第35話 速攻の試練
試練パート2。
ドレムとエレーナが北にある扉を開けると、目に見えてきたのは大量の精霊が。
およそ50はいるだろう、その魔物の数は、2人を唖然とさせるには十分だった。
シスノガータがそこに現れ、説明をする。
「次の試練は………この『ピクシーナイト』の群れを3分で討伐する試練だ。」
「さ、3分で………!? マジで言ってんの、アンタ………」
「左様。これくらい超えられぬば兄上を倒すことなどできぬ。では、健闘を祈る。」
シスノガータがまた霧のように消えたと同時に、ピクシーナイトが一斉に襲い掛かってきた。
「ホント………無茶もいいところよね。じゃ、行くよ。この技で………!!」
エレーナが勇者の剣を地面に垂直に突き立てる。
すると、光の魔法陣が瞬時に形成されていった。
「あまり使いたくなかったけど、時間がないからこれで決めるわ!! 『領域展開』………『光の護符剣』!!!」
超広範囲の魔法陣が、一瞬で極太の光の柱を形成し、まんまと嵌まったピクシーナイトは光によって次々と浄化されていく。
エレーナが取りこぼしたピクシーナイトを、ドレムは連撃剣で一瞬で死滅させていった。
だがしかし、試練はそう簡単に終わるほど甘くはなかった。
シスノガータが現れないからだ。
「………どういうこと? 見える限りは倒したわよね………??」
「おそらく、だが………ここは結構岩肌が入り組んでいるからな、隠れていてもおかしくねえ。ただスピードの速えピクシーナイトだ、見つけたとしても仕留めるには時間が必要なんだよな………」
とはいえ3分しか時間が与えられていないため、早いこと倒す必要があった。
と、ここで何故かエレーナが上の服を脱ぎ出し、下着姿になった。
「お、オイ!?!? 何する気だよ!?!?」
「索敵よ、索敵。貧民街育ちだから肌で敵を感じ取るのには慣れてる。」
エレーナはなんの躊躇いもなく、腰を落とし、腕を広げた。
すると勇者の紋章が輝きだし、エレーナの前身を光が包み込んでいった。
ドレムは何かを察したのか、エレーナから距離を取り、魔力を溜め込む。
「………なにかわかったか、エレーナ………」
「敵はあと3体………南東に1匹、北西に1匹、南南西に1匹よ………!!」
「助かるぜ、エレーナ………あとは任せときな!!」
ドレムが指を鳴らすと、黒い魔法の紐がエレーナが索敵させた方向に向かって伸びていく。
この魔法は“束縛系闇魔法”の「闇の引力』。
推定100メートルの範囲まで伸び、敵を縛り上げて身動きを封じる、ドレムが得意とする状態異常魔法と闇魔法の組み合わせた技である。
隠れていたピクシーナイトも抵抗するが、ドレムは余力を持って引き摺り出し、姿を炙り出していった。
「テメエら臆病者に悪夢を見せてやるよ………!! 『幻視・死死出の誘い』!!!!」
纏めて3体のピクシーナイトを縛り上げたと同時に、ドレムが“悪夢の術”を掛ける。
すると、3体のピクシーナイトが発狂を始めた。
そして次の瞬間、目から蛆虫が湧き出し、次々とピクシーナイトの肉を喰らい尽くしていくのであった。
鮮やかに最後を決め、20秒残しで第二試練をクリアした2人だった。
「ねえ、ドレム………さっきの技、人間相手でも使ってたの………?」
「いや、今回が初めてだ。試練突破には必要だったからな、こういった臨機応変の対応というのは。流石に支配をするのによ、人を無闇に殺す、なんてのは違うと思っていたし、俺はこういうタチじゃねえ。使わなかったんじゃなく、使う理由が今の今までなかっただけだ。」
「………初めて会った時から異質だと思ってたけど………ホント変わってるわね、アンタ。」
「分別は支配する上で弁えなくちゃいけねえ、シスノガータ様に教わったことを実践しただけだよ、あの村で。」
エレーナはこの間に服を着て、前髪を掻き分けて整えていた。
と、そこにシスノガータが現れた。
「………見事試練突破だ。流石だな、勇者エレーナよ………」
「私のための試練でしょ? これくらい出来なくて何が勇者よ? 突破できなかったら世間の笑われ者だわ。」
「フッ………そうこなくてはな。では、第3の試練に向かうが良い。」
表情が柔らかくなったような言動を返したシスノガータはまた霧の如く消え、北北西方向に第3試練の扉が出現したのであった。
次回は第3試練。




