第32話 整いし試練への準備
いやー、忙しくってなかなか投稿できませんでしたが、章終了という形を取らせていただきます。
4桁戦なので、まあ長くはなると思いますけどw
さて、最終第五戦へと入る。
ドレムの設定ナンバーは「4975」、プルトニアは「6507」。
「slash」のことを考えるとドレムが若干不利なようにも見えるが、ドレムには「change」がある。
スラッシュナンバーがバレても案外凌げるものだ。
対してプルトニアは「slash」に「shuffle」。
ドレムは攻撃の手札が「High&low」なので、「shuffle」で幾らかは誤魔化せたりする。
互いの手札も相まって、勝負は互角の様相を呈しているのだが、ヌメロンは一瞬で勝負がつくゲーム。
どちらかが瞬殺するかもしれないし、はたまた泥試合の長期戦になるかもしれない、という形なのだ。
エレーナが固唾を飲んで見守る中、最終ゲームがドレム先行でスタートした。
ドレムは早速カードを提示する。
「High&low」を、だ。
「初っ端だろうと容赦はしねえぜ、プルトニア………!!」
「そうこなくっちゃな、ドレム………『High、High、low、High』だ。」
「なるほどね、Highが3枚か………」
ドレムはここで考え込む。
逆に難しい、と。
(早めに仕留めるしかねえな、これは………アイツのことだ、3イートをしてもlowの部分でそう簡単にゃ当てられねえと踏むはず………だったら初手から行くしかねえな………)
ドレムは息を吐いた。
そしてコールをする。
「7916。」
「………『0イート2バイト』。」
「クソッ………やっぱそう簡単にいかねえか………」
ただこれで1を使っていないことはわかった。
ただ、Highは依然としてまだ絞りきれないのが現状ではあった。
そしてプルトニアのコール。
ここでプルトニアは「slash」を提示した。
スラッシュナンバーは5。
「なるほどねえ、5か………4桁だと範囲は絞れるからいいんだけどねえ、何せ君は『change』を持っている、つまり俺が早いこと数字を絞り切る必要がある。」
「………それはお互いそうじゃねえの?」
「フフ………やはり君はわかってるね。ただ周到な君のことだ、この大事な局面こそ………堅実に行くはず。つまりlowとHighを半々に分けてくる、僕はそう読んだよ。その上でコールをする。」
「………いいぜ、来いよ。」
「3847で行かせてもらおうか。」
「『0イート2バイト』。
「僕の読みは………どうやら間違ってはいなさそうだ。」
ドレムは表情を敢えて変えない。
変えたら勘付かれそうだったからだ。
(危ねえ………プルトニアが俺のことを熟知していて逆に助かったな………流石に終盤で大胆な手で来るとは思わねえだろうしな………)
そしてすぐさまコールをする。
「………5807。」
これを聞いたエレーナは、驚きの表情を見せた。
何故詰められるのか、と。
「『2イート1バイト』。」
「よし………これは来たろ!!」
「さあね………それはどうかな? 2375。」
「………やるじゃねえか………『2イート0バイト』。」
ここに来てまさかの互角の展開だ。
エレーナの心臓は爆発寸前になった。
しかし、プルトニアはここで無情とも言える、「shuffle」を使用した。
(ここは四つの数字を当てるだろうからね………だからこそ俺も妥協をするわけにはいかない………これで勝負だ!!)
