第三章 思いちがい?
ある放課後、彩花は買い物帰りに駅前を歩いていた。
夕暮れの街は人通りが多く、すれ違う人の声が雑音のように重なっている。
ふと、前方に見覚えのある背中を見つけて、彩花は足を止めた。
(……陽人のお父さん)
黒いスーツ姿の男性。間違いない。
その横には母の姿が――。
彩花の胸がざわめき、思わず電柱の影に身を隠した。
二人は駅前のカフェに入っていく。やっぱり一緒だった。
(やっぱり、不倫……)
喉がカラカラになり、手に持っていた買い物袋が震えた。
けれど、思い切ってガラス越しに覗き込んだ彩花は、次の瞬間、目を見開いた。
母と陽人の父は、席に座るなり、書類を机に広げていた。
そして母が真剣な表情で説明している。
「この地域のボランティア活動の予算案なんです」
――それは母がずっと取り組んできた、地域の子ども食堂の活動の資料だった。
陽人の父は、地元の商店会の役員として、その活動を支援しているらしい。
「なるほど。じゃあ、次の会議で話を通せるようにしますよ」
「ありがとうございます。本当に助かります」
二人のやりとりは、仕事や地域の活動のことばかり。
恋人同士の雰囲気なんて、ひとかけらもなかった。
(……私、ずっと勘違いしてたの?)
肩から力が抜けて、彩花はその場に立ち尽くした。
胸の奥にあった怒りや嫌悪が、音を立てて崩れていく。
その代わりに、今まで押し殺してきた別の感情が顔を出した。
(じゃあ……陽人にあんな冷たいことを言ったのは、全部、私の思い込み……?)
翌日、学校で陽人の明るい声を聞いたとき、彩花は正面から彼を見られなかった。
視線を合わせると、胸がドキンと跳ねる。
――誤解が解けた今、陽人の笑顔が、やけにまぶしく見えた。
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読んでいただき、ありがとうございます。
第一章の後書きのようなアイデアを出したら、AIが書いてくれました。




