第四章 近づいた心の距離
五月の半ば。
学級新聞の締め切りが近づき、彩花と陽人は放課後に図書室へ集まって作業をしていた。
「なあ、彩花。この記事の見出し、もっとインパクトあるほうがいいと思わない?」
陽人がカラーペンで大きな文字を書きながら、こちらを振り返る。
「別に……まあ、悪くないけど」
「だろ? ほら、読んだ人が『おっ』てなるやつ!」
子犬のように無邪気な笑顔。
以前なら鬱陶しいとしか思えなかったその明るさが、なぜか今日は胸に温かいものを灯した。
(……こんなふうに、一生懸命なんだ)
そのとき、机の上のペン立てが倒れて、床にペンが散らばった。
彩花が慌てて拾おうとした瞬間、陽人がさっとかがんで手を伸ばす。
二人の手がふと触れ合った。
「……っ」
彩花は心臓が跳ねるのを感じて、思わずペンを取り落とした。
陽人は気にした様子もなく、にこっと笑う。
「おっちょこちょいだな、彩花って」
「ち、違うし!」
彩花は顔を赤くして背を向ける。
けれどその横顔を、陽人は少し照れくさそうに見つめていた。
――翌週。
体育の授業でリレーがあった。
彩花は走るのが得意ではなく、バトンを受け取ったときにはすでにビリに近い順位だった。
必死に走ったけれど、すぐに抜かれてしまう。胸が苦しくなり、涙がにじんだ。
「……ごめん」
走り終えた後、うつむく彩花の肩に、陽人がポンと手を置いた。
「ナイスラン! 最後まであきらめなかったの、かっこよかったぞ」
にこやかに言われて、彩花は思わず顔を上げる。
そこには、バカにするでも、責めるでもない――まっすぐな優しさだけがあった。
(……こんな人だったんだ)
嫌いだと思い込んでいた彼の中に、誰かを元気にさせる力があることを知った。
その瞬間、彩花の胸に小さな芽が芽吹いたような気がした。
読んでいただき、ありがとうございます。
第一章の後書きのようなアイデアを出したら、AIが書いてくれました。