こうして再設置した設定ナンバーは「7650」。
全替えをして勝負に出るつもりのようだった。
ドレムは一気にコールを図る。
「………初手のバイトで6は入ってるって見るぜ、プルトニア………6075!!」
「………ここまでは読み通りだよ、ドレム………『0イート4バイト』!!!」
「………だろうと思ったぜ。と、ここで………行かせてもらう!! 『change』だ!!!」
「………勝負に出たね、ドレム………さあ、何処を変える気だい?」
「俺は千の位のlowを変えさせてもらう!!」
ドレムはそう言い、4のカードをスッと取り出した。
(さて………アイツはどう攻めてくるか、だよな………2個目の結果から9はバレてるだろうな………だとすると………こう、か。)
ドレムはストン、と「1」をセッティングした。
ドレムは息を吐き、プルトニアのコールを待った。
エレーナも祈る思いで見つめていた。
「………じゃあ行かせてもらおうか!! ドレム!!!!」
「ああ、来い、プルトニア!!!」
「『2975』だ!!!!」
「くぅ………そぉぉぉぉ!!!!」
空気が張り詰める。
だがエレーナは知っていた、プルトニアが外したことを。
ドレムは天を見上げるが、これももちろん演技だ。
「………さあ………どうだい? ドレム………」
ドレムは「あ〜〜〜〜」という呻き声を上げ、上を向いたままだった。
一息吐いた後、ドレムはニヤリと笑い、プルトニアを見た。
「………負けたかと思ったぜ、プルトニアぁぁ………!!!」
「ドレムゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
「プルトニアァァァァァァァァァァァァァーーーーー!!!!!!」
狂気の唸り声が、2人の空間を支配した。
そしてドレムは、正に悪魔の言葉通りの笑いを浮かべた。
「2975は…………!!!! 『3イート0バイト』ォォォォォ!!!!!」
「いいねえ、ドレム………!!!! 最高じゃないか!!!!!」
「さあ、攻守交代と行こうじゃねえか!!!」
ドレムは自信に満ち溢れてはいたが、依然としてまだ選択肢は多い。
対してプルトニアは3択まで絞り込んでいる。
ここで決めなければドレムは敗北必至だ。
「さあ………!!! ここで刺せれば俺の勝ちだ、プルトニア………!! 行くぞォォォォォ!!!」
「来いよ、ドレム!!!」
「コールナンバー………!! 7! 6! 5! 0!!!!!」
このコールに、再度空気が重くなった。
ドレムは緊張の面持ちをしたが、プルトニアは天を仰ぎ、手を顔に覆った。
「フッ………!!! フハハハハハ!!! やっぱり最高だねえ、ドレム………!!! この極限の状態でこのコールか……!!」
「………どうよ………俺の渾身のコールだ………!!」
「いいねえ、素晴らしいよ………『4イート』だ、僕の負けを認めようじゃないか!!!」
これを受け、ドレムは勝利の咆哮を挙げた。
エレーナも両手でガッツポーズを取った。
まるで緊張の糸が、一気に解きほぐれたかのように。
「いやー、参った参った。ドレム、君は凄い度胸をしているよ。今の君なら………試練にも、ティタノゾーア様にも打ち勝てるだろう。」
そう言って、ドレムに報酬の「魂の半分」を、プルトニアは手渡した。
「ハッ、お墨付きじゃねえか。だったら尚のこと負けらんねえな、オイ………」
「魔界に安寧と平和を齎し、人間界との間を君が繋ぐのだろう? 少なくとも統治で精一杯な俺たちでは対処は不可能だ。ティタノゾーア様の凶行を止められるのは………ドレム、エレーナ。君たちをもって他にいないだろう。頼む。魔界を救ってくれ。これは国全体の頼みだ。」
これにエレーナが呼応した。
「………任せときなさいよ。今度こそ………ティタノゾーアをぶっ倒してやるんだから!!」
「………まあ、今日は遅い。泊まって行きなよ。食事は用意してもらっている。」
「……流石にそれくらいの気遣いはしてくれねえと困る。じゃ、有り難くいただくぜ、プルトニア。」
2人は夕食を済ませ、翌日には城を抜け出し、シスノガータが待つ山へと向かっていった。
「そういえばさ、ドレム………山の名前ってなんていうの?」
エレーナはドレムに目的地の名を聞いた。
「………『ロスティア山』って名前だ。この魔界の祖と云われるロスティア様から捩って付けられた名前でな。試練を受けるための霊山として有名なんだよ。過去にここの試練を突破したのは歴代の大魔王しかいねえ。そして今のロスティア山の主・シスノガータ様は………ティタノゾーア様の実の弟だ。」
「!? ティタノゾーアの弟………!?」
「ああ………だがな、性格は真逆でな。ティタノゾーア様は『破壊』を司るが、シスノガータ様は『調和』を司る。本来は心優しいお方でな、魔王になりたての俺に………魔王の心得を叩き込んでくれた、偉大な方なんだ。」
「………『本来は』、ってどういうことよ?」
「規律には厳しい方でな、死ぬほど怒られたもんだぜ、昔は、な。俺ぁ、こういう性格だからな、厳しいという側面では反りは合わなかった、だけど優しい方だったのは事実さ。」
「………シスノガータも、ティタノゾーアには思うところはあるわよね、絶対に………」
「そうだな………試練を受けるとついでに、助言を仰ぐつもりだ。」
ドレムは何処か悲痛な表情をしていた。
エレーナはそれを疑問に思いながら、ロスティア山を登り、山麓付近の洞窟へと入っていったのであった。
そしてそこにいたのは、全身を赤いローブに身を包んだ大男が。
「よく来たな、迷えし子羊ども………どれ、この『シスノガータ』が要件を聞いてやろう。」
野太い声でドレムとエレーナを見下ろすシスノガータ、この後壮絶な試練を受けることになるのだが、2人はまだその内容を知る由もなかった。
次回は「試練編」です。
物語が終盤に近づいていますが、ここから熱量を上げて頑張っていきたいと思います。




