第41話 VSシスノガータ②
シスノガータの本領を発揮させる回。
「狂化」された状態でシスノガータに攻撃を仕掛けていくエレーナだったが、流石に“裏ボス”を張っているだけあり、互角の戦いを演じていた。
しかしエレーナも剣の第二段階を解放しているわけではないので、寧ろ健闘している方だろう。
(成る程な、ドレムの魔法で身体機能を強化したか………だが過集中と、いったところか、ならば私の攻撃も通りやすくなっているはずだ、『鎌鼬』を纏って削るとしよう………)
シスノガータはエレーナの攻撃を受け流しながら、無数の風の刃を飛ばしてエレーナを削りにかかる。
だがエレーナはそんな事をお構いなしに剣技と格闘術を組み合わせながら、シスノガータを徐々に徐々に削っていく。
そしてそれを傍観していたドレムは、割って入る隙を窺っていた。
(そろそろ効果も切れる頃だしな………俺もどうにかしてサポートに回りてえところだが、さて、どうするか………)
そうこうしていると、エレーナが勇者の剣を輝かせてシスノガータに技を仕掛けた。
「アルタルキア剣術………『燐光の灯篭剣』!!!」
光属性の縦振り二連撃を繰り出した後、シスノガータを退がらせて、属性付与を雷属性に切り替えて両手でギュッと力を込めて剣を振る。
「『雷電回転斬り』!!!」
エレーナは空中で身体を捻らせながらダメージをこれでもか、と与えていった。
「ぬう………やるではないか、だが………『皇の焔』!!」
シスノガータは負けじと業火を吐き、エレーナに直撃せんという軌道だった。
が、ドレムがここぞとばかりに2人の間に割って入り、攻撃のダメージを肩代わりした。
「!? なんでアンタが!?」
ドレムは絶叫をあげながらも、歯を食い縛る。
「つっ………!! こんなモン、どうってこたぁねえよ!! さっさと叩き込め!!」
「オッケー!!」
エレーナはドレムの声に頷き、攻撃を仕掛けようとシスノガータに向かっていった。
「いい連携だ………しかし、ここは私も本気を少し出すとしよう。」
シスノガータは連続で8個もの色の違う炎を錬成し、エレーナは警戒して足を止めてしまった。
「これが私の真骨頂だ、食らうがいい。『調和の聖火』」
エレーナには完全初見だが、これをよく知っているドレムはマズイと察知し、こうエレーナに指示するように叫ぶ。
「気をつけろ!! 食らったら全身が焼けるみてえに痛むぞ!!!」
「え!? わ、わかった!!」
ドレムの言う「全身が焼けるように痛む」というワードにはシスノガータが司る「調和」に関係があった。
「調和」の真骨頂は属性魔法を状態異常効果と共に調合させていくことで、敵の進軍を阻止する効果を持つ。
しかし使用者であるシスノガータ本人ですら、調合された効果は何が起こるか分かった物ではないので、頭がキレるドレムでも完全に効果を把握できるわけがない。
使用者が分かっていない物を第三者であるドレムが理解できる筈もないのだから。
エレーナは避けていきながら剣で弾いていくものの、シスノガータはこれでもかと言わんばかりに次々と魔法を繰り出していった。
エレーナはなんとか対応していくものの、無数に繰り出される魔法を全て避けきれるわけがなく、左腕が1つ触れてしまった。
ジュワァ!! という焦げた音と共に、濃塩酸が腕に付着した時のような、広がる焼けつく痛みがエレーナを襲った。
「エレーナ!!」
ドレムが激痛に悶えて絶叫をあげたエレーナに近付くが………
「人を気にする余裕があるか? ドレムよ………」
ドレムが気づいた時にはもう遅し、調合された炎がドレムの腹部の丁度真ん前に迫っていた。
ツプッ………と炎がドレムの体内に入り込む。
すると、一瞬にして高圧電流を浴びた時のような痺れがドレムの全身を駆け巡った。
「グアァァァァァァァァ!!!」 (しまった………!! 俺とした事が………!! 迂闊に近づきすぎちまった!!)
2人とも痛みに耐えきれず、堪らず膝を突いた。
「ハハハ………どうだ、私の戒言の力は………驚くだろう? 私ですら何が起こるか分からぬ物が飛んでくるのだから。」
「クッ………!! なんて強さなの………!! ここに来て本気、出してきたわね………!!」
「………オイ、エレーナ………作戦がある。一か八か、だがな………」
「!? 作戦………!?」
ドレムに作戦がある、と聞かされて、エレーナは思わず耳を疑った。
何しろ、正面突破はほぼ不可能に等しい魔法相手にどう太刀打ちするかが見当も付かないからだ。
策略家のドレムをもってしても「一か八か」と言うしかないほどの作戦だったが、ドレムは可能性を信じた上でエレーナにこう告げた。
「シスノガータ様の………『調和』を破れるかもしれねえヤツだ。」
次回は決着、試練編終了です。




