうものなの!」
おや? 今、間接的に褒められた? 私は、照れを誤魔化すように早口で話題を変えた。
「そ、そうね……それならジュレンの魔剣の名前は、フローズンなんてどう?」
「まあ……なんでもいいけど」
ひどく興味のなさそうな返事。その言葉を聞いた瞬間、私はピタリと足をとめ、再び彼を睨みつけた。
「……あのね。それ、私たちが言われて一番イラつく言葉だって知ってる?」
「え?」
「一見相手の意見を尊重しているようでいて、本当は興味がないだけじゃないの」
半分いいがかりのような感じだったけど、さっきまで魔剣について黙っていた分のお返しでもある。
「……悪かった。その、フローズンで頼むよ」
あ、素直。少しだけ、彼の手綱の握り方が分かってきた気がする。そんな他愛のない雑談を続けながら、私たちは周囲を散策した。この巨大な地下ドームの中に作られた森は、想像以上に深く、そして広い。
私たちは夜に備えて、周辺で薪になりそうな乾いた枝や、食べられそうな木の実を拾って歩き回る。そして、ヴィアダルを隠した、大きな木の根元の穴へと戻ってきた時だ。
「……嘘でしょ!?」
思わず声が漏れる。さっきまで、確かにそこで横たわっていたはずの、ヴィアダルの大柄な体が、忽然と消え失せていたのだから。




